Waseda University Intercultural Communication Center (ICC)早稲田大学 ICC(異文化交流センター)

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もし日本で生まれ育った早大生がICCの学生スタッフになったら(町田 花菜子)

プロフィール写真早稲田大学商学部3年町田 花菜子
ICC学生スタッフリーダー在職期間
2012年12月~2014年7月

ICCとの出会い

1年生の4月2日。入学式翌日に行われた商学部主催の留学オリエンテーション(以下、オリエン)の日に、ICCイベントに初めて参加した私だったが、自分から積極的に参加したわけではなかった。漠然と「将来は海外で働ければかっこいいし、大学生のうちに留学できればいいな~」と思って軽い気持ちで行ってみたオリエンだったが、話を聞いているうちに、自分には英語力が足りないし、そもそも外国人と接したこともほとんどないし、留学なんて無理だなと思っただけだった。意気消沈のなか、オリエン中にICCの紹介があったなんて正直全然覚えていなかった。

オリエンの後に、語学クラスの友達に「ICCのイベントに行こうよ~!」と誘われた。時間もあったし、語学クラスは2年間同じメンバーなので友達と仲良くなりたい! そんな動機で「ICCウェルカム・カフェ」に参加した。そこでICCの活動を詳しく知り、おもしろいなと興味を持った。もともと海外に憧れていて国際交流に興味のあった私は、その後授業の合間にたくさんのイベントに参加した。サポーターとしてICCのイベント運営に関わったこともあった。

ICCを通じて一年生の私が感じたこと。それは、自分の英語力でも実は十分で、留学生と仲良くなるのは難しくないということだ。しかしオリエン後の私のように、自分に自信がなくてICCイベントに参加したくても自分にブレーキをかけている早大生はたくさんいるのではないか? 早大生に一番多いのは、いわゆる“純ジャパ”(日本で生まれ育った日本人)である。“純ジャパ”の私こそが、“純ジャパ”の気持ちを汲み、“純ジャパ”が気軽にICCで国際交流してくれるようなイベントを開催できるではないか? そう思った私は、ICC学生スタッフ(以下、SSL)応募のポスターを見て、応募してみることにした。

最初の最初からの挫折

1年生の11月末、SSLとして採用していただけることになった。“純ジャパ”のためにイベントを作りたいという意欲が高かったのですごく嬉しかった半面、正直複雑な気持であった。理由はSSLの採用面接である。

※回想
面接官:ICCの足りない点があれば指摘してください。
私:もっと広報努力をすればいいと思います。私はICCに興味があるから自分から積極的にICCのイベント情報にアクセスしていますが、そもそもICCを知らない友達がたくさんいます。ICCは多くの面白いイベントを行っているし、広報にもっと力を入れたらどうでしょうか。
面接官:では、もっと多くの早大生に知ってもらうために、具体的に何をすればいいと思いますか?
私:…。

「広報が足りない」と得意げに問題を指摘したのはいいが、具体的に何をすればよいのか、その先の答えをまるで持っていなかった。SSLになるのに当事者としての自覚がなくて、まるで他人事のように問題を指摘した自分が恥ずかしく、自己反省をしていた中、採用の連絡があり、信じられない気持ちでいっぱいだった。

採用はしていただけたものの、最初は先輩たちの仕事ぶりに圧倒されるだけだった。とにかく先輩に迷惑をかけまいと、必死に業務を覚える日々が続いた。目の前のことをこなすだけで精いっぱいで、自分がSSLになろうと思った理由も忘れかけていた。

必死に頑張ること約4か月。業務も覚え、SSLとして自信も出てきた頃、SSLに応募した理由でもある「自分と同じ“純ジャパ”に交流の一歩を踏み出してほしい」という想いをイベントで実現したいと考える余裕が出てきた。

お気に入りの番組「地球アゴラ」

国際交流想いを実現するために何をすべきか? でも、そもそも異文化交流に興味があっても、ICCの存在を知らなかったら参加できないのではないか? そこでICCを広く知ってもらえるようなイベントを開催したいと強く思うようになった。

そんな時に、毎週録画して見ていたNHK-BSのお気に入り番組「地球アゴラ」が、いつものNHKのスタジオでなく大阪大学で生放送しているのを見た。「地球アゴラ」は、世界各地で暮らす日本人(番組では“アゴラー”と呼ぶ)とスタジオをインターネットで結んで、日本とは異なる“海外の流儀”を知る番組である。録画で見た時は、大阪大学の学生とアゴラ―が面白い“世界のイノベーション”について熱く語っていた。

そこで思った。「地球アゴラ」を早稲田大学で放送、それもICCが何らかの形で関われれば面白い番組になるのではないか?

ICCは「異文化交流・異文化理解」を促進する大学機関である。ICC×「地球アゴラ」のイベントが開催できれば、イベント参加者は番組出演・番組観覧という形で「異文化理解」ができる。ICCの新たなイベントの形になるのではと思った。もちろん、もっと多くの早大生にICCのことを知ってもらいたいという思いで頭がいっぱいだった私にとって、ICCの大学での認知度が高まるという期待も大きかった。

放送までの道のり

ということで、思い切ってICCのスタッフの方々に相談してみた。55分のNHK-BS番組でICCをフィーチャー?! 最初は職員の方も「実現は難しいのでは?」と思ってらっしゃったかもしれないが、私の熱意と迫力に押されたか(笑)チャレンジしてみましょうということで、大学の広報課にも相談の上、結果的にめでたく早稲田大学での公開収録、そしてICCを取り上げていただくことが決定した。

地球アゴラその瞬間から怒涛の広報戦略が始まった。ICCでは様々な種類のイベントを開催しており、参加人数はさまざまだが、近年で一番参加者が多かったのは300人。一方、公開収録は収容人数1,121席の大隈大講堂で行われる。300人の観覧者が集まってもすかすかだ。しかも収録時は、ゴールデン・ウィーク直前の日曜日。学生は果たして収録を観に来てくれるのか? そんな不安と戦いながら文字通り頭をフル回転させて、考えうる限りあらゆる広報努力を行った。

そんな努力の甲斐あってか、当日は約650人の参加者が集まった。こんなに多くの学生が貴重な日曜日の午後の時間にわざわざ大学に来てくれて嬉しかったのと同時に、ICCのスタッフ一人ひとりの協力に感謝の気持ちでいっぱいになった。もちろん、テレビの前で見てくれた学生もいたのではと思う。その後「地球アゴラ」は2度にわたって再放送が行われた。

当事者意識を持って考え、行動する

私は運良くSSLになり、運良く素晴らしい学生スタッフの仲間と職員の皆さんに囲まれ、運良く自分の想いを込めた企画を「地球アゴラ」公開収録という形で実現することができた。振り返ってみて、つくづく私は幸運だったなと思った。でも運に助けられただけで1年半が過ぎたわけではないと思う。自分なりに悩んで考えて無我夢中で努力をした結果、ICCを通じてたくさん成長させてもらったなと感じている。

特に大きいのが、“当事者意識を持って考え、行動すること”を身をもって学んだことだ。当たり前のことかもしれないが、SSLになる前は全然できていなかった。SSLになったばかりの頃も、先輩から指示されたことをこなすだけで精一杯だった。しかし業務に余裕が出てくると「どうすればより良いイベントになるか」と主体的に考え、行動できるようになっていた。「地球アゴラ」に関しても、ICCスタッフの一員として「“純ジャパ”に国際交流の一歩を踏み出してほしい」という想いから、企画から広報まで考え抜いて、実行に移せた。結局は、直接的に“純ジャパ”向けのイベントを開催できたわけではないが、少なくとも番組を見て、国際交流は怖いものじゃないから一歩踏み出してみようと思ってくれた学生がいれば嬉しいと思っている。

他にも、ここには書ききれないくらい多くのことをICCで学ぶことができた。それなのに、なぜ3年の春学期でSSLを卒業するのか。それは、秋学期からアメリカへ1年間の交換留学が決まったからだ。留学オリエン後の私が、2年後に自分が留学に行くことなんて知ったら信じられないと驚くだろう。それだけ、ICCは私を変えてくれた。私の早稲田ライフはICC抜きでは語れないし、ICCには感謝の念でいっぱいだ。

最後に商学部の経営専攻の学生らしく、あのドラッカーについての本にかけてまとめたい。もし日本で生まれ育った早大生がICCの学生スタッフになったら? この1年半でその答えを体現できたと思う。

国際交流3

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