基幹理工学研究科 修士 1 年 飯野寛人 Hiroto IINO
- 派遣期間:2022年10月~12月
- 派遣先大学:ミュンヘン工科大学
- 派遣先国・地域名:ドイツ・ミュンヘン
派遣プログラムの内容について
スーパーグローバル大学創成支援事業のプログラムにより、 ドイツのミュンヘン工科大学で Gordon Cheng 教授のもと 3 か月間研究室に所属し、触覚情報を用いた把持動作に関する研究を行いました。
海外派遣を希望した理由としては、当該研究室だけで扱うことのできる 特殊な実験機材を使用した研究を行いたかったことに加え、現地の学生との交流を通して異なる 文化の理解や語学力の向上が挙げられます。
ロボットが物体を扱う際に、 カメラから得る 視覚情報だけでは不十分な場合には触覚情報を加えることで適切な動作を生成する モデルを構築することを目指しました。 今回の派遣プログラムでは簡単化のため、 ロボット の物体把持動作を生成する モデルを構築し、それを用いてロボットを実際に動作させること を目標とし、 実機ロボットを用いた教示データの収集、 深層学習モデルの作成と学習を行いました。

ロボット実験の様子
学習成果について
実機ロボット を動かした経験がほとんどなく 、 ロボットを動かすまでに思いのほか時間がかかってしまいましたが、 現地の博士課程の学生の方々にサポートしていただきながら、 当該研究室オリジナルの触覚センサを 用いて学習に十分なデータを収集することができました。 そして構築したモデルを用いて実際にロボット を動作させる という 目標に対して、 時には夜遅くまで一緒にディスカッションして改善策を考え、 一部不完全ではある ものの目標を達成することができ ました。 不完全な部分についてはデータの検証を行い、より大きな成果につなげていく所存です。 その次のステージでは、 早稲田大学のロボットの環境での適用を検討し、さらに研究を発展させていく予定です。
今回の派遣プログラムを通して、ミュンヘン工科大学の多くの学生や先生と 接点を持つことができたことも大きな成果であり、 ミーティングや日々の相談、 日常のたわいのない雑談でのコミュニケーションで語学力を向上させることもできたと思います。

クラスメートと
海外での経験について
一人暮らし経験のないまま 初めてのヨーロッパに一人で滞在するのはとても不安でしたが、積極的にコミュニケーションをと りながら 無事に 3 か月の留学を終えたことは自信になりました。ミュンヘン工科大学では、様々な国籍の学生が英語を通してコミュニケーションをとっていて、英語で世界とつながる面白さを実感する一方で自分の語学力の未熟さも痛感し語学の学習意欲がさらに湧きました。また、 異なる文化に触れる 生活を通して様々な文化への理解が深ま ると同時に日常として気づかなかった日本の文化を再認識することができました。 そして留学中は滞在先の文化や習慣にできる限り倣って生活することを心がけたことで、 食事や休日の過ごし方など日々の暮らしの中で気になったことを話題にコミュニケーションを増やすことができました。加えてより 実践的に文化を体感でき、今まで考えることのなかった日常の習慣を再考する きっかけになり ました。このように海外での経験は新たな知識を得られる だけでなく 新しい視点で物事を捉える ことのできる 貴重なものでした。日々サポートしてくれた博士課程の学生と 夜遅く まで団らんしながら 一緒に帰ったり、クリスマスパーティーをしたり、 地元のおすすめスポットをめぐったことは素敵な思い出です。
- ミュンヘン工科大学カフェテリアの様子
- 大学周辺の様子
今後の進路の影響について
今回の留学を通して、 様々な仲間と活動する ことはとても刺激的で、 視野が広がりました。
今後私は企業への就職を考えていますが、 その中でグローバルに活躍することにも挑戦したいと 思うようになりました。 その一方で私の現在のコミュニケーションレベルでは責任ある仕事を行う自信を持つことはできないため、 語学、特に英会話能力向上の必要性を痛感し、 学び続けていこうと思っています。

滞在先施設の外観
- 滞在先 内観(1)
- (2)
おわりに
この度は 支援いただきありがとうございました。 SGU の支援によって資金や手続きといった留学のハードルが下がったことで、 滞在先での研究活動に集中することができました。また、今回留学するにあたり、 事務手続きや宿探しに加えて新型コロナウイルス禍での渡航で例年以上のサポートをいただいたことで、 充実した留学を無事に送ることができたと思います。 SGU のような支援制度が広がり、 より多くの人 が海外で学びやすくなる ことを願っています。

大学の外観