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【開催報告】国際シンポジウム「東アジア文化交流―茶文化の源流と伝播―」

【開催報告】国際シンポジウム「東アジア文化交流―茶文化の源流と伝播―」

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SAT 2025

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SUN 2025
Place
1日目:早稲田大学21号館地下1階 大隈記念講堂 小講堂、 2日目:早稲田大学戸山キャンパス33号館3階 第一会議室
Time
2025年12月13日(土)13:00-17:30、12月14日(日)10:00-16:30
Posted
2026年1月9日(金)

早稲田大学総合人文科学研究センター2025年度年次フォーラム
国際シンポジウム「東アジア文化交流―茶文化の源流と伝播―」開催報告

開催報告

2025年12月13日から14日の二日間にわたり、早稲田大学総合人文科学研究センター(RILAS)2025年度年次フォーラム 国際シンポジウム「東アジア文化交流―茶文化の源流と伝播―」を開催した。本シンポジウムは、早稲田大学総合人文科学研究センター(RILAS)、同研究部門「グローバル化社会における多元文化学の構築」、中国・浙江工商大学東西文明互鑑研究院および同日本研究中心、湖南師範大学外国語学院、韓国・通度寺茶文化大学院、早稲田大学総合研究機構日本宗教文化研究所、同日本古典籍研究所、日本学術振興会科学研究費助成事業「平安期における白居易仏教思想の受容と展開」基盤研究(C)(一般) 課題番号24K03433、同「『南方録』編纂における周縁の人物とその思想」研究活動スタート支援 課題番号24K22453が共同主催し、早稲田大学多元文化学会、早稲田大学文化構想学部多元文化論系の共催により実現したものである。

早稲田大学総合研究機構に所属するプロジェクト研究所である日本宗教文化研究所(所長:吉原浩人)と日本古典籍研究所(所長:河野貴美子)は、中国・浙江工商大学東西文明互鑑研究院(もと東亜文化研究院)との箇所間協定に基づき国際シンポジウムを開催してきた。今回は、その19回目にあたる。2012年度に韓国・蔚山大学校人文大学日本語日本学科が加わってからは、三箇国共同主催による「東アジア文化交流」をテーマとする国際シンポジウムを毎年開催している。魯成煥教授の蔚山大学校定年退職にともない、今回は院長を勤められる通度寺茶文化大学院との共催となった。また、かつて浙江工商大学に所属しておられた陳小法氏が特聘教授として勤務される湖南師範大学外国語学院にも、主催者に加わっていただいた。

茶の文化は中国に始まり、やがて東アジア全域に喫茶の習慣が拡がっていった。さらに、この文化に着目したポルトガル人やオランダ人により、南アジアで紅茶の大規模な栽培が行われ、欧米やアフリカに喫茶文化が拡がった。本シンポジウムでは、「茶文化の源流と伝播」という副題のもと、各国の研究者が一堂に会し、宗教・文学・歴史・美術など多方向から、茶文化の諸相について考察し、相互関係を明らかにすることを目的とした。このテーマは、科研費「平安期における白居易仏教思想の受容と展開」および「『南方録』編纂における周縁の人物とその思想」とも連動するものである。

シンポジウムは、初日に基調講演とパネルディスカッション、二日目に研究発表を行った。プログラムは以下の通りである。

プログラム

12月13日(土)
早稲田大学21号館地下1階 大隈記念講堂 小講堂
総合司会:櫻本香織

《開会式》 13:00~13:20
・開会の辞 吉原浩人(早稲田大学総合研究機構日本宗教文化研究所所長・同文学学術院教授)
・祝  辞 渡邉義浩(早稲田大学常任理事/教授・日本宗教文化研究所研究所員)
・祝  辞 大稔哲也(早稲田大学文学学術院副院長/教授・早稲田大学総合人文科学研究センター所長)

渡邉義浩本学常任理事の祝辞

大稔哲也総合人文研所長の祝辞

《基調講演》 13:20~16:20
 司会・コーディネーター:吉原浩人(早稲田大学日本宗教文化研究所所長・同文学学術院教授)
 河野貴美子(早稲田大学日本古典籍研究所所長・同文学学術院教授)
○趣旨説明 吉原浩人・河野貴美子 13:20~13:30
◇陳小法(湖南師範大学瀟湘学者・同外国語学院特聘教授):
「中国茶徳の変遷史」
◇魯成煥(通度寺茶文化大学院院長・蔚山大学校人文大学名誉教授):
「通度寺古文献からみた韓国茶文化の起源」
《休憩 10分》
◇江静(浙江工商大学東方語言与哲学学院・東西文明互鑑研究院院長/教授・早稲田大学日本宗教文化研究所招聘研究員):
「入宋入元僧の行記・伝記における天台乳花異象の記述」
◇石塚修(筑波大学人文社会系教授):
「茶の湯における掛物の存在の変遷―唐絵から一行物へ―」

陳小法先生

魯成煥先生

江静先生

石塚修先生

《パネルディスカッション》 16:40~17:30

○基調講演者全員登壇

パネルディスカッションを行う講演者・司会の先生方

*基調講演のうち、陳小法・江静両教授は、諸般の事情により来日が困難になったため、あらかめ収録された映像によ講演を実施した。なお陳小法教授は、パネルディスカッションにオンラインで参加され、会場の登壇者とともに議論を行った。

12月14日(日)
早稲田大学戸山キャンパス33号館3階 第一会議室
総合司会:田中亜美

《研究発表1》 10:00~11:30
 司会:田中亜美(早稲田大学文学部助教・同日本宗教文化研究所研究所員)
◇櫻本香織(早稲田大学文化構想学部助教・同日本宗教文化研究所研究所員):
「『南方録』におけるカネワリの規矩の淵源―貝原益軒の著作『大疑録』の影響―」
◇曾昭駿(福井県国際交流員・浙江工商大学東方語言与哲学学院講師):
「茶文化受容のなかの南浦紹明」
◇吉原浩人(早稲田大学文学学術院教授・同日本宗教文化研究所所長):
「「茶道」の語義」

《研究発表2》 13:00~14:30
 司会:曾昭駿(福井県国際交流員・浙江工商大学東方語言与哲学学院講師)
◇久保輝幸(横浜商科大学教養教育センター教授・早稲田大学日本宗教文化研究所招聘研究員):
「編纂形式からみる『茶経』の成立とその背景」
◇島村幸忠(大阪経済大学国際共創学部講師・早稲田大学日本宗教文化研究所招聘研究員):
「「青湾茶会」にみる田能村直入の売茶翁顕彰―文人趣味としての煎茶の継承と展開―」
◇朴淳希(圓光大学校客員教授):
「現代韓国の茶人の茶道観」

《研究発表3》 15:00~16:00
 司会:朴淳希(圓光大学校客員教授)
◇三浦領哉(早稲田大学文学学術院非常勤講師):
「アルコールの国の「快」の茶と「罪」の茶―18-19世紀ロシアの茶文化―」
◇タニア・ホサイン(早稲田大学文学学術院教授):
「バングラデシュとインドにおける茶の文化―地域からグローバルな視点へ向けて―」

発表朴淳希先生、司会曾昭駿先生

発表者三浦領哉先生、司会朴淳希先生

質問する柳澤明先生

《閉会式》 16:10~16:30

会議総括 河野貴美子(早稲田大学総合研究機構日本古典籍研究所所長・同文学学術院教授)
閉会の辞 垣内景子(早稲田大学文学学術院副院長/教授・「グローバル化社会における多元文化学の構築」代表)

河野貴美子先生による会議総括

垣内景子先生による閉会の辞

***

二日間のシンポジウムを通して、東アジアを中心に、ユーラシア大陸全体に及ぶ茶文化の諸相と交流について、宗教・歴史・文学・美術・民俗学といったさまざまな分野から講演と研究発表が行われた。また、古代から現代までの幅広い時間軸において、多様な視点での考察が行われた。茶は集う人々の会話を豊かにし、その文化が異なる地域を繋いでいく。

今回のシンポジウムでは、中国・韓国・日本にとどまらず、イスラーム・ロシア・バングラデシュ・インドにおける茶文化に対する発言が行われ、それぞれに豊穣な文化が生じ、変遷したことが浮き彫りにされた。

基調講演の前には、大隈記念講堂大控室において、海外の客人に対して、裏千家による呈茶が行われ、日本の茶の湯文化への理解を深めることができた。また、カザフスタンより、アル・ファラビカザフ国立軍事研究所のジャナット・ビセンバエワ教授、アバイ・カザフ国立教育大学のサウレ・ヌルガリ准教授が、二日間にわたり参加していただき、ともに学術交流と情報交換を行うことができた。

大隈記念講堂小講堂における呈茶

同関係者

左から、ジャナット・ビセンバエワ教授(アル・ファラビカザフ国立軍事研究所)、吉原浩人本学教授、タニア・ホサイン本学教授、サウレ・ヌルガリ准教授(アバイ・カザフ国立教育大学)

本シンポジウムには、二日間でのべ144名の参加者があり、活発な質疑応答と議論が行われた。特筆すべきは、早稲田大学関係者のみならず、茶の湯文化学会会員をはじめとする、内外の茶文化研究者が一同に集うことができたことである。シンポジウムの成果は、今後論文集として公刊される予定である。

開催詳細

  • イベント名:国際シンポジウム「東アジア文化交流―茶文化の源流と伝播―」
  • 日時:2025年12月13日(土)13:00-17:30、12月14日(日)10:00-16:30
  • 開催方式:対面(1日目:早稲田大学21号館地下1階 大隈記念講堂 小講堂、
    2日目:早稲田大学戸山キャンパス33号館3階 第一会議室)
  • 主催:早稲田大学総合人文科学研究センター(RILAS)、同研究部門「グローバル化社会における多元文化学の構築」、中国・浙江工商大学東西文明互鑑研究院および同日本研究中心、湖南師範大学外国語学院、韓国・通度寺茶文化大学院、早稲田大学総合研究機構日本宗教文化研究所、同日本古典籍研究所、日本学術振興会科学研究費助成事業「平安期における白居易仏教思想の受容と展開」基盤研究(C)(一般) 課題番号24K03433、同「『南方録』編纂における周縁の人物とその思想」研究活動スタート支援 課題番号24K22453
  • 共催:早稲田大学多元文化学会、早稲田大学文化構想学部多元文化論系