Waseda University Intercultural Communication Center (ICC)早稲田大学 ICC(異文化交流センター)

その他

ICC学生スタッフリーダーを経験して(西 裕也)

早稲田大学政治経済学部5年

西 裕也

ICC学生スタッフ在職期間

2007年12月~2009年2月

 

【志望動機】

私は早稲田大学に入学する前から、「大学に入ったら積極的に異文化交流をしたい」という漠然とした思いを持っていた。しかし、大学の中でその種の交流イベント等をメインに行っている大学の部署や機関はなかった。そのため、私が留学する大学3年の9月までの間に、大学の中で異文化交流をした経験はほとんどゼロだった。

その後の1年間の留学を通じて、私は「留学先にあるような異文化交流を促進する部署やプログラムが、早稲田にもあったら・・・」と思っていた。そんな矢先に、私が留学する直前に大学にできた、国際コミュニティセンター(International Community Center,以下ICC)が学生スタッフリーダー(Student Staff Leader,以下SSL)を募集しているという情報が、Waseda-net上に載っているのを偶然見つけた。募集がかかった当時、ICCは開設からまだ1年ちょっとということあり、「早稲田に新しい空間を創っていくための一翼を担いたい」という思いから直ぐに応募した。

応募の決め手となった一番の理由は、「してあげる・してもらうではない双方向の交流の実践」というICCの基本姿勢である。私は留学中の一年間、大学の寮で、国や年齢等バックグラウンドの全く違う人々とフラットシェアをしていたが、そこで共に過ごした人々は、言葉の壁やバックグラウンドの違いを否定し合うのではなく、尊重し合う姿勢を持っていた。一緒に住んでいた他のフラットメイトと比較して、私の英語力は圧倒的に欠けていたが、フラットメイトはそんなことは全く気にすることなく、全員が対等に互いの人間性を知ることを楽しんでいた。そういったことこそが本当の意味での双方向の交流である、とフラットシェアを通じて実感していた当時の私は、ICCの「双方向の交流の実践」という基本姿勢を知った時、強く共感したのを今でも覚えている。

 

【心構えの変化】

SSLとして常に心がけなくてはいけないことは、「SSLは学生として見られるのでなく、早稲田大学の一職員として見られる」ということだった。カウンター対応や電話対応等の業務において、自分自身は学生だという認識を持っていても、来客者や電話を掛けてくる方々にとっては、対応者が学生かどうかということは関係ない。それらの人々と接している間は、常に自分は早稲田大学の代表として見られている。SSLになる前までは、学生として大学のサービスを「受ける側」であったが、SSLになってサービスを「提供する側」になってみて、大学側の人間としての責任感のようなものを感じた。その責任感というのは日を追うごとに大きくなっていったように思う。

 

【日常業務】

SSLの仕事は、「異文化交流イベントの企画・運営」と聞くと華やかなイメージがあるが、そういう部分ばかりではなく、むしろルーティンワーク・オフィスワークがその中心である。カウンター対応や電話対応、機材の取り扱いや書類作成等多くの業務がある中で、SSLになった当初は、「この仕事を全部覚えるのか」と驚いた。しかし、専任スタッフの方々や先輩SSLが何度も丁寧に指導してくださる中で、徐々にそれらの業務にも慣れていった。

イベントの企画・運営というのはSSLにとってとても重要な部分であるが、通常、大学の部署・機関が主催するイベントの企画・運営を、学生が任せてもらえる機会はなかなかない。そのような経験を有り難くも積ませてもらえるのは、専任スタッフの方々がSSLを信頼してくださるからだと思う。だからこそ、専任スタッフのそういった信頼に答えるためにも、日常業務を疎かにせず、しっかりとこなすことが重要であると私は強く感じた。

 

【イベントを創り上げていく醍醐味】

SSLは、自らが開催したいと思った企画案を、自由に専任スタッフに提案することができる。それが、実際に企画になるかどうかは専任スタッフとの話し合いによるが、企画としてGOサインが出た場合、企画者としてそのイベントの運営を中心となって行うことができる。イベントの企画・運営とは企業との交渉(協賛を取る場合等)、ゲストスピーカーとの交渉等も含まれる。先にも述べたが学生にも関わらず、このような経験を積める機会はめったにない。もちろん、そこには問題や苦労が伴うこともあるが、そういったことを乗り越えて、実際に自分の企画が目の前で行われていくのを見た時の、達成感と感動は計り知れない。

またイベントを企画するに当たって、自分が持つネットワークを生かせるというのも魅力である。ICCのイベントは、SSLが所属するサークルや友人などの協力を得て行われることも少なくない。実際に私も、過去に私が履修していた授業の教授に、イベントへの協力をお願いしたことがあった。このように自分が既に持っているネットワークを生かして、自分の周囲の人々をICCに巻き込んでいくことができるのも大きな醍醐味である。

そして何よりも大きいのは、自分自身が携わったイベントを通じて、参加者同士に絆が生まれ、イベントが終わった後も、その関係が続いているのを知った時の喜びである。私が携わったイベントの参加者同士が、イベント終了後もたまにICCに来て談笑しているのを見た時は、「本当にあのイベントに携わることができてよかった」と心から思ったし、幸運にもそういったシーンに何度も出会うことができた。

 

SSLとして最後のイベント:第2回無国籍キャンプ in 沖縄】

私にとってSSLとしての最後のイベントは無国籍キャンプ in 沖縄だった。「どこから来たのか、言わない、問わない」というルールで、本名・国籍・年齢・所属を隠しながら過ごすことで、国籍などから来る既成概念から解き放たれよう、という企画の無国籍キャンプ。私は第1回の無国籍キャンプの直前に、急遽同行スタッフとして行くことになり、そのコンセプトと、参加者同士が互いのバックグラウンドを超えて交流している姿に感動して、今度は最初からイベントに携わりたいと思い、第2回無国籍キャンプ in 沖縄をもう1人のSSLと共に企画した。

第2回、さらには日程が4泊5日ということもあり、キャンプ期間中のアクティビティやディスカッションをいかに充実したものにするか、そのファシリテーションをどうするか、業務時間内、時間外に関わらず真剣に語り合った。特に正式に同行するSSLが決まった後は、そのメンバーとサポーターを含めて何度も何度も、中身の話し合いや修正を繰り返した。そういったことを通じて、私は改めて「自分は素晴らしいメンバーと活動しているんだな」と感じたし、このメンバーとなら絶対に成功させることができるという自信もできた。

そして迎えた第2回キャンプ。参加者全員が、互いの本名・国籍・年齢・所属やバックグラウンドを知らない時も、それらをお互いに告白して知った後も、全く変わらぬ様子で向き合っているのを目の当たりにした。そのことを通じて、「最後のSSLとしてのイベントがこの無国籍キャンプで本当によかった」と心から思ったのと同時に、このイベントを一緒に創り上げたICCスタッフとSSL、現地でお世話になった人々、そして参加してくれた学生に感謝の気持ちが込み上げてきた。

 

【最後に】

ICCでSSLとして活動して、SSLになる前よりも、私は早稲田大学をもっと好きになった。早稲田大学はよく「多様な人が集まる大学」と言われるが、私自身はSSLになる前までは、ずっとサークル中心の生活を送っていたので、あまりその多様性に触れることはなかった。しかしSSLとしての約1年を通じて、本当に多くの人と出会い、その多様性に触れることができた。そしてICCで私を支えてくれたセンター長と専任スタッフ、一緒に活動させてもらったSSL、そしてイベントに協力・参加してくださった人々は、その多様性の中で、言語や文化などのバックグラウンドの違いを超えて、人とフラットに接することができる、本当に素晴らしい人々ばかりだった。そういった人々と出会うことができるのが、早稲田であり、ICCであると思う。卒業を前に改めて、ICCへの愛着、早稲田への愛着を強く感じた。

このICCが今後も早稲田の中で、「双方向の交流の実践の場」として、早稲田でますます飛躍することを心から願っている。

 

 

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