Waseda University Intercultural Communication Center (ICC)早稲田大学 ICC(異文化交流センター)

その他

”和食”の魅力に迫る! 本物のダシを味わうことは教養である 企画者・参加者レポート

企画者レポート

和食の深淵な魅力に触れる

ICC学生スタッフリーダー(SSL)ケント

はじめに

2023年12月1日に私の2つ目の担当企画として、「”和食”の魅力に迫る!~本物のダシを味わうことは教養である~ ICCジャパニーズ・カルチャー・イベント」を開催しました。

京都の料亭「菊乃井」の村田吉弘氏をお招きし、和食の魅力の奥深さに触れ、理解を深める機会になればと思い、本イベントを企画しました。

(Design by ICC)

企画背景

私は高校3年間アイルランドに留学をし、人生で初めて日本以外の食文化に触れました。それまでは身近なものすぎてそのことについて考えることすらありませんでしたが、留学をきっかけに日本と海外の食文化の違いや海外における日本食の在り方について考えるようになりました。

日本の食文化である”和食”は留学生にとってはもちろんのこと、留学前の私のように日本で長く過ごした人にとっても(日本で長く過ごしたからこそかもしれませんが)分からないことが多いものだと思います。和食は 2013 年にユネスコ無形文化遺産に登録され、それからの10年間で世界の多くの人々に周知されることとなりました。聞いたことはあるけど詳しくは分からない、そんな和食の真髄に迫るイベントを開催したいと思い、今回この企画を発案しました。

本イベントを開催するにあたって、京都の料亭「菊乃井」で料理人をされている村田吉弘氏をゲストとしてお呼びし、和食に関する講演をお願いしたいと考えました。拠点を京都に置いていられるということで、本イベントにご協力いただけるか、また対面開催のために早稲田大学までお越しいただけるか正直不安でしたが、ご快諾くださり、逆に驚きながらも  、大変有り難い思いでいっぱいでした。

また、和食について知るためには講演で話を聞くだけでなく、実際に体感してもらった方が参加者にも伝わると思い、何らかの試食品をイベント中に提供したいと考えました。そこで今回は、菊乃井さんの赤坂にある店舗にご協力いただき、出汁の試飲による五感でも和食を感じることできるイベントを目指しました。

イベントの様子

イベントでは村田氏による和食についての講演の後、参加者同士でのディスカッションを行い、最後に質疑応答の時間を設けました。

講演では、日本の食文化に根付く精神や、稲作の性質、うま味等の側面から、日本料理とは何かについて紹介していただきました。単に料理としての特徴を学ぶだけでなく、その歴史・文化的背景についても知ることで、より深い異文化理解、学びにつながったのではないかと思います。個人的には、食材はすべからく自然や神様からの頂きもので、あるがままの姿で完成形、という精神は引き算の料理である日本料理において根幹となるものだという風に感じました。

(photo by the Washoku Association of Japan)

その後のディスカッションでは、講演を通じて感じたことを参加者同士で共有する時間にしました。当日は様々なバックグランドを持った学生が参加していて、感じ方、考え方も人それぞれだったので、和食の色々な捉え方を知る機会になりました。また、この時間で参加者の皆さんには出汁を試飲していただきました。イベント後のアンケートにも出汁についてのコメントが多く、皆さんに楽しんでいただけたようで嬉しく思います。実は、我々ICCスタッフのイベント開始前に出汁の試飲をさせていただき、優しい出汁を味わうことでイベント開始前で緊張している心を落ち着かせていました(笑)。

(photo by the Washoku Association of Japan)

最後の質疑応答では、ディスカッションタイム中に集めた参加者からの質問に村田氏からコメントを頂きました。普段、なかなか直接お話を伺う機会のない村田氏に多くの質問が寄せられ、全てに回答していただくことはできませんでしたが、それでも学生からのリアルな疑問に対して、直接ご返答いただける非常に贅沢な時間となりました。

イベントを終えて

まずは3ヶ月の間準備してきたイベントを無事終えることができてほっとしています。もちろん反省点もありますが、特に今回は自分のやりたかったことをやりたかった形式でイベントにすることができたので、得るものが多く、達成感のあるイベントでした。イベントにご協力いただいた株式会社菊の井、特定非営利活動法人日本料理アカデミー、その他関係者の皆さん、サポートしてくれたICCスタッフ、そして本イベントに参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました!

(photo by the Washoku Association of Japan)

*  *  *

参加者レポート

多面的に読み解く和食と出汁の魅力

社会科学部 M.K.

私は現在大学4年生で、来年の3月に大学を卒業します。卒業前にもっと早稲田大学で色々な経験がしたいと思い、今月からICCのイベントに応募し始めました。

本イベントのタイトルは「和食の魅力に迫る!~本物のダシを味わうことは教養である~ 」です。私は料理が好きで、特に茶碗蒸しが得意料理なので、出汁についてもっと学んで料理に生かしたいと思い応募しました。また、イベント紹介ページに「出汁の試飲ができる」と書いてあった点に惹かれて参加を決めました。

当日はまず、京都の料亭「菊乃井」代表取締役である料理人、村田吉弘氏の講演をお聞きし、その後に4〜5人のグループで出汁を試飲しながら村田氏に質問したいことについてディスカッションし、最後に質疑応答の時間があるという流れでした。

講演では、和食の歴史や他の料理ジャンル(フレンチ、イタリアン、中華など)との違い、出汁のメカニズムなどについて学ぶことができました。世界各国の他の料理ジャンルとは異なり、和食は出汁を主役にした唯一の料理だというお話があり、自分の国の文化が世界唯一の特徴を持っていると知って誇らしい気持ちになりました。

また、他の料理ジャンルでは食材に重ね重ね手を加えることで料理を完成させますが、和食においては「神様が作った食材に手を加えるなんて烏滸がましい」という視点から、素材をそのまま楽しむ姿勢があると学びました。

さらに、イノシン酸×グルタミン酸など、複数のうまみ成分を掛け合わせることで出汁の味わいが飛躍的に向上すると学び、私も自分が料理をする際に生かしたいと思いました。古来より受け継がれてきた出汁という文化に、化学的なメカニズムも含まれていると知り興味深かったです。

ディスカッションの時間には出汁の試飲に夢中になってしまい(美味しくてお代わりもしました)、あまり質問が考えられなかったのですが、初対面の方達と美味しい出汁を飲みながら料理や食について語り合う時間はとても心地良かったです。

質疑応答で最も印象に残っているのは食育についてのお話です。「日本の食料自給率が下がり続けている中、どのような対策が必要だと思いますか」という学生からの質問に対し、村田氏は「和食を守り育てるためには子供達への食育が大切。学校の給食から見直していく必要がある」と仰っていました。文化を守り育てるためには次世代への継承に力を入れる必要があると学び、私も将来子供を持った時には出汁を使った美味しい和食レシピを教えてあげたいと思いました。

同じ大学に通っていても徐々にコミュニティが限定されがちですが、ICCのイベントでは普段接点のない学生と合流でき、新たな友人の輪が広がったり知らなかった価値観に触れることができます。「異文化交流センター」と聞いて英語で話さなければいけないのかと身構えていましたが、実際には日英併用のイベントや日本語で参加できるイベントもたくさんあるため、英語に自信がない学生でも参加しやすいです。

テーマも面白いものばかりなので、ぜひ皆さんにも参加してみてほしいです!

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