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ICC企画者レポート:唯一無二のレストラン INUA 誕生 ~KADOKAWA グループが新たに挑む“世界を変えるレシピ” トークセッション

N.Y. (学生スタッフリーダー)

はじめに

みなさんこんにちは、先月の18日(月曜)大隈ガーデンハウスで開催されたトークセッション「唯一無二のレストランINUA誕生〜KADOKAWAグループが新たに挑む、“”世界を変えるレシピ“」にお越しいただき、ありがとうございました。
このイベントを企画した学生スタッフのN.Y.です。この企画者レポートでは、私自身のバックグラウンドと絡めながら、このイベントを実現するまでの経緯を中心に書きたいと思います。

私のバックグラウンド

私の出身は愛知県名古屋市です。名古屋というと、(まぁ一応)「都会」とイメージしてくださる方もいらっしゃるかもしれませんが、私が育った場所は、自然に囲まれたとても緑豊かな地区です。

幼い頃から季節の変わり目には、実家の裏の林に野生のタケノコや、栗、長芋の一種である自然薯、木の実を採りに行き、その日の夕食にするのが、我が家のちょっとした伝統でした。
また、母方の祖父母は海に近い半田市に住んでいるので、よくアサリを採りに行って、そのまま海辺でBBQをしたり、釣った魚を持ち帰って、みりんと醤油で甘辛い煮魚にして食べたものです。
母と祖母はどんな食材でも、瞬く間に絶品料理に変えてしまう腕の持ち主で、実家に帰省するときは、毎回この「お袋の味」が楽しみで仕方がありません。この記事を書いている今でも、その味を思い出して、お腹が空いてきてしまいました。

祖母が作る鰯の酢の物

このような環境で育ったおかげで、私にもちゃんとした自然の食事を心がける習慣と、こだわりがしっかりと身についたのでしょうか。誘惑に溢れる東京で一人暮らしを始めても、今までインスタント食品やコンビニ弁当だけで晩御飯を済まそうと思ったことはほとんどないです。

あるレストランとの出会い

このようなバックグランドを有しているが故に、食文化やグルメに人一倍の興味を育てていたのですが、そんな中、あるドキュメンタリー映画に出会い、今回のICC企画のインスピレーションを得ることになりました。それが「noma 世界を変える料理」です。

「世界一予約が取れない」として知られるnomaというレストランがデンマーク・コペンハーゲンにあるのですが、このドキュメンタリーはnomaのヘッドシェフ、レネ・レゼピにフィーチャーした作品となっています。

nomaが誕生する前、北欧はその厳しい自然環境から、美食とは無縁の地としてされてきたのだそうです。皆さんも美食といえば、フランスやイタリア、スペインなど北欧よりも南に位置する国々をイメージするのではないでしょうか。

そんな状況の中、レネ・レゼピは北欧でしか取れない天然食材だけを使って、ゼロから全く新しい北欧料理を創り出したと言われています。その偉業は世界中から注目を集めており、nomaは「世界ベストレストラン50」の第1位にこれまで4度も輝いています。そのインパクトは凄まじく、あまりにも予約が殺到したため、その経済効果を表すnomanomicsという言葉が生まれたほどです。

nomaの料理は、天然食材だけを使った自然な料理、と言っても天然さのレベルが全く違います。私は先ほど、「自然な食事を心がけるようになりました。」と書きましたが、全く比較にならないのです。nomaで使われる食材は森に生息するアリ(!)や、苔、バラの花など、普通食べようとは考えられないような未知の食材ばかり。映画ではシェフたちが、その素材を試行錯誤しながら独自の手法で美しい料理に昇華させる様子が色鮮やかに描かれており、私は目を離すことができませんでした。

キッチンテーブルの上で、あまりにも自然すぎる食材を使って織り成されるその料理はどの一皿をとっても、まるで一つの美しい生命体のようです。この映画は「美食=美味しさ」、つまり「味」という単一レンズでしか食事を考えていなかった私に、強いインスピレーションを与え、ICCの企画書を書くときもnomaのことが頭から離れませんでした。

しかし、nomaの場所はデンマーク。しかも超高級レストランです。nomaで働いている日本人シェフの方がいないか、など様々なリサーチをかけましたが、ICCでイベントを開催するには、なかなか現実味を帯びてきません。

INUAの誕生

「やっぱりICCで開催するのは無理かなぁ」と諦めかけていたそんな矢先、このイベントが実現する決定打となるニュースが飛び込んできました。なんとnomaでレネ・レゼピの右腕として活躍していた、ある一人のシェフが中心となり、飯田橋にINUAというレストランが誕生したというのです。
早稲田から数駅しか離れていない場所にnomaに起源を持つレストランが生まれるなんて、なんという幸運!このチャンスを逃すわけにはいきません。

確かに、INUAの料理を見ると、どの一皿にも、nomaと同じ精神を感じさせる「何か」が根底に流れているような気がします。それもそのはず、INUAで使われる食材は100%が日本産の天然食材です。公式のインスタグラムには、全国から採れる美しい食材の写真が、シェフの興奮を伝えるキャプションと共に投稿されており、日本がどれだけ多様な食材に恵まれた国なのかを思い出させてくれます。
愛知県産のアオリイカや、金目鯛のような有名な食材から、秋田県産のじゅんさい、高知県産の四方竹、など日本人でもなかなか食べた事がないような珍味まで、枚挙にいとまがありません。INUAのインスタグラムを見るだけでも、日本の天然食材や特産品に相当詳しくなれるでしょう。

しかも、INUAが開店した場所は、出版社KADOKAWAの本社ビル最上階。なんと出版社であるKADOKAWAが、nomaとパートナーシップを結び、もともとオフィスがあった場所を改築し、INUAが誕生したというのです。

「これは裏にただならぬストーリーがあるに違いない!」

INUAの誕生に対する尽きぬ関心と、私のバックグラウンドから成る食への情熱を企画書にまとめ、先方に送信すると、なんと一発でINUAのダイニングで打ち合わせをすることが決まってしまいました。そして、この企画は実現に向けて大きく舵を切ることになります。

当日

イベント当日は、KADOKAWAの執行役員で、INUAの誕生に深く携わられた郡司 聡様と、INUAで実際に働いていらっしゃる日本人スタッフの柿沼 洋佑様、中道 博一様をゲストにお迎えしました。

「nomaとKADOKAWAを結びつけたきっかけ」、「ゲストを楽しませ、驚嘆させる一皿を創るために、どのように天然食材のリサーチをするのか」、「レストランとして成功するために不可欠なチームワーク」、、、

やはり一流のエンターテインメント企業であるKADOKAWAと、唯一無二のレストランとして世界的に注目を集め続けるINUAの間には、数々のただならぬストーリーが息づいていました。

私たちの体の中で、一つ一つの細胞が組織を作り、器官になり、生命を維持しているのと同じように、KADOKAWAとINUAで働く人々の間に暖かく有機的な繋がりがあったからこそ、一見破天荒とすら思える場所にレストランが誕生し、注目を集め続けているのではないでしょうか。参加者の皆さんもそのエネルギッシュな息遣いを真近で感じられたのではないかと思います。

しかも、ストーリー自体の魅力だけではなく、ゲストの皆様はそのストーリーをよりダイレクトに伝えるために様々な工夫をしてくださり、終始、会場はとても密度の高い充実した空間になりました。私も司会であることを忘れ、のめり込み過ぎてしまったことを反省したいくらいです。
こんな魅力的なお話を次から次へと用意してくださったゲストスピーカーの方々に恵まれ、このイベントは無事、成功に終わりました。

ICCの学生スタッフが生み出す企画の一つ一つは、個人個人が歩んできたバックグラウンドと、一つの小さなきっかけが融合して実現します。
このイベントの場合、私が育ったバックグラウンドを下地に、ある一つのドキュメンタリー映画がインスピレーションをもたらし、最終的には、ゲストの皆様の多大なご協力を賜ったおかげで、実現しました。

また、当日の運営を手伝ってくれた学生スタッフや、職員の方のサポートなしには、このイベントは実現することはありませんでした。この場をお借りして、お礼をお伝えしたいです。

最後に

私たちは食べ物を食べずには生きていくことはできません。だからこそ私たちは美味しい料理を食べる時に、生きている幸せを感じるのでしょう。
でも現代は、料理をしなくても生きていくことができます。小腹が空いたらコンビニに行ってサンドイッチを買えばいいのです。レストランに行かなくても、自分で食材を買って料理をしなくても、あまりにも簡単に食にありつくことができてしまいます。

そんな便利な時代に生きていると、ともすると私たちは、自分自身の力で自立して生きていると思い込んでしまうのではないでしょうか。確かに、コンビニのサンドイッチに入っているハムに、生きていた豚の面影を見いだすのはとても難しいですよね。しかし実際は、そのハムには暖かな血が流れていたのです。

人間は生きているのではなく、自然の恵みからなる食材に生かされています。INUAの独創的な料理や、真摯なシェフの眼差しに触れ、参加者の皆さんが「多様な自然・食材に恵まれた日本で生活していること」を、今一度思い出していただけたら、企画者として、とても嬉しいです。

Dates
  • 1119

    TUE
    2019

Place

早稲田キャンパス3号館601教室

Tags
Posted

Mon, 23 Dec 2019

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