政治経済学部経済学科 齋藤 大紀
はじめに
これまでの人生を振り返ると、私は、野村家に大分親しんできた人生だと思う。幼少期には、「にほんごであそぼ」において野村萬斎氏が演じている狂言を楽しんでいた。小中高時代においては、野村萬斎氏が活躍しているドラマを多く視聴し、狂言由来の独特の言い回しに心地よさを覚えていた。そして、大学生になってからは、「早稲田 狂言の夕べ」の野村万作氏・野村萬斎氏・野村裕基氏の三世代による狂言を楽しんだ。
今回、野村裕基氏が参加する「Let‘s Enjoy! 狂言ナイト」イベントの案内を見た際、運命を感じ、即座に申し込んだ。もし、ここで抽選に落ちてしまったら、野村家との長い縁も終わってしまうのか?!とは思いつつも、何とか当選し、無事このイベントに参加することが出来た。
イベントの内容
イベントに参加すると、まず、学生証と当選のメールの確認を求められた。無事確認が終わり、入場すると、4人1グループに振り分けられ、自己紹介を兼ねたアイスブレイクが実施された。自分のグループには、歌舞伎を専攻している人がいて、狂言についても非常に詳しく語ってくれた。
そして、いよいよ野村裕基氏・中村修一氏の登場である。まず、最初に狂言についての軽い紹介が為された。その中で、狂言が、身の回りのちょっとした出来事をコミカルに表現する芸術であるということを学んだ。また、狂言は「このあたりのものでござる」という文言から始まる。例え、狂言の発祥地でない海外において狂言を披露する場合でも、観客に狂言を身近に感じてもらうために、必ずこちらの文言から始めるそうである。また、狂言は、人間のみならず動植物なども演じる対象となっている。
このように、全世界の生物にとって楽しめるものである狂言であるが、その中から「蚊相撲」「盆山」を鑑賞した。
一言で言うと、圧巻であった。
まず、声が素晴らしかった。うるさすぎず、静かすぎず、それでいながらしっかりと聞き取りやすい声で、この声を出すために数多の努力を重ねてきたということが素人ながらにも伝わってきた。また、身体表現も素晴らしかった。登場人物が何をしようとしているか、何をしているかが、実物は無いながらも眼前にありありと感じることが出来た。
その後、「盆山」を少々アレンジした狂言を、参加者同士で作成した。内容は、以下の様である。
シテ(主役)のお気に入りの食べ物を、アド(相手役)がこっそり食べてしまう。シテは、アドが食べたことを認識した上で、食べ物を食べるととある効果が現れるとして、アドを困らせてゆく。
この話の「お気に入りの食べ物」と「食べ物の効果」をグループ内で好きに考え、演じた。その際、自分たちは「黒糖餅」を食べ、食べると「ヒップホップを踊りたくなる」「ラップをしたくなる」という設定で狂言を作成した。この無茶苦茶??ともいえる設定を、演者が上手に演じてくれ、会場は大盛り上がりであった。そして、演じてくれたグループ内で一番面白かったとして、ICCの旗を持ったワセダベアのぬいぐるみをもらうことが出来た。
最後に
今回のイベントで、狂言の奥深さ・面白さを学ぶことが出来た。狂言は、多様性が求められる現代だからこそ、より一層光り輝くものである。この参加者レポートを通じて1mmでも(できれば5mmほど)、狂言に興味を持って下されば筆者冥利に尽きる。
今回、こちらのイベントを企画したICCの皆様、そして、ゲストとして狂言を披露して下さった、野村裕基氏、中村修一氏への感謝をもって、この参加者レポートを脱稿としたい。