Waseda University Intercultural Communication Center (ICC)早稲田大学 ICC(異文化交流センター)

その他

現場で感じる異文化交流の醍醐味 (中馬 一徳)

pic131015-1政治経済学部5年
中馬 一徳
ICC学生スタッフリーダー在職期間
2012年6月~2013年7月

ICCとの出会い

大学の寮にRAとして2年間住み、大学のプログラムで1年間留学し、帰国後は大学機関のICCで約1年間学生スタッフとして働いた。私の学生生活の集大成となったのが、ここICCでの活動だった。

大学4年を迎える直前の春休みに、私はアメリカ留学から帰国した。周りの友人たちは就職活動の真っ最中。かく言う私は、アルバイトもろくにせず、友人宅に居候していた。4月に4年生となり、同じ年に入学した友人たちは企業から内定をもらいはじめ、一方自分は学生ニートという状況。さすがに「そろそろ何かしないと」という焦りが出てきていた。ちょうどその時ICCが学生スタッフ(以下、SSL)を募集しているのを見つけ、応募した結果、幸運にも採用され、SSLとして働けることとなった。

大学1、2年生のとき、日本人と留学生が住む国際寮で暮らし、その後約1年間、アメリカ留学を経験した自分にとって、キャンパスにおける国際交流促進を目的とするICCに興味を持ったのは自然なことだった。とりわけICCでこういうイベントを作ってみたい!という強い想いを持っていたわけではないが、これまで国際寮や留学を通して自分が経験してきたことをここでは生かせるのではないかという思いのもと、ICCで働き始めた。

SSLとしての経験

1) トーク・セッション:未知を求めて三万里~早大OBノンフィクション作家が語る探検の魅力~
4年生の6月からSSLとして働き始め、事務作業のノウハウやイベントの設営・運営方法を先輩SSLから学ぶうち、あっという間に前期が終了してしまった。事務作業と一言で言っても、チラシやポスターのコピー・カウンター業務・議事録・発送作業等、仕事内容は多岐にわたる。なかでもSSLの最も重要な仕事が「イベント企画」だ。ICCでは、スタッフ一同日々様々なイベントを考え、あらゆるニーズに応え、工夫を凝らしながら、年間で370を超えるイベントを行っている。私たちSSLも370あるイベントの1つを実施するために、自分たちの脳みそをフル活用し、アイデアを絞り出している。しかし、絞り出そうとしたところでそう簡単には出てこないのが現実で(私の場合・・・)、先輩や後輩のSSLが魅力的な企画を打ち出す中、自分は長い間考えあぐねていた。

pic131015-2そんなとき、早大出身ノンフィクション作家の高野秀行さんの著書を高野さんの熱烈なファンである友人から紹介された。高野さんの代表作「ワセダ三畳青春記」をはじめ何冊か読んでみると、独特のユーモアあふれる文章が非常に面白く、すっかりファンになり、高野さんをお招きしてのトーク・セッションを企画することを決めた。単純におもしろそうな探検の話が聴きたいという動機がもちろん強かったが、企画書に仕上げていくなかでもう少し突き詰めて考えてみると、自分の興味の赴くままに世界を駆け、その過程で興味深い体験や友情を得て、自分の人生を豊かにする、そんな高野さんの生き方が、「グローバル人材たれ」という大きなプレッシャーを負わされている今の早大生に、ある意味強烈な刺激になるのではないかと思ったのだ。実際、内向き志向が指摘される昨今、「海外」というと、ビジネスや外交、国際協力といった高尚な目標を掲げなければならないというプレッシャーが私たち学生間にも強くなってきているようにも感じるが、「将来役に立つ(であろう)こと」ばかりを賢く選んでいてもつまらない。高野さんのように学生ならではのはちゃめちゃなエネルギーをそのまま海外にぶつけるような生き方も、結果的になんらかの形で将来の糧となるような気もするし、そんなところに早大生らしさが潜んでいるような気もする。

企画書をお送りすると、幸運にも高野さんからはご快諾のお返事をいただけ、すぐに日程調整に入った。時はすでに12月も中旬、私は就職活動を始めていたこともあり、高野さんの今後のご予定も考慮し、イベントは5月に開催することとなった。このように書くと、企画することを決めた後はいつも簡単に事が進んでいるように思われるかもしれないが、全くそんなことはなく、職員の方と納得のいく企画書ができるまでを何度も推敲を重ねて・・・という具合であった。

その後、なんとか就職活動を終わらせ、無事にイベント当日を迎えることができた。高野さんは学生時代、探検部に所属されていたこともあり、トーク・セッションには探検部の後輩も駆けつけ、また「高野さんの本を読んで、早稲田に入りました!」という学生などもいて、イベントは盛況のうちに終えることができた。時間と労力をかけた自らのイベントを無事終えることができたときの充実感、やり終えたときの安心感は忘れられない。一学生スタッフがイベントを企画し実施することができる環境、そしてそれをサポートしてもらえる環境にいられたことを幸せに思う。

2) にほんごペラペラクラブ
さて、1月にトーク・セッションの企画書を作成するまで、後期の間ボーっとしていたわけではない。10月、11月には、後に定番のイベントとなる「にほんごペラペラクラブ」の運営を担当させてもらった。これは、「初対面の人ばかりだと緊張する」といった意見や、「一度だけのイベントだとそんなに仲良くなれない」といった留学生の悩みを少しでも解決できたらという狙いのもと、週に1度、毎回同じ顔ぶれで集まって日本語を話す、クラブ形式のイベントである。当初、「ペラペラクラブ」というイベント名については個人的に心配をしていたが(笑)、それは杞憂に終わった。蓋をあけてみれば、毎回多くの留学生とサポートする日本人学生がさまざまなアクティビティや日本語でpic131015-3のおしゃべりを目一杯楽しんでくれた。留学生のメンバーから「ペラペラクラブは一番充実したICCの活動だと思う」という言葉をもらった時は本当に嬉しかったし、クラブ活動の時間だけでは話し足りず、ご飯にいって交流を深めたり、クラブ外でも集まって遊びに行ったりと、クラブでの出逢いが更なる交流の発展へと繋がっていることにもやりがいを感じられた。私自身も毎回のクラブ活動の現場では、国際寮のRAや留学先での経験から、「留学生の日本語がたどたどしいからといって子ども扱いしない」「まずは話を聞き、留学生の言葉を受け止める」ことなどを常に心掛けていた。サポーターからは、「片言の日本語でも一生懸命に話し、みるみる上達していく留学生の姿に挑戦する勇気をもらった」という意見なども出ていた。このように、留学生、日本人サポーター、機会を提供するICC、それぞれにとってWIN-WIN-WINの関係が成り立つのが、この「にほんごペラペラクラブ」ではないだろうか。

このクラブは、もともと日本語教育研究センターの先生からご相談があり、ICCで形式を考え、内容にも工夫を凝らすことで、ニーズに合ったものの提供を試みた。2012年10月11月、2013年6月を担当したが、それぞれの月でサポーターさんの個性が発揮され、毎回新鮮な「ペラペラクラブ」を皆で作り上げることができた。手探りで始めた企画が今後も長く続くであろう定番企画に発展したことを非常に嬉しく思う。

学生スタッフを経験して得られたもの

pic131015-4一言で言うと、それは、多様な価値観を知れたこと。言語や文化の全く異なるアメリカへ留学した1年間より、ICCで仕事をした1年間の方が様々な価値観に触れることができたと言っても過言ではない。それは、ICCで活動する中で、自分自身が交流することに必死だった時よりも、客観的に交流を見つめることができたからではないだろうか。自分自身が企画したイベントは少なく、その分私が味わった「達成感」は他のSSLに比べると少し少ないかもしれない。しかし、その分「現場要員」として、定番企画や他のSSLが企画したイベントの現場を数多く体験させてもらった結果、現場でこそ感じられる多様な価値観に触れられたのだと思う。今後SSLにチャレンジしたい早大生の皆さんも、アイデアがあればあるなりに、少なければ少ないなりに貢献できること・自身が得られることがあると思う。こんなところにも、価値観のダイバーシティがふつうに存在するICCのよさがある。

最後に

私がICCで様々な出逢いに恵まれたように、今後も一人でも多くの人にとってICCが「きっかけを得られる場所」であり続けることを願いつつ、最後に、この場を借りてICCで出逢ったすべての人に感謝の気持ちを伝えたい。ありがとうございました。

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