Waseda University Intercultural Communication Center (ICC)早稲田大学 ICC(異文化交流センター)

その他

LS・ISではなく一早大生として 多文化共生って?(岸田一成)

第一文学部5年

岸田一成

ICC学生スタッフリーダー在職期間 2009年9月~2011年2月

 

グローバル化の進む今日、早稲田大学もその例外ではく留学生数8000人計画を掲げキャンパス内のグローバル化をはかっている。外国人学生数を増加させるだけでなく、外国人学生(IS)と日本人学生(LS)双方がより良い学生生活を送れるよう異文化理解・交流イベントやプログラムを行っているのが国際コミュニティセンター(ICC)。そんなICCではフルタイムスタッフ(FS)と学生スタッフリーダー(SSL)が恊働しており、私はそのSSLとして1年半働いてきた。SSLとしての活動を通してみなさんに伝えたいことを書いていくこととする。

 

中高部活漬け。大学もサークル漬け。留学先でも部活漬け。海外在住経験が豊富なわけでもなければ、異文化理解・交流や多文化共生、その他諸問題について大した問題意識も持たずに生活してきた、そんな私がなぜICCでSSLという仕事をやってみようと思ったのか。それは一言で言えば恩返しだ。私自身大学在籍時にアメリカに1年間留学をし、そのとき現地の学生のおかげで留学生活を満喫することができ、最高の一年にすることができた。だから早稲田大学に留学にきて良かったとより多くの留学生に思ってほしかった。始めはただそれだけだった。

 

こんな単純な志望動機しか持ち合わせていなかった私が運良く採用され1年半働いてきたわけだが、始めはリーダーという冠がついているくらいだから華々しい仕事が多いのかなとも考えていた。部活やサークルのリーダーを経験してきて皆の先頭に立って何かをやることが多かったからこう考えたわけだが、実際働き始めてみればそんなこともなく地道にカウンター対応や発送業務、イベント企画案を練る日々。地道な作業ではあるがその1つ1つがイベントを華やかにし、ICCを通じて学内の異文化交流・理解の促進に貢献しているのである。もちろん他のSSLが述べているようにエクセルやパワーポイントの使い方からイベント企画書やメールの書き方、ファシリテーション、プレゼンテーションなどなど、それまでの大学生活では全く学ぶことのできなかったことを学び、自分自身の成長へと繋げることもできた。上記の実務的なことは社会に出てからも必ず役に立つと信じている。

 

しかし、私がICCで得た一番の宝物といえば上記の実務的なことではなく「問題意識を持ち、意見交換することの面白さ」を学べたことである。それまでの学生生活ではゼミにも所属せずテニスをしてお酒を飲んでただただ楽しんできた。そんな私が、頼りになる他のSSLやFSの方々と日々業務をこなしていくうちに色々なことに疑問を持ち、自分の意見を持ちながら行動するようになった。新たな発見をする毎日。今まで体を動かしてばかりだった自分には、詰め込み学習ではなく答えのないものに皆で頭を使って取り組んでいく、それがとても楽しかった。

 

そんなこんなで多くのイベントやプロジェクトに関わってきたのだが、その中でも特に自分に刺激を与えたもの、それは中期プロジェクト「ICCスチューデント・セミナー ~多文化共生~ 」であった。これは多文化共生に興味・関心のある学生が学部、学年問わず集まり多文化共生に関するトピックについてそれぞれがリサーチし、週1回ある自主ゼミの場で発表、議論するというもの。この4ヶ月間の自主ゼミ活動の集大成として、大分県にある立命館アジア太平洋大学(APU)という、国際学生と日本人学生がほぼ半数在籍している大学を訪問し「APU-WASEDA多文化共生学生フォーラム」を開催した。

 

前述の通り何の知識も持ち合わせていなかった私にとってゼミが始まった当初はもちろん「タブンカキョウセイ???」という状態であった。みなさんは「多文化共生」と聞いてどんな状態を思い浮かべるだろうか。また、みなさんは早稲田大学が「多文化共生キャンパス」を目指しているということを知っていただろうか。私は知らなかった。だから全力でコミットした。ゼロからスタートしたものだから大変なことも多かったがそのぶん考えさせられたことも多く、徐々にそのテーマの深さに魅了され引き込まれていった。その結果このプロジェクトを通してICCの理念や活動内容に至るまで様々な疑問を持つに至った。

 

一時期はICCのような機関がなくなって異文化を意識することがない状態が理想の多文化共生キャンパスなのではとも考えたこともあった。しかし卒業する今考えるのは、国や民族など様々な個人を特定するための定義が存在し、早稲田大学内でマジョリティ(LS)とマイノリティ(IS)が存在してしまっている時点で異文化を意識することのない状態は限りなく不可能に近いのだろうということ(もちろんマジョリティ、マイノリティが存在せず、国や民族などで文化が定義づけられなければいいのだが)。それならば自分個人の文化とは違う文化(=個々人)の中で生活していくことを自覚し、各々を複合的なバックグラウンド/文化を持つ1人の人間として尊重している状態が早稲田大学の理想の多文化共生キャンパスなのではないかというのが今のところの私の考えである(もちろんみなさんがこれを読んでいる頃にはこの考えもまた変わっていると思うが)。

 

その上でICCの提供している異文化理解や交流というものは自己(自文化)の相対化や他己(他文化)の違いを発見するため、多文化共生を実現するための入り口にはとても重要なものではあると思う(単に国や民族など、何を持って異文化とするかの固定観念を安易に植え付けてはいけないとは思うが)。いずれは多文化共生を実現させていくことがICCの目標となり、今はまだ未達成に見えるその目標を達成するため、新たな価値観や文化の創造をサポートしていくためにあるのがICCなのであると信じている。

 

偉そうにわかりにくいことを述べてきたが、ICCで働く前はこんなこと考えたことすらなかった。しかし、今は違う。ICCを通じて「問題意識を持ち、意見交換することの面白さ」を覚えてしまった。どんな問題でもどんな意見でも真剣に話し合える仲間がいる。異なる価値観を持つ個々人が意見を出し合ってもICCという組織の中で同じゴールを目指すことでさらに自分を高めていける。そんな環境が整っているのがICC。大学で何かやりたいと考えている方、留学とかサークル、部活、ボランティア、就職活動、その他様々な活動に注力し、様々な立場の人たちと協力して色々な経験をしてきた皆さんがSSLとしての仕事に魅力を感じてくれればとても嬉しく思う。勇気を出して新しい世界への第一歩を踏み出してみれば必ず刺激のある面白い発見が見つかるはず。

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