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【開催報告】第七回中日古典学ワークショップ

【開催報告】第七回中日古典学ワークショップ

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SAT 2026

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SUN 2026
Place
早稲田大学戸山キャンパス33号館第1会議室
Posted
Fri, 06 Nov 2026

第七回中日古典学ワークショップ

全体集合写真

2026年10月31日(土)、11月1日(日)の2日間にわたり、早稲田大学戸山キャンパス33号館第1会議室にて「第七回中日古典学ワークショップ――書写、技芸、音声」(第七届中日古典学工作坊――書写、技芸、声音)を開催しました。このワークショップは、北京大学中国語言文学系、北京大学中国古典学平台との共同学術活動として、2018年から毎年両校を交互に会場として実施してきたもので、コロナ禍をはさみ、今年は第七回を迎えることとなりました。

本ワークショップは、中国の中国古典学研究者と日本の日本古典学研究者の学術交流、情報交換のプラットホームを構築することをねらいとし、加えて、次世代の研究者の交流や研究の促進に寄与することを目指して、回を重ねてきました。ワークショップにおいては古典学にかかわるテーマを毎回掲げ、これまでは「中日古典文学」、類書や類聚などを中心とする「典籍文献研究」、「文」と「集」、「文と名物、図像」、「文書、文体、文章学」等をテーマとしてきましたが、今回のテーマは「書写、技芸、音声」としました。そして今回のワークショップには、このテーマをめぐる合計28本の発表原稿が寄せられました。

初日冒頭の開幕式では、中国側を代表して北京大学中国語言文学系副主任の程蘇東教授からご挨拶をいただきました。程蘇東教授は、古典学という概念を東アジアの研究においていかに用いるかということやその意義が、これまでのワークショップを通して次第に明確になってきたこと、また、古典文明への研究や洞察を通して各文明の独自性や共通点への理解を深めることは、長い歴史をともに歩んできた中日両国にとって大きな現代的な意義があることを強調されました。続いて、日本側を代表して早稲田大学大学院文学研究科長の山本聡美教授からは、今回のワークショップのテーマは、AIとの共存を模索するこの時代であるからこそ、人間の身体性に立ち戻り、人間の体が絞り出し紡いできた中日の古典の再発見につながる人類史的な意義を有する重要なテーマであることを述べられました。そして、ワークショップに集う研究者と研究者、人と人との結びつきと信頼関係が、次世代を担う若い世代へと受け継がれ、大学院生の積極的な参加へとつながっていることに言及されました。

開幕式あいさつ、程蘇東教授(北京大学)

開幕式あいさつ、山本聡美教授(本学)

趣旨説明、河野貴美子教授(本学)

開幕式に続いて、1日目は第一セッションから第四セッションまで、合計18名の教員による発表とディスカッションが行われました。セッションごとに、中日双方から1名ずつが出て司会進行をつとめ、中国側司会者は日本側の発表に対して、日本側司会者は中国側の発表に対してコメントを行う形をとることによって、中日相互の実質的な意見交換や質疑応答が活発になされました。

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1日目第一セッション

1日目第二セッション

1日目第三セッション

1日目第四セッション

会場の様子

2日目は青年論壇として、北京大学と早稲田大学双方から合計10名の大学院生が三セッションに分かれて発表を行いました。青年論壇においても、中日双方から1名ずつの教員がペアとなって司会とコメンテーターをつとめ、相互の発表に対してコメントや質問を行い、各発表内容の意義や可能性、今後の課題が具体的に明らかとなりました。

2日目第一セッション

2日目第二セッション

2日目第三セッション

なお、2日間の発表はいずれもパワーポイントを用い、事前に中日両言語に翻訳した資料集が用意されて行われましたが、司会者からのコメントや質問と、それに対する応答に際しては、早稲田大学の大学院生らが同時通訳を担当しました。発表原稿の翻訳や通訳の担当もまた、次世代を担う研究者が学術世界への視野を開く機会へとつながることを企図したものです。

通訳の皆さま

2日間の発表とディスカッションを終え、閉幕式では、北京大学中国語言文学系の周興陸教授から、今回のワークショップが成功裡に幕を閉じられること、そして、来年2027年の秋には、再び北京大学に会場を移して第八回中日古典学ワークショップを開催することが宣言されました。続いて、早稲田大学総合人文科学研究センター所長の田中史生教授からは、このワークショップが中日の学術交流を架橋するものであると同時に、古典学という共通基盤のうえに、文学や語学、歴史、芸術といった専門性を超えて、人文学に携わる研究者同士が相互に対話し学び合う場となっていること、そして今回のワークショップにおいても深い専門性を持った教員の発表のみならず、大学院生の発表からも多くの新たな学びを得られるものであったと総括がなされました。

閉幕式あいさつ、周興陸教授(北京大学)

閉幕式あいさつ、田中史生教授(本学)

人びとの営みが作り伝えてきた古典と人文学。それを引き継ぎ、これからへと伝える活動として、今後のワークショップへのさらなる期待と希望を抱きつつ、盛況のうちにワークショップは無事終了しました。

第七回中日古典学ワークショップ(中日古典学工作坊) プログラム

【テーマ(专题)】:書写、技芸、音声(书写、技艺、声音)

【タイムテーブル】

10月31日(土)

  • 9:30~9:45 司会(主持):高松寿夫
    • 開幕式:(あいさつ(歓迎詞))山本聡美、中方代表:程蘇東、趣旨説明:河野貴美子
  • 9:55~11:40 司会(主持):高松寿夫、葉曄
    • 第一セッション(第一場):
      程蘇東(北京大学) 儒家终始学说与《史记》的历史书写
      周興陸(北京大学) 杨慎批点流传考述——兼论明代《文心雕龙》两个版本系统
      海野圭介(早稲田大学) 古筆手鑑の中の漢籍断簡について
      佐々木孝浩(慶應義塾大学附属研究所斯道文庫) 『万葉集』にみる日本語表記の模索
      陣野英則(早稲田大学) 仮名作品の末尾に示唆される書写行為の意味
  • 11:40~13:00 昼食、休憩
  • 13:00~14:45 司会(主持):佐々木孝浩、李成晴
    • 第二セッション(第二場):
      葉曄(北京大学) 《演盆栽》中的“戏文”与“东坡体”——江户后期词曲交融之侧影
      雷瑭洵(北京大学) 论古汉语并提辞格的句法语义基础
      紺野達也(早稲田大学) 琉球漢詩人蔡大鼎と琉球音楽・藝能の関わりについて
      山本聡美(早稲田大学) 中世日本における戒律復興と絵巻―「東征伝絵」に描かれた戒牒
      吉原浩人(早稲田大学) 敦煌莫高窟阿育王故事画とその背景
  • 14:55~16:25 司会(主持):陣野英則、郜同麟
    • 第三セッション(第三場):
      李成晴(北京大学) 论唐诗受容史上的“当境”体验
      胡琦(北京大学) “缝罅”中的意味:通俗衬解与近世的《诗经》阅读
      高松寿夫(早稲田大学) 8世紀日本の宮廷社会における書画―宴席における機能を中心に―
      田中史生(早稲田大学) 古代日本の「才伎」と“ Tehito ”(テヒト)“ Fumihito ”(フミヒト)
  • 16:30~18:00 司会(主持):紺野達也、周興陸
    • 第四セッション(第四場):
      郜同麟(北京大学) 《春秋左氏音義》注音用字補校——兼談《經典釋文》注音用字校勘的基本方法
      向筱路(北京大学) 汉字何以书写梵音?——以日本悉昙文献为中心
      加藤大鶴(早稲田大学) 2つの漢詩朗詠から漢語アクセントを復元する—円珠・五音博士『朗詠要抄』と只博士写本を用いて
      河野貴美子(早稲田大学) 日本の地名と漢字表記――吉田東伍『大日本地名辞書』を通してみる
  • 18:30~ レセプション
11月1日(日)
青年論壇

  • 9:00~10:10 コメンテーター(評論人):海野圭介、胡琦
    • 第一セッション(第一場):
      黄芷欣(北京大学) 钞本的生成:论《游仙窟》日藏传本的钞写层次与文本性质
      羅錦雯(北京大学) 诗学教材中的历史空间:《笺注唐贤绝句三体诗法》卷首地图的知识功能
      沈懿軒(早稲田大学) 宋海商周文裔・周良史父子にみる海商活動継承の限界――周氏族譜における家族の記憶を手がかりに
      任小傑(早稲田大学) 六国史における地震記事の表現をめぐる一考察―「鎮秋田城国司牒」を中心に―
  • 10:20~11:20 コメンテーター(評論人):加藤大鶴、向筱路
    • 第二セッション(第二場):
      趙雅琪(北京大学) 王勃宴集序流传形态与经典化现象考论——从日藏正仓院本《诗序》性质说起
      顧琢成(北京大学) “以诗词代行记”:清代诗体行记的文体新境与文学史意义
      大澤茉歩(早稲田大学) 縁起絵巻の書写意識-詞書筆者と絵師の結縁
  • 11:20~12:20 コメンテーター(評論人):山本聡美、雷瑭洵
    • 第三セッション(第三場):
      朱旭東(北京大学) 从注释体式的功能属性重探音义体的源流
      劉一鳴(北京大学) 贾逵《春秋》左氏学的解经原理与建构方法――兼议汉代经学今古文问题
      夏傑倫(早稲田大学) 『万葉集』における漢語表現の再考―本文批判と漢籍受容の視点から―
  • 12:20~12:40  司会(主持):河野貴美子
  • 閉幕式 (あいさつ(致詞)):周興陸、田中史生

ワークショップ参加者:述べ92名。

開催概要

  • 日時:2026年10月31日(土)、1日(日)
  • 方式:対面(会場:早稲田大学戸山キャンパス33号館第1会議室)
  • 主催:
    早稲田大学総合研究機構 日本古典籍研究所
    早稲田大学総合人文科学研究センター 角田柳作記念国際日本学研究所
    早稲田大学SGU国際日本学拠点
    北京大学中国語言文学系
    北京大学中国古典学研究平台
  • 共催:
    • JSPS科研費基盤研究B(25K00442)