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【開催報告】ブリティッシュ・コロンビア大学 クリスティーナ・ラフィン先生講演会
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FRI 2025- Place
- 早稲田大学戸山キャンパス33号館16階第10会議室
- Time
- 15:30~17:00
- Posted
- 2025年12月23日(火)
ブリティッシュ・コロンビア大学 クリスティーナ・ラフィン先生講演会
図書館コレクションの由来と研究、教育における利用―ブリティッシュ・コロンビア大学、早稲田大学を例にして
University Libraries as Sites of Research and Pedagogy: Origins and Current Approaches at the University of British Columbia and Waseda University

今回の講演は、ブリティッシュ・コロンビア大学のクリスティーナ・ラフィン先生をお招きし、「図書館コレクションの由来と研究、教育における利用―ブリティッシュ・コロンビア大学、早稲田大学を例にしてUniversity Libraries as Sites of Research and Pedagogy: Origins and Current Approaches at the University of British Columbia and Waseda University」と題して、古典文学を教える教員の視点から、大学図書館所蔵の貴重図書の利用を中心とする教育・研究活動の現状と展望についてお話しいただきました。
ご講演ではまず、ブリティッシュ・コロンビア大学の創設以来の歴史、および日本との関係についてポイントをおさえつつ概説をいただき、また、ブリティッシュ・コロンビア大学の図書館の形成過程と地図コレクションをはじめとする特徴的なコレクションや各種資料がどのように収集、所蔵されてきたのか、さらには現在、図書館資料に学生や院生がアクセスするための準備としての教育プログラムが用意されていることなどをご紹介いただきました。続いてご講演の後半では、ブリティッシュ・コロンビア大学の図書館資料を活用した教育活動として、旅文学をテーマにしたレクチャーに対して院生が関連資料を探しビデオの編集を行った取り組みや、ブリティッシュ・コロンビア大学図書館のコレクションである「吉野記」をめぐる院生による研究プロジェクト、またさらには、鯰絵を用いた災害と文化、災害文学に取り組む授業や、万国総図を用いて学生が自らの視点で考察を行い、グループワークなどを通して資料へのアプローチを深める授業など、たいへん魅力的で創造性にあふれる具体的実践例を紹介いただきました。AIに対応していく現在の世の中において、物質文化の重要性や事実を調べるスキルを高めていく必要性はますます増しています。クリスティーナ・ラフィン先生のご講演は、大学図書館が大学における研究・教育活動をいかに豊かにその可能性を広げうるものであるかを、数々の実践例からお示しいただくものでした。

ご講演に続いて、早稲田大学図書館特別資料室の嶌田修氏、阪下清香氏、早稲田大学戸山図書館の長谷川敦史氏により、図書館の立場からコメントをいただきました。図書館の方々からは、2025年春に早稲田大学図書館で開催された「知の礎~図書館コレクションを築く~」展のリーフレット等を用いて、早稲田大学図書館の100年の歩みと数々の寄贈書がコレクション形成の大きな役割を果たしてきたことや、コレクションへの関わり方、そしてコレクションの活用について、今後の展望も含めてお話しいただき、早稲田大学図書館とブリティッシュ・コロンビア大学図書館が、大学図書館として相互に重なり合う歴史もある一方、それぞれの実践を知ることによって学び合える要素が少なくないことも実感されました。
その後、参加者からも図書館やその資料のより有効な活用法、さらには現在大学図書館が抱える苦労や問題点など、さまざまな観点から質問や意見が次々と出されました。
本講演は、今後、ブリティッシュ・コロンビア大学と早稲田大学双方の学生が、それぞれの大学所蔵資料を活用した研究を持続的に実践し、将来にわたり研究交流を行っていくため、課題を提起し、問題意識を喚起することも目的とするものでした。両校の図書館相互の情報をつなぎ、それにかかわる研究や教育のさらなる可能性を探り、大学所蔵資料の意義を引き出し、有効に利用し、展開していくための布石となる、充実した議論の場となりました。
開催概要
- 開催日時:2025年12月19日(金)15時30分〜17時00分
- 開催方式:対面(会場名:33号館16階第10会議室)
- 主催:早稲田大学総合人文科学研究センター角田柳作記念国際日本学研究所