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- 仏日比較会社法ワークショップ@早稲田大学比較法研究所「会社法改正の方向性―日仏比較 から―」2025年12月12日開催されました。
仏日比較会社法ワークショップ@早稲田大学比較法研究所「会社法改正の方向性―日仏比較 から―」2025年12月12日開催されました。
Dates
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FRI 2025- Place
- 早稲田大学11号館9階902教室
- Time
- 13:30~16:45
- Posted
- 2025年11月27日(木)
仏日比較会社法ワークショップ@早稲田大学比較法研究所「会社法改正の方向性―日仏比較から―」
【主催名】早稲田大学比較法研究所
【共催名】東京商事法研究会 法学部・法学研究科
【講演者名・所属・身分】Professor. Dr. Caroline Coupet, Paris-Panthéon-Assas University 石川真衣(東北大学法学研究科准教授・博士(法学))中村信男(早稲田大学商学学術院教授・早稲田大学比較法研究所兼任研究所員)
【プログラム】https://waseda.box.com/s/agqlo4dm7w7t5i98rxcuzu8yjdedg9vo
【開催日時】2025年12月12日(金)13時30分~16時45分(13時開場)
【開催会場名】早稲田大学11号館9階902教室
【使用言語】英語
【通訳】なし
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2025年12月12日(金)、早稲田大学で仏日比較会社法ワークショップ@早稲田大学比較法研究所「会社法改正の方向性―日仏比較から―」が開催され、日本とフランスの会社法改正へ向けた取り組みや改正内容につき、比較法の観点から報告と議論が行われました。
まず、早稲田大学商学学術院の中村信男教授より開会挨拶が行われました。開会挨拶では登壇者の経歴について紹介され、本企画が日本とフランスの会社法の改正動向を考察する重要な機会を提供すると述べられました。
その後、パリ・パンテオン・アサス大学のCaroline Coupet教授より、「フランス会社法改革構想:REPONDSプロジェクトの概要と会社法改正の方向性」と題した報告が行われました。報告の冒頭で、本プロジェクトがパリ商工会議所とフランス法務省の支援を受けて実施されているフランス会社法の包括的な改正に向けた研究プロジェクトであると紹介されました。
報告では、1966年に定立されたフランス会社法が現代まで大きな改正を経ずに適用されている一方で、各規定の断片化などの課題を抱えており、企業の社会的な責任への期待や、EU脱退後のイギリスでの会社法の整備などの動向から改正が求められていると述べられました。REPONDSプロジェクトでは、不要な条項の削除や企業形態の差異を考慮に入れた法規制の是非などに関して調査や議論が行われています。また、今後の検討課題として、フランス国内企業の34%を占める簡易型株式会社(SAS)でありながら、従来の定義に合致しない企業の増加への対応などが挙げられました。
続いて、東北大学法学研究科の石川真衣准教授より、「日本における次期会社法改正の概要と課題」と題した報告が行われました。報告において、フランスの取り組みが省庁の支援を受け研究者によって推進されている一方で、日本では法務省および法制委員会や部会を通じて実施されていると指摘されました。また、日本では大多数の企業が株式会社であることを踏まえた議論が行われていると述べられました。
また、日本では2014年と2019年会社法改正に続き、新たな改正へ向けて2025年には法制審議会で公的な議論が行われましたが、これまで行われた議論に関しては複数のワーキング・グループ方式で実施され、会社法全体の方向性についての議論が十分に尽くされていないという問題があると指摘されました。報告ではフランスの取り組みから日本が学ぶことができることとして、比較法の観点や研究協力の重要性が挙げられました。
質疑応答では、内容に問題があるフランス会社法の規定例や、日本で合同会社に関する議論が発展しない理由、フランスで株式市場への上場を希望しない企業が多い理由、フランス会社法と民法および商法の関係性についての議論動向などについて質問があり、活発な意見交換が行われました。
最後に、早稲田大学商学学術院教授の柴崎暁教授より閉会挨拶が行われました。閉会挨拶では、議論に参加された方々への感謝と、今回の企画が日本とフランスの会社法の発展に与える貢献について強調され、盛況のうちに閉会されました。
(文:小阪真也・比較法研究所助教)