先山拓
文学部
ICC学生スタッフリーダー
2018年5月~2020年12月在籍
はじめに
皆さん、こんにちは。2018年5月~2020年12月まで、学生スタッフリーダー(SSL)としてICCでお世話になりました先山と申します。この度はお忙しい時間をさいて、この卒業レポートをお読みいただき本当にありがとうございます。
今、読んでくださっているのはICCに興味を持ってくださっている方やSSLって一体何をしている人たちだろうと疑問に思っている方などだと思います。そんな皆さんに、このレポートが少しばかりか参考になりましたら幸いです。できるだけ、ICCでの時間を振り返って、実体験や感じたことをありのままにお伝え出来ればと思います。拙い文章で恐縮ですが、しばしお付き合いいただけますと嬉しいです。
働き始めるまで
さて、ICCでのSSLとしての生活をスタートさせたのは2年生の春学期のときでした。意気高らかに入学した早稲田大学でしたが、1年生の時は何かに挑戦することもなく、学校を行き来するだけの無為な日々を過ごしていました。
そんな、ただただ時間が流れていくだけの毎日を変えようと色々な機会を探し始めたときに、たまたま目にしたのがICCの学生スタッフ募集案内でした。元々、「石橋は叩いて渡らない」という性格の私が、新しい何かに挑戦するということは他の人以上に勇気がいることでした。そんな私でも、SSLに応募してみようと一歩を踏み出すことができたのはICCの「雰囲気」でした。その時は、一度もICCのイベントに参加したことがありませんでしたが、ICCのオフィスから放たれる国際感漂う「雰囲気」に惹きつけられたのを覚えています。色々な国や地域から集まる学生が行き交う、まさに人種のるつぼ・早稲田を象徴するような場所であるに違いないと感じ、応募をすることにしました。
そう決めてからは、ICCへの潜入調査が始まります(笑)。実際にICC主催のいくつかのイベントに参加してみて、どんな企画をしているのか、どんな人が参加しているのかを見てみることにしました。やはり、間違いない!想像している通り楽しそうな環境だ!と思いました。また、大勢の参加者の前で、学生とは思えないほど堂々とプレゼンテーションするKさんの圧倒的「雰囲気」も最後の最後に応募を決めた理由の一つです。余談にはなりますが、Kさんが後に私のメンターとなり、色々教えてもらえることとなったのは嬉しい偶然でした。(私も少しはKさんに近づけていたら幸いなのですが・・・。)
SSLとしての生活が始まって
このように何となく楽しそうだな、という理由だけで応募を決めましたが、幸いなことにICCの一員となることができました。しかし、当時は具体的な仕事内容や理念についてはほとんど理解しなかったように思います。なので、本当に大変だったのは、ICCで働き始めてからでした。日々の業務は少しずつ覚えていきましたが、最も大変だったのはSSLにとって一番の大仕事ともいえる毎学期のイベントの企画です。今から振り返ってみると私にとっては難しいことだらけでした。想像力にあふれる先輩が企画する面白いイベントや自分には到底考えつかない視点のイベント、同期が次々と実現する様々なイベントに圧倒され、人と比べてばかりいたことを覚えています。クリエイティブなイベントを企画すること、人前で自信を持って話すことなどは、自分にとって全く得意でないということを痛感したのを覚えています。
また、SSLとして働き始めてからは毎日がものすごい速さで過ぎていきました。企画が始まれば、外部の方々との調整や資料作成、学内外への広報など、次々とタスクに追われることとなります。今までの鈍行列車のような大学生活から突然新幹線に乗り換えたようなものです。実は、お恥ずかしながら手帳を初めて購入したのも、ICCで働き始め、タイムマネジメントの重要性を痛感してからのことです。
そうして、毎日がものすごいスピードで過ぎていく中、最初の学期はいくつか企画したイベントを一つも実現に導くことができませんでした。(ほとんどのSSLは企画をした翌学期には、1~3のイベントを実現していました。)全く結果を残すことができず、とても悔しい思いをしたことを覚えています。それでも、コツコツと目の前の仕事をしました。不得意なことを挙げればキリがないかもしれませんが、唯一、人並みにはできると言えるのが「コツコツと日々の努力を積み重ねる」ことかもしれません。
その後次の次の学期に何とか初めてのイベントを実施することができました。それでも、こうしておけば良かったとか、ああしておけば良かったと後悔や反省ばかりが残る初企画イベントとなりました。しかし、そういった反省点から学び、次に活かすこともSSLの仕事の一つです。次のイベントを企画する際は、同じことで悩むことがないように、と次に活かす努力をしました。このように初イベントを終えてからも、自分自身で色々なイベントを企画したり、他のスタッフが企画したイベントを手伝ったりするなど、たくさんの方と様々な場面で関わる機会に恵まれました。
振り返って
さて、最初は、何となく「雰囲気」が良かった、なんていう頼りのないことを言っていた私も約2年半のSSL生活がもうそろそろ終わろうとしています。この卒業レポートを書き終えることが、すなわち、卒業の合図となりますので、最後にもう少しだけ書かせてください。
上述したように、ICCに入った当初は、自らが企画したイベントを全く実現に導くことができませんでした。その時の気付きや反省から、ICCの存在意義やテーマを考えるようになりました。ICCが目指すべきものについての理解がイベントの企画段階から準備にかける熱量につながると思ったからです。
ここまで読み進めてくれた心優しい皆さんは既にご存知かもしれませんが、ICCは「異文化交流センター」の略称です。つまり、「異文化交流」や「異文化理解」といったことをテーマに様々なイベントを企画しているオフィスです。それでは、一体「異文化」って何でしょうか。私自身、何となく分かっているような、当たり前に使ってしまっている言葉ではありますが、よく考えてみると答えのない漠然とした考えであることに気が付きました。そもそも「異文化」って、誰のことをいうのでしょうか?色々と考えてみると深そうな感じがしませんか?
そんな問いかけの中で、私は、当初に感じた心地よい「雰囲気」、何となく楽しそうな「雰囲気」にその答えや理由を見つけたような気がします。
どうやら、ICCが目指しているテーマは限りなく広くて、深いような気がします。私自身が感じたICCの「雰囲気」には、誰も否定されることのない、様々な価値観を受け入れる大学づくりに対する答えの一つがあったのだと思います。
また、ICCでは、日々、様々な視点や角度からイベントを企画していますが、その背景にはSSLの思いがあります。それぞれがどんな思いを持って企画しているのか、少しだけでも想像してもらえると、これ以上嬉しいことはないのではないでしょうか。
最後にはなりますが、貴重なお時間をさいてここまで読み進めてくださった皆さん、どうもありがとうございました。気が付けば長いようで一瞬だったICCでの時間ももう終わりに近づいてきました。まだまだ、私自身、ICCで実現してみたかったイベントや企画はありますが、そこは今のSSL、さらにはまだ見ぬ後輩の皆さんに託したいと思います。今後は卒業生としてICCの活動や企画を楽しみにしていきたいと思います。今後もたくさんの学生が集まり散じて人は変わりゆく中、ICCに多様な個性を受け入れることのできる「雰囲気」があり続けることを願いたいと思います。まだまだ名残惜しいような気はしますが、「仰げば尊し」が聞こえてきたので、そろそろ卒業レポートを終わりにしたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。