インターンシップで得た「実感」と失敗から生まれた「学び」で、夢のエンタメ業界へ
先輩からのメッセージ(1分動画)
取材にご協力頂いた方:
エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社 秦 畅(Qin Chang)さん
2023年 政治学研究科修了
偶然から学び始めた日本文化、早稲田大学では映像制作に挑戦
私が日本語や日本文化に興味を持ったきっかけは、中国の高考(全国統一大学入学試験に相当)を経て、日本語専攻のコースに通うようになったことです。元々海外の文化を学んでみたいと思っていましたが、日本はあくまでその候補の一つだったんです。大学で日本語を学び始めてから、段々と日本のアニメ作品などにも触れるようになりました。また、元々韓国のアイドルが好きだったのですが、日本のアーティストもチェックし始めましたね。大学3年生の時には日本に留学する機会があり、日本の文化や生活が自分に合うような気がして、大学院生活は日本で送りたいと考えるようになりました。帰国後にさまざまな情報を調べる中で、留学生が多くてオープンな印象のあった早稲田大学を受験しました。
早稲田大学では、政治学研究科のジャーナリズムコースに進学し、映像制作をメインに研究を行っていました。映像のテーマは「視覚障がい者はどのように映画を楽しむのか」です。私は元々エンタメ文化が大好きで、自分の人生に欠かせないものとなっています。しかし、視覚障がい者向けのとある音声ガイドの存在を知った時に、それを当たり前に楽しめない人がいることに気づき、興味を持ったんです。北区にある視覚障がい者の方を映画館へ連れていく団体の活動を取材、撮影し、30〜40分ほどの映画としてまとめました。ただ、当時はコロナ禍の影響でなかなか来日することができず、留学している意義も感じづらかったので、半年間休学を挟むことにしました。最終的に、日本で無事研究活動ができた時は、うれしかったですね。
インターンシップで重要なのは、実務経験より「意図」と「実感」
就職活動は、当初の目標通り日本のエンタメ業界をターゲットに開始しました。当初はやはり、面接などの言語の壁が課題になりましたね。元々中国の大学でも日本語を専攻していて、大学院進学時には日本語能力試験(JLPT)のN1レベルを取得していましたが、面接はもちろん、スーパーでの買い物でもうまく言葉を伝えることができません。言語の習得には、現地の人と生きたコミュニケーションをたくさん取って、経験値を積んでいくことが重要だと痛感しました。
自己分析やエピソードの整理など、資料の事前準備も念入りに行いました。また、面接の様子を後から振り返って、次に繋げていくことも重要です。誰でも、「うまくいかなかった」経験を思い返すことはしたくありません。ただ、そこから反省点をピックアップして、「次はこう話そう」「こういう話し方もあるかもしれない」と学びを得ることで、面接力がぐっと向上していきました。
スケジュールの面でも、かなり苦労した記憶があります。日本の就活は期間が長く、大学院に入ってすぐにスタートして、研究と同時並行で進めていかなければなりません。一旦研究の手を緩めても、まずは就職活動に集中するなど、切り替えが必要でしたね。また、エンタメ業界では履歴書だけでなく、自身のそれまでの経験や制作した動画の資料、1分間の自己PR動画など、さまざまなポートフォリオが求められ、準備にかなり時間が必要でした。
就職活動で大きな武器になったのは、インターンへの参加経験です。中国ではバラエティ番組のアシスタントディレクターとして、日本のダンサーが登場する番組の現場業務を担当していました。日本では、地下アイドルのチェキの撮影担当をしていたこともあります。エンタメ業界を目指していた私にとって、こうした経験は就職への強い思いを再確認し、モチベーションを高める大切な機会になっていました。一方で、インターンシップは期間が限られているため、現場経験をアピールするよりは、自分がなぜこのインターンシップ先を選んだのか、その経験を通じて何を学ぶことができたのかを、面接官の人にしっかり伝えられるよう意識して臨むことが重要だと思います。
夢のエンタメ業界に就職、世界を舞台に文化交流に貢献することが目標
私は現在、エイベックス・ミュージック・クリエイティヴに3年ほど所属しています。最初の2年間は、中国のマーケットを対象に、企業案件やブッキングなどを担当していました。2025年からは、日本の男性グループのSNS運用を担当しています。SNSでの発信は、アーティストからの要望を取り入れることもありますし、私が一から提案することもあります。また、SNSは媒体や地域によっても「バズりやすい」内容が大きく異なるため、特徴や流行を日々勉強しなければなりません。そんな中で、ファンの方からの喜びの反応などを見た時は、エンタメ業界で働くやりがいを感じますね。
企業の風土としても、エイベックスでは配置転換が多く、毎年さまざまな経験や刺激を受けながら仕事ができているのもうれしく感じています。また、外国出身のスタッフの比率が多かったり、服装が自由だったりする点も、私の希望と合っていました。
その一方で、好きなだけでは成立しない、社会人としての大きな責任を感じることもあります。学生までは良くも悪くも自己責任で済む面がありました。しかし社会では、たくさんの人とコミュニケーションをとりながら、チームとして仕事を進めていかなければなりません。その中では、自分がやりたいことだけでなく、意見のすり合わせをして、一つの方向性にまとめ上げる必要があります。日本語が母国語ではない自分にとっては、聞き取れない言葉があったり、うまく伝えらないこともあったり、難しさを感じることは少なくありませんでした。コミュニケーションに関しては、社会人になった今でも日々現場で練習中です。
私個人の今後の目標としては、中国でエンタメに関わるPR企業を立ち上げたいと思っています。日本のアーティストを中国に紹介して、SNSの運営やメディアブッキングを行う。また逆に、中国のアーティストを日本に紹介するなど、文化コミュニケーションをより活発化していくための会社をつくるのが目標です。そのためにも、より幅広いフィールドで活動するべく、英語のスキルを磨いているところです。これまでなかなか時間が取れませんでしたが、打ち合わせの場などで少し話せるぐらいにはなりたいと思っています。
後輩へのメッセージ 〜失敗しても切り替えて、夢の実現に向けてチャレンジを!〜
海外から日本に来ている留学生にとって、就職活動は期間の短さや文化、言語など、たくさんのハードルがあると思います。そんな時はまず、日本の現地の人となるべくコミュニケーションをとり、言語や文化に対する理解を深めていくことがなにより第一歩になると私は考えています。
また、試験に落ちたとしても、それで全てが終わるわけではありません。自分を否定するのではなく、ただ企業と自分の相性が合わなかっただけと切り替えて、前に進んでいくことも大切な心構えです。次に活かすべきところだけをしっかりと受け止めていけばよいのです。自分の夢や目標に向けて、諦めずにチャレンジを続けていってください!
