文化構想学部 3年
佐藤 彩奈
私はスーダン内戦で親をなくした子供たち(通称ロストボーイズ)が難民としてアメリカに渡り、そこでの彼らの生活を笑いあり涙ありで描いた映画『The Good Lie』 の鑑賞会と日本にいる難民についての難民支援協会(JAR)の伏見和子氏による講演に参加しました。
映画の中で特に印象に残ったのは、ロストボーイズたちが持つ常識や考え方、生活習慣はアメリカ人がもつそれとはかなり違うということです。例えば彼らにとって女性とは結婚して家で家事をするのが当たり前であり、映画の中で彼らは彼らの就職支援を行っている独身のアメリカ人女性に対して「あなたのサバイバル技術はすばらしい」とコメントします。私たちからするとただ結婚していないだけでそのような大げさなことを言うのはなんだかくすっと笑いたくなってしまいますが、彼らにとってはそれが常識です。他にもそういった常識の齟齬から、当初アメリカ人たちはどちらかというと彼らと距離を取ろうとします。しかし彼らのバックグラウンドなどを知っていき、またコミュニケーションを取るにつれて自然と温かい友人関係が出来上がっていきます。
このようなエピソードから私は“とりあえず知る”ということの大切さを学びました。難民の彼彼女らのことをよく知らないうちに偏見や決めつけから距離をとり、受け入れてもらえないという気持ちを難民にあじあわせることは、はるばる異国の地にやってきた難民にとってあまりにも惨い話ですよね。
また難民支援協会の伏見和子氏による講演も日本にいる難民の現状について知るきっかけとなりました。データから見ると日本国内で2016年に10,901人が難民申請を行い、驚くべきことに認定されたのはたった28人だったそうです。実際にはこの認定数をはるかに超える難民が日本国内にはいますし、しかもこの難民申請の結果が出るまで難民たちは長い間待たされ、その間は正当な支援を受けることができません。当たり前ですが彼彼女らの人生はその間にも進んでいるわけで待ったなんてかけることはできないのです。難民支援協会ではそのような難民たちを支援する様々な活動を行っています。私も難民支援協会のボランティアやイベントに参加して難民をサポートするのはもちろん、もっと彼彼女らのことを知りたいと考えるようにこのイベントを通してなりました。