数物系科学拠点では、国際活動の一環として、令和 4 年(2022年)12月20日(火)から12月21日(水)まで国際ワークショップ” Bifurcation Governed by Partial Differential Equations”を開催いたしました。本ワークショップはその名の通り偏微分方程式で記述される力学系に現れる「分岐」に関する最新の研究成果を共有することを主目的としています。
基調講演
初日は、ライス大学の教授であり、早稲田大学のジョイントアポイントメント教授であるTezduyar先生による基調講演、およびSGU数物系科学コース生を中心とする5名による4件の講演が執り行われました。Tayfun E. Tezduyar先生には数値流体解析に現れるカルマン渦の生成現象(円柱に対して対称な条件であっても、レイノルズ数をパラメータとした分岐現象によって流れが不安定になり、数値誤差によって擾乱が加わることによって非対称な解が得られる)など身近な現象を例に取り、参加学生でも理解できるような工夫を凝らされた内容で分岐現象をご紹介いただきました。その後、滝沢研究室所属の博士後期課程である劉洋さん、中村貴博さん、そして吉村研究室所属の博士後期課程である渡辺昌仁さん、久藤研究室所属の博士後期課程である井上順平さん、修士課程の佐藤誉さんによる研究発表が行われ、質疑応答によって自由闊達な議論が行われました。
学生講演
2日目はまず、偏微分方程式の分岐現象研究における第一人者でおられる京都大学の西田孝明先生ご登壇いただき、レイリー・ベナール対流を題材としたこれまでの分岐研究の成果をご講演いただきました。特に、パラメータを変えることによるHopf分岐と3種類の解モードとその性質について丁寧な説明をいただきました。この成果をスタート地点として、オーガナイザーである早稲田大学の滝沢先生から新規研究のコンセプト・モチベーションの説明があり、その後各研究者が登壇なさって研究へのアプローチや所感を共有しました。純粋数学の立場からはお茶の水女子大学の久保隆徹先生、応用数学の立場からは東京大学の柏原崇人先生と金沢大学の野津裕史先生、工学の立場からは東京理科大学の乙黒雄斗先生と早稲田大学の寺原拓哉先生にご登壇いただき、グループ全体の知見を共有し議論することができました。