文化構想学部3年
中西舞子
2月6日にオンラインで行われた、日中韓交流カフェに参加した。東アジアの文化に興味があったのと、学部柄「イメージ」や「メディア」というキーワードに関心があったからだ。例年千葉県の鴨川市で行われる2泊3日のキャンプを3時間ほどにぎゅぎゅっと凝縮したイベントで、密度が高く、且つ気軽に参加しやすかった。
アイスブレイク後、まずは各国の「人」に対するイメージトークをした。「国」ではなく「人」に焦点を当てているのがミソだ。シェアスクリーン上に各国の「人」に対するイメージを書いた付箋をぺたぺた貼ってブレインストーミングをしていった。
例えば、韓国の方に対するイメージの一つに「キムチを毎日食べる」というものがあった。韓国出身の参加者曰く「これは面白いですね、でも確かに毎日食べます。キムチ専用冷蔵庫があるほどです。」とのことで、この反応はむしろ意外だった。確かに私も韓国ではキムチがよく食べられているというイメージを抱いていたが、これは日本人が毎日スシを食べると思われているようなもので、ステレオタイプにすぎないと思っていた。もちろん人にもよるとは思うが、本当に毎日食べるとは。
そして、韓国の欄には他に「アイドル」「メイク」「男性もオシャレ」など、芸能やビジュアルに関するキーワードが多く挙げられていた。一方、中国の欄には「値引き交渉がうまい」「人情深い」、日本の欄には「LINEのメッセージが長い」「感情を面に出さない」などやや内面に関するイメージが書かれた付箋が多かった。これらはやはりメディアの影響が大きいと思う。日本では、韓流は『冬のソナタ』のヨン様を皮切りに人気を博し続けているが、中国のエンタメは地上波で見ることは殆どない。ただ最近ようやく、中国アイドルが日本に進出したり「チャイボーグメイク(中華風メイク)」が流行したりと、じわじわ話題になってきているようだ。数年後に同じイベントをすれば、中国の方に対するイメージ欄もエンタメに関するキーワードが増えるかもしれない。そして、日本ではなく、中国や韓国、はたまた別の国で同じようにイメージを出し合ったら、また異なる傾向になるかもしれないとも思った。
その後、日中韓各国の文化に関するグループ対抗クイズ大会があった。特に印象的だったのは「端午の節句に女の子がブランコに乗る国は?」という設問だ(答えは韓国)。そういえば《Extraordinary You》という韓国ドラマのヒロインの名前が「단오(端午)」だったことをふと思い出した。私は「端午」に男の子のイメージを強く持っていたのでこのネーミングをやや不思議に思っていたが、なるほど韓国の端午とは老若男女のためのお祭らしい。共通の節句でも習俗が異なることはとても興味深い。こうして考えたり調べたりする契機を得たことは理解の第一歩だと思う。
ところでこのクイズ大会、とても盛り上がったし面白かったが、私は内心ハラハラしていた。というのも、設問ごとに「この風習は日本にはある?」とグループメンバーに聞かれた際に、うろ覚えであまり自信のない設問も少なくなかったからだ。参加者はみんな優しく場も温まっているので間違えたってどうってことないのだが、自文化について改めて深く知りたいと思った。
最後の交流会では、各国の学校事情に話が発展した。制度などの一般論ではなく、それぞれが過ごしてきた学校生活について思い出を語り合った。メディアを介さず、小さな主語で「人」同士が「人」について語り合うからこそ知れたことばかりだ。
私は以前中国に留学していたが、このイベントを通して中国についていかに知っていることが少ないかを痛感した。そして日本については生まれてこの方21年住んでいるが、それにしては日本文化に昏すぎる。韓国に至っては、旅行したいと思い続けてはや数年、まだ一度も訪れたことすらない。ただ、だからこそこのイベントで新しく見聞きしたことが多く楽しかったし、「人」についてますます知りたくなった。日中韓出身の参加者が多かったが、この三ヶ国に馴染みのない人にこそぜひオススメしたいイベントである。