新年度を控え、この春から就職して働き始めたり、就職活動の準備を始めたりする早稲田生も多いのではないでしょうか。もしかしたら社会人として働き始めることに不安を抱いたり、なかなか働く自分を想像できないでいたりする人も多いかもしれません。
そんな中、この春新卒1年目を終えられた先輩にお話しを伺うことで、社会人としてのフレッシュかつリアルな経験談を聞くことが出来るのではないか。そんな思いで本企画はスタートしました。
本企画第一弾となる今回は、株式会社リクルートで働かれている、本学卒業生の粕谷一貴さん(2023年政治学研究科卒)にお話しを伺います。修士課程を修了されているということもあり、修士卒ならではのお話もお聞きすることが出来ました。
――今お勤めの企業の概要と、ご自身の仕事内容について教えてください。
株式会社リクルートは、販促領域と人材領域の2つの事業領域で構成されています。販促領域は、住宅、美容、結婚、旅行、飲食などの分野において、オンラインを中心としたプラットフォームを運営しています。これにより、個人ユーザーに対して、日常生活におけるより多くの選択肢を提供するとともに、企業クライアントに対しては、広告を通じたユーザー獲得支援などを行っています。
また中小企業を中心とした企業クライアントに対して、SaaS (Software as a Service) ソリューションの提供などを通じた、業務負荷の削減および生産性向上を支援するサービスも提供しています。
現在私は2つの事業領域のうち、後者の人材領域に携わっており、新卒学生向けの就職情報サイト 『リクナビ』でマーケティング職を担当しています。
――今お勤めの企業に就職した最大の決め手は何ですか。
学生時代は元々コンサルティング業界(※)に興味があったので、そこを軸に就職先を探していました。しかし、就職活動の面接においてお話を伺う中でコンサルティングの業務内容に、これまでの自分の活動やそこから培ってきた強みとのギャップを抱くようになり、本当に自分に合った業界なのか考えるようになりました。そんな時、リクルートの方々と面談を重ねる中で、コンサルティングとは違い、自社で事業を抱える企業特有の「深く関われる」仕事内容に魅力を感じ、最終的に入社を決めました。
(※)コンサルティング業界:企業が抱える課題や問題を抽出し、業務の効率化や収益改善の支援を行う業界
――1年働いてみて、辛かったことや大変なことはありましたか。
大変だったのは新人研修後の2か月間ですね。「活躍したい」という思いから配属から上半期が終わる9月までの2か月間で何かしら成果を出さなければと自分で自分を追い込んでいた時は、プレッシャーも感じていましたし、とても大変でした。
――入社前と入社後でギャップはあったでしょうか。
そこまで大きなギャップはなかったです。新卒1年目から打席に立たせてもらう機会も多く、学生時代に学んだデータ分析を活かせる仕事ができているので、その点ではギャップはあまり感じていませんし、良い就職先と出会うことができたと思っています。
――社会人になって感じた
「大学生」と「社会人」の違いは何でしょうか。
大きな違いは、コスト意識ですね。やはりお金をもらって仕事している以上、きちんと会社に還元できる形で労働時間を有効活用しなければならない、という意識を社会人になってからより強く感じるようになりました。アルバイトの時は時給1200円であれば、1200円分の仕事をしようとしか考えていなかったので、そういったところが学生時代とは違うなと思います。
――社会人として働き始めて成長したところは何だと思いますか。
私は大学院までデータ分析を勉強していて、配属先でもデータ分析を使っていたのですが、最初はあまりうまく活用できていませんでした。その背景には、自分の興味で分析をしていたことが影響していたのですが、最近は使ってくれる学生を第1に据えて、それに対してデータ分析という強みをどう使えるのかということを考えて、それを軸に仕事をすることができるようになりました。
――粕谷さんは修士卒ですが、 学部卒と修士卒でどんな違いがあると思われますか。
私個人の話で言うと、もし自分が学部卒で就職活動していたら、自分の強みを明確にできずに、自信のないまま社会人になっていたかもしれません。修士論文の執筆などを通して得た「やりきった経験」が自分の中での強みや自信になったと思っています。
――学生時代の経験が糧になっていると感じることはありますか。
2つあります。1つは GEC 科目に設けられているデータ科学認定制度です。データ科学の知識や実践を深める授業が色々あって、基礎から自分でコーディングできるようになるまで段階を踏んで学習することができました。とてもわかりやすく解説してくれるので、データ科学に興味のある学生さんにはおすすめです。
もう1つは、政治経済学部が設置する日野ゼミの TA(ティーチングアシスタント)として働いた経験です。TA として学生からの質問に答えるなかで、改めて自分の知識について理解を改めることが多くあったんですよね。学部生との対話を経て、自分の理解を深められたことが、今社会人になって仕事をするうえでも活きていると思っています。
――逆に、学生時代に○○しておけばよかった!と思うことはありますか。
割と自分ではやりきったと思っていますが、1つ挙げるとすれば海外留学ですかね。イギリスの大学に留学しようと思っていたのですが、コロナもあったので行くことできませんでした。会社の制度を使って留学することもできますが、やはり何のしがらみもない状態で自由に留学できるのは学生時代だけなので、そこは少し心残りです。
――今いる業界で求められるスキルは何だと思いますか。
やりたいことや目標のためにこのスキルを獲得したい!という気持ちや前向きな姿勢が大切だと思います。その意識がないとスキル自体も中途半端になってしまいますし、あくまでスキルは副次的なものでしかないかなと私は思っています。
――最後に後輩へのメッセージをお願いします。
まずは内定を得られた方々、本当におめでとうございます。働きはじめると、どうしても苦しいことや辛いことがあると思います。同期のなかでも、最低でも2、3年間は働かなきゃと思っている人も多いですが、辛いときは無理をせず、自分が楽しみながら働ける環境で頑張ってほしいです。
また、就職活動中の方々には自分らしく働けるかどうかというのを軸に、最後まで頑張ってもらいたいです。
インタビューを通して・・・
インタビューを通して、粕谷さんが生き生きとご自身のお仕事について話されている姿が印象に残りました。
学部卒で就職する学生が大半ですが、粕谷さんのように大学院に進学したことでさらに可能性を広げることも可能なのだとお話を聞いて実感しました。大学院進学を考えている学生にとっても、非常に有益なお話だったのではないでしょうか。
本企画の第二弾では、同じく本学卒業生であり、現在は日本政策投資銀行(DBJ)で働かれている、遠藤魁人さんにお話しを伺います。是非そちらの記事も読んでみてください。
取材日:2024年3月3日
取材:里地結樹(教育学部・1年)
文:小池 舞奈美(文化構想学部・1年)
文・写真:梅原凜(文化構想学部・1年)
※取材時点の学年です。
【SCVの活動について】
私たちは、キャリアセンター公認の学生キャリアボランティアStudent Career Volunteerです。学生目線でキャリアに関する情報発信、イベントの企画・運営を行っています。
早大生のために、自分の成長のために、活動してみませんか?
2024年度は、4月と10月にメンバーを募集します。
?詳細はこちら
https://www.waseda.jp/inst/career/about/volunteer/