Waseda University Intercultural Communication Center (ICC)早稲田大学 ICC(異文化交流センター)

その他

ICC学生スタッフリーダーを経験して(酒寄聡)

酒寄聡sakayori
早稲田大学政治経済学部3年
ICC学生スタッフリーダー在職期間
2007年6月~2008年1月

私は2007年6月から2008年1月までの約7ヶ月間、早稲田大学国際コミュニティセンター(ICC)で学生スタッフリーダーとして働いた。この7ヶ月間は本当に勉強になることばかりであった。これまでできなかったさまざまな経験をさせてもらい、たくさんの人と出会え、関わることができた。自分の人生を通じてみても、この経験はかけがえのないものになったと思う。今はそのようなことをさせてもらったICCスタッフ、他の学生スタッフリーダーに対して感謝の気持ちでいっぱいである。

 

[志望理由]

私がICCで学生スタッフリーダーとして働こうと思ったきっかけは、2007年4月に行なわれたジャパニーズ・フェスタにボランティアサポーターとして参加したことだ。当初は英語の勉強になればと思い、軽い気持ちでサポーターとして企画・運営に関わった。しかし自分が考えたイベントが形になり、たくさんのインターナショナル・スチューデント(IS)とローカル・スチューデント(LS)がICCのラウンジに集まり、お互いが楽しそうに交流しているのを見て大きなやりがいを感じた。特に参加者の一人のISと親しくなり、そのISにイベントの後で「日本に来て友人も少なかったけど、このイベントに参加してたくさん友人ができた。ありがとう」と言ってもらえたのだ。そのときに大変だった準備の苦労もすべて吹き飛んだ気持ちになり、大きな達成感が得られた。

それを機に、このようなイベントをまたやりたい、友達ができずに困っているISや、ISの友人ができずに悩んでいるLSを一人でも手助けしたいと思うようになった。そんな折、学生スタッフリーダーの新規募集があり、6月から働くことになった。

 

[学生スタッフリーダーの仕事]

学生スタッフリーダーの仕事には、大きく分けてオフィスワーク、イベントの企画・運営の2つがある。どちらの面でもたくさんの失敗を重ねてしまい、フルタイムスタッフの方にフォローされてきた。しかしそのたびに多くのことを学ぶことができ、同じミスを繰り返さないように自分を成長させることができた。以下、私がICCで取り組んだことについて述べていきたい。

 

[初めてのイベント~じゃぱにーず・ふぇすた~]

ICCで私がまず取り組んだのが、9月に行なわれるIS歓迎イベント、ジャパニーズ・フェスタの準備だった。7月頃から始めて、約2ヶ月間かけて準備をした。もともと4月のジャパニーズ・フェスタがきっかけでICCで働き始めたので、この企画にかける思いは大きかった。また、ある程度企画の進行の流れをわかっていると思っていたので、通算で3回目になるジャパニーズ・フェスタを今までで一番良いものにしてみようと決意していた。

しかし、実際に企画の準備が始まるとサポーターを取りまとめる難しさを痛感することになった。

「ジャパニーズ・フェスタ」のいいところは、長期休業の期間にイベントの準備を行なうため、サポーターが中心になった企画を行いやすく、準備に時間もかけられるところだ。しかしその分企画がサポーター主体になるためサポーターをまとめるのが難しい。実際に私もそこで苦労することになった。サポーターも初対面同士でイベントを作っていかなければならず、またICCのイベントということで、サークルのように「勢い」や「ノリ」で物事を決められない。サークルなどの仲間内でイベントを行なったことはあったが、そのような公の判断基準と照らしあわさなければならない状況で行なったことは今まで一度もなく、戸惑いの連続だった。

言うまでもないが、学生スタッフリーダーは学生でありながらICCのスタッフでもある。そのため、ICCとサポーターたちを結びつけるのがその役目になると思う。ときには学生たちの意見がICCの意見とぶつかるときもあり、それを調整する中間管理職のような能力が必要になった。

夏休み中は毎日のようにICCに来て、ときにはサポーターのもとへ行き、そのすりあわせをしていった。正直ここまで忙しいものとは予想していなかった。しかし、それでも最後までやりとげられたのは他の学生スタッフリーダー、ボランティアサポーター、そしてフルタイムスタッフの方々のサポートがあったからこそだと思う。

「ジャパニーズ・フェスタ」は「じゃぱにーず・ふぇすた」に名前を変え、9月の下旬にスタートした。どのイベントにもたくさんのIS・LSが来てくれて、笑顔で交流を楽しんでいた。その笑顔を見たときには涙が出そうになった。また、このイベントを機にICCを知ってもらい、その後の多くのイベントに参加してくれる常連になってくれた方もいた。

 

[自分の変化・成長]

「じゃぱにーず・ふぇすた」自体は大きな成功を収めることができた。しかし、私個人としては本当に右も左もわからないような状況で活動し、多くの失敗をしてしまったと感じていた。しかしそれを機にたくさんのことを学び、多くの貴重な経験を得た。ここでは「じゃぱにーず・ふぇすた」での経験やその後のICCでの活動を通じて私自身がどのように成長することができたのかについて具体的に振り返ってみたい。

 

プレゼンテーションの上達

8月には早稲田大学のオープン・キャンパスがあった。ICCでも早稲田大学の異文化交流を紹介するイベントを行なった。私はそこで、これから早稲田を受けるかもしれないたくさんの高校生やその父母に対して、ICCの活動を紹介するプレゼンテーションを行なうことになった。当日は100名近くの人が集まり、とても緊張したのを覚えている。

もともと人前でしゃべるのはあまり得意ではなかった。緊張するとついつい早口になってしまい、また顔も無表情になってしまいがちだった。実際、「じゃぱにーず・ふぇすた」のときに、サポーターを前にそのようなプレゼンテーションをしてしまい、とても後悔した。

今回のプレゼンテーションはそのときよりも規模も大きく、失敗するわけにはいかなかった。何度も何度もICCのフルタイムスタッフの方と練習を重ね、指摘を受け、改善していった。そのような訓練の結果、無事プレゼンテーションを終えることができた。親身になって指導し、自信を持って本番にのぞめるまでにトレーニングしてくれたフルタイムスタッフの方がいてくれたからこそだった。夏休み明けの9月に大学のゼミでプレゼンテーションする機会などもあったのだが、ICCでの経験を生かし以前のように失敗しなくなった。以前よりも話すのが上手になったと周囲から言われ、ICCでのトレーニングで人前で話すスキルが身についたのだと実感することができた。

 

オフィスワーク経験

同じように、一般的なオフィスワークで得た経験も大きかった。

ICCではさまざまな公的な文書・報告書などを作成している。「じゃぱにーず・ふぇすた」をはじめ、ICCのイベントではその協賛企業に対して、そのイベントの報告書を書いて提出している。その報告文も学生スタッフが書くのだが、そのようなフォーマルな文章は今まで書いたことが一度もなく、普通に大学生活を送っていては得ることができない経験ができたと思う。もちろん書いたものはフルタイムスタッフの方に添削してもらうのだが、初めはほとんど書き直されていたものが、何回も書いていくうちに徐々に訂正が減り、文章がしっかりしていった。

また、イベントなどのミーティングで使う資料をつくることもあった。そのときに文章を長々と書くのではなく、図やグラフにまとめて見やすいものを作る重要性を実感した。そのほか、「結論から話し始める」ことや「報告・連絡・相談」の徹底など、わかってはいてもなかなかできていなかったことが少しずつできるようになった。

また、カウンターでの対応や電話対応も学生スタッフリーダーの重要な仕事である。初めの頃は電話対応で緊張してしまい、敬語などもうまく使えないことがたくさんあった。そのたびにフルタイムスタッフの方に指摘を受け、徐々に落ち着いて電話に出ることができるようになっていった。

このような経験は社会に出てからは必ず求められるもので、それを学生のうちに身につけることができたのは本当にICCのおかげである。もちろん、フルタイムスタッフの方が書いてしまえばすぐにできるようなフォーマルな文書を学生スタッフに任せて、それを何度も何度も校正するのは効率が悪いように思える。しかしそれでも仕事を任せて、人を育てようとする環境がICCにはあった。これは上記のプレゼンテーションの練習にもあてはまる。このように効率を度外視してまで真剣に学生を育てようとするアルバイトは他にはあまりないのではないかと思う。今では大学のゼミやレポートなどでそういったスキルがとても役立っている。

 

穴八幡神社のお祭り

また、9月には穴八幡神社で秋のお祭りがあり、私は一人で参加者の引率にあたった。当初の予定ではIS一人、LS一人の小規模な引率になると思っていたのだが、実際に行ってみると6,7人のISと4,5人のLSが参加していてとても焦った。ISとLS、ISと地元の商店街の人たちとの橋渡しをしつつ、日本の伝統文化について英語で説明なども行なった。ICCに入る前ではとてもそんなことを自分ができるとは思えなかったが、働いていくうちに自然に人とコミュニケーションをとる力がついていったのだと、このとき強く感じた。

 

価値観の変化

ICCの環境が自分を変えた経験として、少し余談になるが、ICCに入ったことにより私自身の価値観の変化が起きた。

学生スタッフリーダーは、ほとんどの人がISか、留学経験者のあるLSであった。この、留学することがとても身近な環境であることには大きな影響を受けた。それに加え、たくさんのISと接しているうちに自分も留学したい、異文化に身をおいてみたいという思いが強くなり、11月に初めて海外を訪問してみることとなった。ICCに入る前は海外渡航しようという思いなどまったくなかったのに、それが180度変化したのだ。大袈裟な言い方になってしまうが、自分の中で日本で完結していた考え方が打ち破られ、「このような問題や意見をISはどう考えるのだろう」と国際的な視点から物事を見れるようになっていった。

 

今後の自分にとって

以上見てきたように、「じゃぱにーず・ふぇすた」での経験から始まって、オープン・キャンパスや普段のオフィスワーク、穴八幡神社のお祭りなど、さまざまなイベントを通じて多くのことを学ぶことができた。これから就職活動を控える身にとって貴重な経験となったし、ここでの経験は今後学生生活を送っていく上でも間違いなく大切な財産になると感じている。

 

[他の学生スタッフリーダーについて]

ここでは他の学生スタッフリーダーとの関係についても簡単に振り返っておきたい。

4月に行なわれたジャパニーズ・フェスタにボランティアサポーターとして活動しているときから、学生スタッフリーダーには優秀な人が多いのだと感じていた。実際に働き始めて、やはりその通りであることを実感した。3ヶ国語、4ヶ国語を話せる人、人を巻き込む情熱にあふれた人、どんな人からも好かれる人、そのような今まで会ったことがないくらい優秀な人ばかりであった。また前述したように、学生スタッフリーダーは国際経験が豊かな人ばかりで、その中でまったく海外経験のなかった私がついていけるのかと当初はとても不安だった。しかし、どの学生スタッフリーダーも明るくオープンマインドな人たちばかりですぐにICCに馴染むことができた。そのような人たちに囲まれて仕事ができたのは大きな刺激となった。もっともっと勉強して頑張らなくてはならないと思い、焦りながら英語の勉強をしたものだ。

もちろんプライベートでもご飯を食べに行ったり、夜遅くまで国際交流について熱く語り合ったりと、短い期間で個人的にもとても親しくなることができた。どの学生スタッフリーダーもしっかりした自分の考えを持ち、それを熱く人に伝えることができる人たちばかりだった。ICCを離れても仲の良い関係を維持できるくらい仲良くなれたのも学生スタッフリーダーの人柄がよかったからだと思う。

 

[最後に]

 2007年の6月から働き始めて、あっという間の7ヶ月間だったと思う。その間に多くの人と知り合うことができ、たくさんの貴重な経験を積むことができた。ISとLSの相互交流を促進することがICCの役割だが、一番交流できたのはひょっとすると自分なのかもしれないと感じている。たくさんのISと話をし、彼ら・彼女らの悩みや考え方を聞き、国際交流の最前線にいたように思える。またISばかりではなく、多くのイベントに携わることでたくさんのLSの友人もできた。このように多くの人と関わり、話し、交友の幅を大きく広げることができたのは今後の学生生活を送る上でもとても有意義なことだった。

 

今まで見てきたように、ICCの学生スタッフリーダーは本当に素晴らしい環境にいると思う。私自身は短い間しか関わることができなかったが、それでも非常に密度の濃い時間を過ごすことができた。ICCにはそれだけ恵まれた交流のチャンスがある。今後ICCの活動に参加してくれる一人でも多くの人がそのチャンスを生かし、早稲田大学の中で異文化交流が活発になってくれればと強く思う。

 

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