Waseda University Intercultural Communication Center (ICC)早稲田大学 ICC(異文化交流センター)

その他

ICC学生スタッフリーダーを経験して(河村晃平)

政治経済学部3年生

河村晃平

ICC学生スタッフリーダー在職期間

2006年7月~2007年12月

 

国際コミュニティセンター(ICC)で学生スタッフリーダーとして働いたこの一年半はとても貴重なもので、将来振り返ってみたときに私の人生においてとても重要なロールとなるであろうと思う。これだけ貴重な経験・体験する機会を与えてくれた早稲田大学や、ICC、特に、学生スタッフリーダー(SSL)に対して暖かく成長を見守ってくれたスタッフに感謝の念でいっぱいである。

志望理由

私が、ICC SSLとして働きたいと思った大きな理由は留学生活中に感じた交流の機会のありがたみである。

私は高校時代にスコットランドに留学しており、留学中にインターナショナル・スチューデント(IS)とローカルスチューデント(LS)との交流の少なさに寂しさを感じていた。もちろん私の高校は全寮制ということもあり寮内のLSとの交流は毎日のように行っていたのだが、寮内の学生は現地出身というよりもロンドンやマンチェスターなどといった都市からの学生ばかりであったため現地の人との交流の機会がなかった。そんな中、街で行われるローカルのイベントに参加した際に現地の人と接することができ留学している実感、また現地の文化をより一層理解できたように感じられてとてもうれしく思った。

そんな背景の下、現在海外から日本に来ている学生には多くのイベントに参加してもらい、日本の文化、留学生活を満喫してほしいと思ったからである。

SSLとは・・・

SSLの仕事は大きく分けてデスクワーク、イベント企画、イベント運営の3つである。それぞれの業務にはそれぞれに違った能力が必要であり、最初にSSLとして仕事に就いたときは自分の能力のなさを感じた。たくさん失敗もしたし、また失敗から学び成功することもできた。以下では、具体的業務内容とそれに関して自身の体験談を交えて感想を述べたい。

業務内容(1)デスクワーク

デスクワークは、業務の中で一番大変かつ地道な作業であり、しかし一番重要な作業である。一言でデスクワークといっても内容は様々である。インフォメーションボックス作成、電話対応、広報活動などがある。

デスクワークは最も地道で重要な作業であるが、それに関して興味をあまり持てなかったのが当初の私であった。こういった作業がとても重要であり、このような作業がなくてはICCを運営することができないということをもわかっていた。しかし、あまりにも細かく「そんなところ気にしないでしょう」といったことにも気配りをしなくてはならないということにとても苦労していた。もともと細かいことにまで気配りをする性格ではなかったため、より一層大変であったことを覚えている。

たとえば、インフォメーション・ボックスの作成である。インフォメーション・ボックスの旗などはSSLの手作りである。旗の大きさ+余白3mmと余白のところまで気を配って作成した。以前の僕ならそこまで気にすることはなく、旗の大きさに大体の目分量で余白を作って作成していた。今では、そういった細かい部分に関しても気を以前より少しは配れるようになったのではないかと思う。

電話対応では、言葉遣いの重要性を強く感じた。顔の見えない相手と話すということもあって言葉遣いひとつで自分の印象をガラッと変えてしまう。私の電話対応は当初アドリブもきかない、言葉遣いもしっかりしていないと散々であった。しかし、徐々に電話対応に慣れていくことによって臨機応変に対応できるのようになっていった。

広報活動はイベントの告知であったり、ICCの説明など様々であった。中でもプレゼンテーションに関しては大変勉強になった。一般の学生生活ではプレゼンテーションを行う機会はなかなかないものの、ICCでは頻繁にプレゼンテーションを行う機会があり、成長することができた。

ICCの説明をするにしても対象によって話し方を変えたり、語調を変えたりと様々な工夫が必要であった。最初は3~4枚の原稿を覚えてプレゼンテーションすることさえもままならなかったが、今ではだいぶリラックスして自分の言葉に置き換えて話せるようになってきた。これも自然とできたことではなく、本番前に2,3回とスタッフによるチェックがあり、毎回フィードバックしてもらえたからである。今振り返ってみると不思議なことに、本番よりもチェックのときの方が緊張したのを覚えている。厳しいチェックが入るからこそ、また期待されているという期待感を感じるからこそだったのではないかと思うが、厳しいチェックを通ったからこそ、本番では比較的緊張することなく行えたのではないかと思う。

このように、デスクワークでは大変貴重な体験をした。当初は仕事に興味を沢山持っていたわけではなかったが、失敗をするにつれて、また地道な作業であってもやり方ひとつで大きく結果が変わってくる奥深さをしって楽しく作業することができるようになった。几帳面さや電話での失敗、プレゼンテーションとすべて今となってはとても良い経験となっている。

業務内容(2) イベント企画

ICCの作業の中でもっとも華やかで、楽しくやりがいのある仕事である。自分の企画したイベントをゼロから、最後までフォローアップしていく中で、サポーターと一緒に作り上げていく楽しさ、また大切な仲間ができるということ、また私がICC SSLとして志望した理由を直接的に実現することができるからである。

これまでにカントリー・フェスタ(スコットランド、イタリア、中国)、キャンパス間交流(ソフトボール)、スポーツイベント(フットサル、バスケ)、フライデーナイト(映画鑑賞、フラメンコ)、フィールド・トリップ(名古屋・三重)などと書き出したらきりがないほどのイベントを担当してきた。

イベントを通じて、参加者やサポーターとすばらしい関係作りができた。サポーターとはイベントを一緒に作り上げていく過程でぶつかり合い、話し合うことによって関係を築き上げ、参加者とは純粋にイベントを楽しむことによって関係をつくりあげていった。

一番最初に行ったスコットランド・フェスタでは初めてのイベント担当ということもありサポーターにうまく役割やタスクを振ることができずにいたことがしばしばあったり、ミーティング用に下準備をしたにも関わらず、実際行ってみると予定していたよりも大幅に時間が過ぎてしまったり、なかなか意見がまとまらなかったりということがあった。それも、サポーターのイベントを成功させようとする熱い思いがあったからこそであり、決して無駄なことではなかったと思う。

2回目からのフェスタでは仕事を振れるようにはなったものの、あまり仕事を振りすぎてしまいサポーターに負担をかけすぎてしまったことや、決まった人にしか仕事を振ることがなかったりした。サポーターによってもコミットできる時間が違うため、比較的時間があり任されたことを責任持ってこなす人に任せることが多くなってしまったのである。本来ならもっと平等に仕事を振って、イベントを一緒に作り上げているという気持ちにさせなくてはならなかったにも関わらず、偏ってしまったことは反省すべきことであった。また、サポーターからのイベント案と大学の規則などとのバッティングなどではだいぶ悩ませられることがあった。SSLは学生と大学の橋渡し的役割を任せられているのだが、このような場合に橋渡し的役割の難しさを実感した。

それでも、最終的にはサポーターと仲良くなることができたということはとても良かったと思う。フェスタ後の打ち上げなどではイベントで仲良くなった人たちとイベントの良かったところ、反省すべきところなどを話したり個人的なフィードバックをもらったりした。イベント終了した今でも、サポーターが留学する場合や、母国に帰ってしまう場合などみんなで集まって激励したりしているのでイベントを通じてこれ以上なく良い関係作りができたことは本当に良かったと思う。

また、チームワークの重要性も強く感じた。ICCでは働いている人数はSSL合わせて十数人であり、少人数で働かなくてはならない。そんな中、個人だけの力はとても限られており協力しあうことによって、結果が2倍にも3倍にも良くなってくるということを知った。

フィールドトリップでのしおり作りはかなり大変だった。引率するSSLでしおり作りをしたのだが、最終的には結局ICCスタッフ、SSL全員の力を借りて仕上げた。全員で協力して仕上げることによってより良い物が出来上がったし、やはり協力し合うことの重要さを感じた。また、一緒に作り上げた後の達成感はとても気持ちが良かった。

イタリアのファッション・ショーのイベントの準備をしているとき、情報を共有していなかったために他の仕事にまで影響してしまったこともあった。大学が麻疹休みとなり休み中に先方と打ち合わせを行ったりしたため、他のスタッフに自分が情報がしっかりと伝えきれていなかったことが原因だったのだが、不測の事態が起きたときにこそ情報をしっかり共有して、チームで取り組むべきだと感じた。少人数だからこそ”情報共有”を徹底してチームで仕事をしなくてはならないのだと強く感じた。

このように、ICCのイベントは一人で作り上げていくものではなく全員で協力して作り上げていくことであり、そのためには徹底した情報共有が必要である。

様々なイベントを通じてICC SSLでしか体験できなかったことを沢山経験できたと思う。ICC SSLに応募した理由であるISとLSの交流イベントも沢山実施できて今ではとても満足している。イベントひとつを行うのにもその裏にある様々な努力が隠れているということ、ただお遊びのように行うイベントではなく真剣に作り上げるイベントの大変さ、楽しさ、大切さなど多くのことを感じられた。

業務内容(3) イベント運営

グループなどを率先してまとめ上げて引っ張っていくということは昔から嫌いではなかったため、ICCのイベントを運営することはとても楽しかった。しかし、学生同士が仲良く行うものとICCという学生でありながらスタッフとして働くということでは大きな違いがあった。そのため、自分のペースをつかむまでに時間がかかった。以前までは、ある程度運営していれば自然とうまくイベントは回っていくと思っていたが、実際には細部にまで気を配ってイベント運営がスムーズに、参加者がすべての面で満足できるようにするためには、一人ひとりが気を常に配り、イベントを成功させようと努力しなくてはならないことを学んだ。

また、イベントを運営する上で、リーダーとしての素質の必要性を実感させられた。これまで、学生なりに多くのリーダーの役割をまかされていたため、ある程度のことはできるであろうと思っていたし、先にも述べたとおり、もともとこういった役割というものは嫌いではなかったため経験的にどのように振舞うことがいいのかということある程度はわかっていた。しかし、今回SSLとしてそういった役割を担っていく上で、どの程度まで指示をだして運営するべきなのか、またどの程度まで自分で動くべきなのかということを考えさせられた。統括している人はあまり忙しそうに動き回らずに全体を把握しておき何か問題があったときにそれに対処するという考え方もできる一方、率先してすべてをこなしていくという必要性も感じた。私は積極的に自分から動いてそれを見て周りの人も同じように運営をしてもらおうと、率先して動いてきたつもりではあったがサポーターからすると何をして良いのかわからない、自分は何を任されているのかわからないといった感じになってしまっていたのではないかと思う。そういった部分では運営ひとつにしても突き詰めていくと多くのことを学べたのではないかと思う。

運営ひとつにしても多くのことを経験し、多くのことを学べた。また学生生活のうえで様々なことを考えることができたということは大変良い思い出である。運営の方法にどれが正しいということは全くない。参加者に満足してもらえる、サポーターに満足してもらえる等成功の尺度はあるかもしれないが、自分なりの運営方法を見つけることが重要であると私は思う。

業務外内容(1) スタッフ間の関係

ICCは本当に私たちにとって本当に素晴らしい環境であり、多くのことを与えてくれた場所であったと思う。常に私たちの状況を考慮して気を配ってくれたり、時には厳しく指導してくれたりと本当に素晴らしいスタッフであった。

オープン当初はスタッフがどのような人であったかわからないためお互い気を使い、探り合っている状態であった。しかし一年半もSSLとして働いているとやはりそういったものもなくなってきてお互いに尊重しあいながらも理解できないことに関しては話し合ったり、ちょっとしたことでも互いに話してコミュニケーションを取れるようになってきた。そういった信頼構築はとても重要なものであり、仕事をするうえだけではなく人間としてとても重要になってくると強く感じた。仕事の業務に関してどうしてこのような行動を起こしたかを頭ごなしに怒るのではなく、どうしてこのような結果になったのか話、それぞれのシチュエーションにあわせて最善の方法を考えることができたのではないかと思う。一年半を振り返ってみて、少しずつ少しずつこのようにしてコミュニケーションしていきより一層良い環境、関係作りができたことはとてもうれしかった。

また仕事だけではなく、フィールドトリップや慰労会&忘年会などといったときにお互いにどういったことを考えているのか、ICCを今後どうしていこうと考えているのか、将来どういったことを行っていきたいのかなど話すことによってより一層スタッフ間の関係は良くなったと思うしこれはとても良かった。真面目な話だけではなく、お互いにふざけあうこともあったし、仕事面でも仕事外でも良い関係作りができていたのではないかと思う。

仕事をする上でその環境というものはとても重要であるがそれにはこういったスタッフ間の関係をより良いものとしていき、お互いが尊重しあうことによって構築されていくし、人生を楽しくする上でももっとも重要なものであると強く感じた。そういった意味で、ICCはとても素晴らしい環境でありもう一度人生をやり直すといっても、必ずICCで仕事をしたいと思う環境であった。

業務外内容(2) SSL間の関係

SSLは本当に優秀な学生ばかり集まっているとオープン当初からずっと感じていた。2ヶ国語は完璧なバイリンガルであったり、人を自然と惹きつける力だったり、常にパッションあふれる人だったりと私なんかが到底たどり着くことのできないくらい素晴らしい能力の持ち主ばかりだった。それでも、決して偉ぶったりすることなく常に謙虚な人ばかりで、わからないことがある場合など丁寧に教えてくれた。そういったSSLだったからこそ、私はみんなに追いつこうと努力したし、素直に色々なことを聞くことができた。また、私も私にできることならなんでも手伝おうと思った。自分は長くICCにいるので、新しいSSLが入ってくる度に、なるべくすぐにICCに慣れてもらえるようにしてきた。こういったお互いに刺激しあって成長しあう関係が作れていたSSLはとても素晴らしい場所であった。

もちろん、学生であるので仕事以外ではおちゃらけてお互いにけなしあったり、真面目な話をしたりと様々な交流をしてきたが、先にICCを卒業していった方ともまだ連絡を取り合える関係を作れたのは一生の財産になると思う。

最後に・・・

 ICCで得た経験は素晴らしいものばかりである。はじめは失敗ばかりであったが、失敗しても次につなげ、成長しようと努力したし、それを周りは暖かく見守ろってくれていたからこそできたと思う。私はICCを12月で卒業するが、今後社会に出て仕事をするうえでこの経験を活かしたいと思う。仕事を協力してやり遂げることはもちろん、人間関係をしっかりと作り上げていくことの大切さ、また懐の深い人として、広い気持ちを持って接する大切さ等などすべての経験を活かしていきたいと思う。

何年か後に、次に入るICC SSLの人がほかの人に、”あの、ICC SSLなんですか!すごい!”といわれるように、また社会に出て早稲田出身と同じくらい、ICC SSL出身が素晴らしいと思われるように、この1年半で学んだことを活かして努力していきたい。

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