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Student athlete well-being framework: an empirical examination of elite college student athletes

Student athlete well-being framework: an empirical examination of elite college student athletes
Posted
Fri, 07 Jul 2023

本研究では、関東圏で活動する大学生アスリートのウェルビーイングに関する現状を調査しました。学生アスリートのウェルビーイングが高まると、チーム(コーチングスタッフやチームメイトを含む)に対してより建設的な行動を起こす傾向が明らかになりました。

 

研究結果の概要

これまでの研究で分かっていたこと

これまで「ウェルビーイング」という考え方はぼんやりと理解されてきました。ウェルビーイングと聞くと、「カラダが良い状態にある」と想像する方も多いのではないでしょうか?また「心の状態が良好」とイメージする方もいるかもしれません。過去に行われた研究では、様々な手法を用いてウェルビーイングが測定されてきました。しかし、測定方法が色々ありすぎること、またカラダのウェルビーイングだけを測定して、心のウェルビーイングを無視するケース(またその逆も然り)も多く存在しました。カラダが健康だとしても、仕事やスポーツにやる気が出ないとか、どこか人生に物足りなさを感じることもあるのが人間です。またやる気に満ち溢れ、自分の目標に邁進していても、カラダを酷使しすぎていたり、チームメイトとの関係を軽視している人もいるかもしれません。ウェルビーイングの実現とは、上記のようなバランスの悪い状態ではなく、「心身ともに上手く機能している状態」を意味します。

ウェルビーイングの重要性が説かれてからしばらくの年月が経ちました。昨今ではバズワードと言っても過言ではないほどウェルビーイングという言葉が一人歩きをしています。様々な国々、多くの企業やスポーツチームにおいても、住民、従業員やアスリートのウェルビーイングを重要視する時代を迎えています。一方で、「ウェルビーイングが上がったら組織にとって何の得があるの?」という疑問への科学的な回答は十分ではありませんでした。ウェルビーイング自体が目的になるのではなく、ウェルビーイングの向こう側を科学的に理解することに社会的期待が寄せられているわけです。

 

今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

本研究では、学生アスリートに着目して、ウェルビーイングを以下の4つの観点から理解しました。

  • 身体的ウェルビーイング:カラダの状態が良い
  • 快楽的ウェルビーイング:自分が行うスポーツを「楽しい」と感じている
  • 心理的ウェルビーイング:自分自身に好感を持てていたり、自己成長を感じている
  • 社会的ウェルビーイング:コーチやスタッフ、チームメイトとの良好な関係性を築いている

また、それぞれのウェルビーイングと組織市民行動(組織のメンバーを助けたり、組織が上手く機能するための献身的な行動)との関係を調査しました。

その結果、学生アスリートのウェルビーイングと組織行動には確かに正の関係があることが分かりました。特に、学びや自己成長を意味する心理的ウェルビーイングと、周りの人との良好な関係を意味する社会的ウェルビーイングは、組織市民行動と強く関連していることが示されました。

 

研究の波及効果や社会的影響

多くの組織において、ウェルビーイングの重要性が認識されています。個人レベルで考えれば幸せになりたくない人間などいないので、ウェルビーイングの向上自体が目的となっても良いのかもしれません。しかし、マネジメントの観点では組織がウェルビーイングに投資する以上、投資収益率(Return on Investment)を考えなければなりません。学生アスリートのウェルビーイング向上に投資すれば、所属する学生アスリートがチームがより上手く機能するための行動を起こしてくれることが明らかになりました。学生アスリートのウェルビーイングが高まればチームはもっと良くなります。大学、スタッフ、学生アスリート三位一体で、学生アスリートが心身ともに良い状態で競技に打ち込める環境を整えていくことが必要です。

 

今後の課題

本研究では関東圏で活動する学生アスリートのみを対象に調査を行った点、また時系列データを取得することができませんでした。今後は日本国内の学生アスリートを幅広くカバーした調査が必要ですし、時系列を追って学生アスリートを追跡調査する必要があります。

 

研究者のコメント

大学スポーツは様々な観点から期待をかけられています。しかし主役は学生アスリート本人であり、カラダの調子が良いことはもちろん、スポーツを通して仲間と楽しくやりがいや自己成長を感じられる環境作りをしていくことが大切です。本研究は学生アスリートのみを対象としましたが、スポーツ組織で働くコーチやスタッフにも調査を実施し、より良い大学スポーツ環境を模索していければと考えています。

 

論文情報

雑誌名:Frontiers in Psychology (IF = 4.23)
論文名:Student athlete well-being framework: an empirical examination of elite college student athletes
執筆者名(所属機関名):佐藤晋太郎(早稲田大学)
掲載予定日時(現地時間):2023年6月15日
掲載予定日時(日本時間):2023年6月15日
掲載URL:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2023.1171309/full
DOI:https://doi.org/10.3389/fpsyg.2023.1171309

 

研究助成

研究費名:科研費(若手研究―20K19492)
研究課題名:参加型・観戦型スポーツと幸福感の関係の解明
研究代表者名(所属機関名):佐藤晋太郎(早稲田大学)雑誌名:Frontiers in Psychology (IF = 4.23)