Waseda University Intercultural Communication Center (ICC)早稲田大学 ICC(異文化交流センター)

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かけがえの無い記憶 ICCランゲージ&カルチャーエクスチェンジプログラム 参加者レポート

商学研究科 Kaki

「言語は所詮コミュニケーションの道具にすぎない。言語そのものを目的とするのは大間違いだ。言語を学んでいる間、皆それぞれ自分なりの『目的』を見つけて欲しい」

学部生の頃、日本語学科を専攻とした私に、初日の授業で先生がそう教えてくれた。この言葉は今でも鮮明に記憶に残っている。

光陰矢の如し。日本語を勉強し始めたのが6年前のことである。当時は「あいうえお」やカタカナの読み書きを必死に覚えようとしていた初心者だったが、日本語を操って一定程度の意思疎通ができる中上級学習者まで成長してきた。そして、学部卒業後、自分の中で一時期日本語学習にやる気を失い、いわゆる倦怠期を迎えたことがあった。「日本語はまあまあできているし、これ以上いくら頑張ってもどうせネイティブには勝てないし」と思う自分がいた。それに気づいたとき、学部のときの先生の言葉が再び、一瞬頭を過った。私にとっての日本語を学ぶ「目的」は何だろう。恥ずかしながら、6年目を迎えても、自信を持って答えを出すことができていなかった。そもそも、周りの多くの学習者のように「日本のアニメが好き」と言った興味本位からくる感情で始まったわけではなく、どちらかと言えば、色々な偶然が重なった結果なのである。

このように、日本語学習に悩みを抱えている最中、ICCのランゲージ&カルチャー・エクスチェンジ・プログラムに出会った。「語学に何か新しい変化でももらえればいいな」と考え、勢いで申し込んでみた。幸いにパートナーのペアリングが無事にできて振り返ってみれば、ちょうど良いタイミングだったかもしれない。

コロナ禍で私はパートナーと週に1回Zoomを通じて学習するようにしている。それに加え、月1回は早稲田キャンパス周辺で一緒に食事しながらおしゃべりしたりする。Zoomでの学習は毎回1時間前後で、作文の添削や宿題のチェック、最近覚えた単語の練習等はもちろん、フリートークの時間も必ず設ける。フリートークでは、お互いに相手の国や文化に対する疑問点や興味を持つ点をざっくばらんに話したり、また自国でのトレンドや流行語を教え合ったりする。最初は話題が無くなったらどうしようと勝手に心配していたが、実際は一度も起こることなく、逆に2人で盛り上がってしまって2時間も喋った時もあった。

私のパートナーは中国語学習歴はまだ1年だが、勉強意欲がとても高く、いつも良い刺激を受けている。頑張っている彼女の姿を見て、心の底から応援しつつも「よし、自分も怠ってはいけない」と自分でも驚くほど日本語の勉強を始めた頃に負けない情熱とやる気が出てきた。

また、今回のプログラムを通じて、「日本語を学ぶ目的」に関して少し答えが見えてきている気もする。語学はもちろん非常に役に立ったが、私の中ではパートナーと一緒に過ごした時間が何よりも大切な思い出である。テスト期間中に励み合ったこと、「あけおめ」「新年快乐」と相手の言語でお祝いをしたこと、些細なことだが、一つ一つがかけがえの無い記憶となっている。このように、言語の力を借りて本来なら知り合うはずのない人と出会いつながり、そして絆を生み出す。これこそ、私にとっての目的かもしれない。

最後に、貴重な経験をいただいた早稲田ICCに改めて感謝している。

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これは、2021年秋学期に参加された方の感想レポートです。LCEは通常各学期行われるプログラムなので、興味ある方は次回お申し込みください!

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