Waseda University Intercultural Communication Center (ICC)早稲田大学 ICC(異文化交流センター)

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話して発見、広げて価値観 早稲田SDCヒューマンライブラリー企画者レポート

Photo by ICC

113日(土)、「早稲田SDCヒューマンライブラリー~話して発見、広げて価値観~」を開催しました。 

ヒューマンライブラリ―とは、2000 年にデンマークで始まった取り組みで、本のように人を貸し出す図書館のことです。ゲストを「本」、参加者を「読者」、そしてスタッフを「司書」と呼びます。社会のなかで誤解や偏見を受けやすい人々が「本」になり、自身の経験を「読者」に共有し、少人数の対話を通して互いのライフストーリーや価値観に理解を深めます。 

ICCでは2018年に開催したことがありましたが、今回は5年ぶりの開催となりました。 

「本」の方々には自身のお話にタイトルとあらすじをつけていただき、それを見て読者のみなさんに興味のある本を決めてもらいました。本との対話を通して一人のライフストーリーを深く知ることでそれまで自分が無意識に持っていた偏見や新たな価値観に気付いたり、読者が自分自身のアイデンティティを認識したりというきっかけになってほしいという思いで企画しました。 

さらに、本学学生部に所属する3オフィス(アクセシビリティ支援センター(ARC)、GSセンター、ICC(異文化交流センター))からなる、スチューデントダイバーシティーセンター(SDC)として開催することで、早稲田の多様性理解を推進したいという目的もありました。

今回は、本学学生、教職員、卒業生から総勢10名のゲストにご協力いただきました。当日は約30名の参加者にご来場いただき、無事にイベントを終えることができ、参加者・ゲストからは以下のような声が寄せられています。

参加者の声 

  • (I enjoyed) Knowing more about self-indenture, and listening to very amazing life experiences. 
  • 普段何気無く生きていては気づけなかったような考え方や生き方を学べることは本当に貴重だったと感じた。 
  • 日常生活で関わることがないテーマを、ゲストの方が取り上げ経験を共有してくれて嬉しかったです。交流ができたし考えるきっかけにもなりました。 

ゲストの声 

  • 一方的にお話しするだけでなく、最後に少人数でのディスカッションの時間があったことで、話に深みが出たと思います。備蓄の具体的な疑問や心の復興とは何か?など質問いただき、話の重要点を、掘り下げることができました。震災の経験などは、気軽にお話しするには重たいテーマですが、今回取り上げていただいたことで、普段関わりのない現役の大学生の方にお話しできて嬉しかったです。 
  • 最初はきちんと務まるのか?と不安でしたが、実際やってみるととても楽しく有意義な時間でした。他の「本」のみなさんもさまざまなバックグラウンドを抱えていて少しお話を伺うだけでも知見が広がりましたし、「読者」のみなさんとの対話も言わずもがなです。 
  • 始まるまではまったく展開が読めませんでしたが、みなさんとても熱心に話を聞いてくださり、それぞれの悩みも素直に打ち明けてくださったことで、まだまだ日本の未来は明るいと感じましたし、これからもこのような活動を積極的に増やしていきたい、と意欲が湧きました。 
  • 自分のこれまでの経験を人に聞いてもらうことで、私自身の思考のプロセスがはっきりしました。また、留学生の方も話を聞きに来てくれたため、多様な視点から自分の経験を客観的に見ることができました。
  • 初めは緊張していたが、セッションを重ねるたびにリラックスしていった。自分が話すテーマについて興味関心をもってくださる人がいて嬉しかった。セッションは少人数のため多くの質問に答えることができ、考えを深めながら対話を進められた。
  • この企画があってよかったと思う。今後も続けてほしい。
  • 実際の学生の皆さんとの時間は足りないぐらいでしたので、もっと長くお話できる機会があれば嬉しいです。また、色々なバックグラウンドのある本の方々と短時間ではありますがお話できたことも大きな経験となり、感謝しております。貴重な機会をいただき、どうもありがとうございました!
  • 今回の機会をいただくことがなかったら、ICCのイベントに参加することはなかったと思います。私の話はグローバルとはほど遠い話であったため、今回のお話をいただいた時は不安でした。しかし、聞きに来てくれる方々が非常に前向きで、しっかりと対話ができたのがよかったです。改めて、自分自身の経験を振り返る良い機会でした。ありがとうございました。

 イベントにご参加・ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました! 

ぜひスタッフ・参加者レポートもご覧ください。 

 

スタッフレポート 

ヒューマンライブラリー 体験記① 

ICC 学生スタッフ みさき 

「ヒューマンライブラリーって何?」イベント名を聞いてそう感じる人がほとんどだと思います。私もこのイベントを企画・運営するまでこの言葉を全く知らず、本に関するイベントかな?と思っていました。ですが、イベントについて調べると、ゲストを「本」と例えていることを知り、面白いなと感じました。そしてこのイベントが他の多くのイベントとは異なるポイントは、一人のゲストに対して5人の参加者という少人数での対話を行うことで、実際に本を読むときのように、話を聞きながらその人の経験や想いを深く知っていくことができることです。深い部分に触れられるからこそ、新しい発見や共感、驚きなどを得ることができます。 

開催にあたり、どんなイベントか私たちも理解するため、スタッフ内でヒューマンライブラリーの体験会を実施しました。私は普段一緒に働いている後輩の読者となりました。普段一緒に過ごしている中では聞いたことのなかった経験や、今まで感じてきた不安や葛藤を聞き、その人の新たな一面を知るだけでなく、今までの自分の行動や社会の風潮について考え直すきっかけとなりました。特にICCのスタッフとして様々な国籍・年齢・性別の人と関わる中で、一言目に話しかける言語や言葉遣いをどうするか、配慮が必要な人の手助けをどこまでするべきか、見た目や思い込みで判断せず相手の気持ちに立って慎重に考えるべきだと感じました。 

実際に自分たちが本、読者となった経験を活かし、今度は司書として、本番に向けての準備も進めていきました。「マイノリティ」「ダイバーシティ」という言葉から多くの人が想像するようなテーマだけでなく、幅広いテーマに触れることができるイベントにしたいという思いでゲストを探しました。今回は早稲田の在学生・卒業生・教授から10名の方に引き受けていただき、「#心の復興聴覚障害セクシュアルヘルス東日本大震災無国籍 #LGBTQ」など、多様なテーマでそれぞれの経験を語っていただきました。悩みや辛い経験を明かしてくれた本もあれば、周りのイメージとは異なる自分なりの幸せを教えてくれた本など、心を動かされるものばかりでした。同じ学生という立場で本になってくれた人もいましたが、同じ大学に通っていても、これまでの経験や早稲田大学に入るきっかけは様々で、そんな色々な人がここ早稲田で出会えたことが不思議で、嬉しいことだなと、私はこの機会を通じて感じました。 

今回、このようなイベントを無事に形に出来たことは大きな一歩だと思っています。ですが、本当はもっと多くの人に知ってほしい・・・!そんな素敵なイベントです。ICCではまたさらにパワーアップした形で、イベントを開催していければと思っています。ぜひ誰でも!気軽に!参加してほしいです。今後のイベントもぜひお楽しみに! 

改めまして、今回ご参加いただいた読者の皆さん、素敵なお話を共有して下さった本の皆さん、そして一緒にイベントを作り上げた司書の皆さんに感謝申し上げます。 

 

ヒューマンライブラリー 体験記② 

ICC学生スタッフ いろは 

ヒューマンライブラリーについて調べていく中で、こんなに多様なバックグラウンドを持つ人たちに、根掘り葉掘り話を聞ける機会は無い!と思いこのイベントを企画することにしました。 

きっかけは、昨年まで、ICCの入口の近くの壁に貼ってある沢山のポスターでした。様々な人の顔とカッコ良いキャッチコピーがずらりと並んでおり、それが2018年に行われたヒューマンライブラリーのポスターであるということを知ったのはつい最近でした。ヒューマンライブラリーって、調べてみると実は他大学のゼミや専門の団体があったりなど、いたるところで開催されているんです。私も企画段階で、外部のヒューマンライブラリーに参加してみました。ヒューマンライブラリーでは、参加前に、当日の「本」となるゲストの方のあらすじを事前に読むことができるのですが、「正直、興味がないかもな…」と思った人の話も聞くことがあります。しかし、いざお話を聞いてみると、これまで聞いたことのない話や経験がとても興味深く、その人の話がきっかけで今もそのテーマについてのニュースをチェックしたりしています。また、本の方の話から自分の経験も照らし合わせて、そういえば自分にもこんな経験や悩みがあったなあ、と、自分についても学ぶことがありました。そして何より、本の方の生い立ちや普段話さないことを話すうちに、とても心が温かくなりました。「本」の方と読者となる方皆がお互いを尊重し話を聞いてもらえる空間ってこんなにもぽかぽかした気持ちになれるんだ、と思いより一層ICCでも企画したいと思いました。 

開催までは本当にあっという間でした。ゲストの方を探し、ミーティングを重ねると同時に、当日に向けた資料作成、スタッフ内でのヒューマンライブラリー体験会等も行い、一緒に企画したみさきさん無しでは何もできませんでした。ただそれと同時に、快くヒューマンライブラリーにご協力していただいた本となるゲストの方のお話もとても興味深くもっと多くの人に知ってもらいたい、もっと話してみたい、とワクワクしながら準備を進めることができました。 

イベント当日は、終始温かい雰囲気でイベントが行われました。参加者数の関係でセッションの数を減らさざるを得ない状況にはなってしまいましたが、参加者の皆さんが、しっかりと本の方のお話を聞いている姿が印象的で良かったです。私も何度かセッションに参加しましたが、改めて本の方の話すべてが自分にとって新鮮で素敵な時間を過ごすことができました。また、自分が本の方に対して改めて偏見を持っていることにも気づかされました。依頼をする際に、きっとこんな話をしてくれるのではないかという想定を勝手ながらしていたのですが、実際に話を聞いてみると、自分の抱いていた想定自体が偏見だったことに気付かされ恥ずかしくもありました。別のセッションでは、本の方の話から、自分が抱えていた悩みと同じ悩みを抱えていたということを知り、心が軽くなったこともありました。参加者の皆さんも、このイベントで、本の方や自分自身のことについて何かしらの新たな発見を得ることができていたら嬉しいです。 

最後に、改めて本イベントにご協力いただいたゲストの皆さま、読者の皆さま、ICCを始めSDCのスタッフの皆さま、本当にありがとうございました。 

もっともっと多くの人にヒューマンライブラリーの良さを知ってもらえるように頑張ります!! 

Image by ICC

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