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【開催報告】アリエル・スティラーマン氏講演会|問答で学ぶ古典 ――プロンプトエンジニアリングフレームワークによるAIチューターの試み――

【開催報告】アリエル・スティラーマン氏講演会|問答で学ぶ古典 ――プロンプトエンジニアリングフレームワークによるAIチューターの試み――

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WED 2026
Place
早稲田大学戸山キャンパス33号館6階第11会議室
Time
16:15~17:55
Posted
Fri, 03 Jul 2026

アリエル・スティラーマン氏(スタンフォード大学) 講演会

問答で学ぶ古典 ――プロンプトエンジニアリングフレームワークによるAIチューターの試み――
Learning to Read the Classics through Dialogue: Building an AI Tutor with a Prompt Engineering Framework

アリエル・スティラーマン先生によるご講演

講演内容

講演者のアリエル・スティラーマン氏は、現在、スタンフォード大学において日本古典文学を専門とするただ一人の専任教員である。このたび、彼は自身の担当する授業で活用するためのAIチューターを開発された。授業は常にアクティヴ・ラーニングが中心なので、受講者たちは教室での授業に先だって古文・漢文に関する多くの予習をこなす必要がある。スティラーマン氏は、そうした受講者たち一人一人に対し、「問答」形式で古文・漢文についてのチューター役を担うようなAIを開発し、実際に運用している。この講演会では、そうした最新の試みについて話していただいた。

講演では、まず、最近の調査にもとづきAIに対する懸念、不安の声などを紹介するとともに、大学教員として、そうしたネガティヴな面をもふくめてAIの動向に目をそらしたままでいるわけにはゆかないということが述べられた。

次いで、北米の大学・大学院における言語教育のあらましを解説されたのち、自身が協力者とともに開発した ”BungoBot”、”Sata” 、”Hiki” の三種について具体的に紹介された。

”BungoBot”は、学生が古文あるいは漢文の一節を入力すると、問答形式でやりとりが進んでゆくというAIチューターである。講演においては、その実力を示すとともに、あくまでもチューター役までであって、師匠あるいは学者の域に達することはありえないという限界についても丁寧に説明された。次いで紹介された ”Sata” の名は、話題にすること、またうわさ話などの意もあらわす「沙汰」に由来するという。これは、いわば「古語会話パートナー」に当たる。受講者が覚え始めた古文で会話文を作成すると、それに対して”Sata”は、よりこなれた古文で応答してくれるのである。三つ目の”Hiki”の名は、辞書を「引く」ことに由来する。これは「対話的辞書」に相当する。

講演の中では、実践例を示すだけでなく、プロンプトエンジニアリングを用いて大規模言語モデル(LLM)をカスタマイズしているという点についても詳しく説明された。特に、学生の教育という点では、AIの説明の過剰さゆえに学生の努力を阻害することは避けられねばならない。また、ハルシネーション(もっともらしい嘘)をいかに抑制しているのかという点などについても、具体的に解説がなされた。

講演につづいては、コメンテーターの師茂樹氏が登壇され、最新のAIをめぐるニュースなどを紹介しつつ、スティラーマン氏の開発したAIチューターの有益性が確認された。その上で、これからのAIの活用が普及する方向へ進むのか、それとも制限する方向へ進むのかということなどを質問された。また、特にAIの設計、デザインの方向に関する最新の知見をめぐるやりとりが展開された。

師茂樹先生による講演へのコメント

この講演会には、学内外の学生・研究者、また早稲田大学に滞在中の海外の大学関係者などがあわせて三十名ほど参加された。講演に続いては、参加者との間で活発な質疑応答が行われた上、講演会の終了後も、講演者とのやりとりを求める参加者が相次いだ。

質疑応答の様子

なお、スティラーマン氏は、この講演と同内容の公開用動画(ドラフト版)も作成され、それを公開している。以下に、そのリンクをお示しする。ぜひご覧いただきたい。

開催情報

日時:2026年7月1日(水)16:15~17:55
開催方式:対面
対面会場:戸山キャンパス33号館第11会議室

主催等情報

主催:早稲田大学総合人文科学研究センター 角田柳作記念国際日本学研究所
   早稲田大学総合人文科学研究センター デジタル人文学の理論と実践
   早稲田大学 SGU国際日本学拠点