社会科学研究科 遠山 桃子
剪紙とは、中国の伝統的民間芸術で、吉祥図案など祈りや祝いの気持ちが込められた図案の切り絵です。キャンパス内の掲示板に貼られたこのイベントのポスターを見て、剪紙を初めて知り、剪紙の美しさに興味を持ちました。私の専門は文字表記であり漢字文化圏論のゼミに所属しているため、中国の伝統文化を体験することで自分の専門分野の学びにもきっと役立つと考えました。
ワークショップでは、まず剪紙の専門家である鄒丽萍先生が、剪紙の歴史などについてじっくり解説してくださいました。紙が発明される前の時代からその原型があったこと、漢代の遺跡から最古の剪紙が発掘されたこと、そして時代を追うごとに実用品から工芸品として発展してきたことを知りました。
また、北方では自由奔放な力強さ、南方では繊細で優美な作風と、地域色が豊かであることについても面白く感じました。文字表記においても、北方の人の文字は力強く、南方では丸みを帯びた可愛いらしい文字が多いと言われています。剪紙と文字表記の共通点を見つけることができ嬉しく思います。
解説の後、ワークショップが始まりました。テーブル上に用意された赤い紙を、型紙に合わせてハサミで切っていきます。デザインは今年の干支、ウサギです。私は一番簡単な型紙を選びましたが、それでもなかなか難しく、剪紙がいかに緻密な手仕事であるかを実感しました。同じテーブルのメンバーとの会話を楽しみながら、あっという間に時間が過ぎていきました。
切り終えた剪紙は、色紙に貼って記念に持ち帰ることができました。赤い紙と、型紙とを両方貼り付けて完成です。私は、この画像のように斜めにずらして貼ったのですが、中国からの留学生はほとんどの方達が、ウサギの鼻と鼻と付き合わせるように、左右対称のレイアウトで貼り付けていたのが印象的でした。中国では左右対象が好まれるのに対し、日本では非対称に美を見出すことが多いとされています。中国と日本の美意識の違いを実感することができたのも収穫でした。
中国と日本の文化は、同じところもあれば違うところもあります。それぞれの違いを知り、その違いに面白さを見出すことが、異文化交流の第一歩なのだと気づきました。貴重な体験をさせていただきありがとうございました。