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【著作紹介】『性格診断ブームを問う—心理学からの警鐘』(文学学術院教授 小塩真司)

岩波書店 初版 2025年4月8日 ブックレット 78ページ ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4002711072

近年,インターネット上の性格診断が話題を呼んでいます。広く「MBTI診断」などと呼ばれることがありますが,実際には「MBTI」ではありません。

大学生をはじめとして,多くの人々はこの性格診断を「MBTI」と呼んでいます。しかし,実際にはこれは「MBTI」ではないのです。そして,本物のMBTIは,インターネット上で無料で診断できるものとは別に存在しています。本物のMBTIの歴史は古く,アメリカ合衆国では企業研修などの場でよく用いられている,診断と研修をセットにした自己理解のためのツールです。アメリカの心理学者はよく書籍の中にMBTIのことを記述していましたが,日本で話題になることはあまりありませんでした。それがコロナ禍以降,一気に広まったというのが現状です。

日本では,本来はMBTIではないものが「MBTI」として広く知られ,本当のMBTIであるかのように普及しているという,複雑な様相を呈しているのです。

本書は,日本において急に広まった性格診断ブームについて,その簡単な経緯と背景要因をまとめたものです。そして,このまとめを通じて,本当の自己理解や自己分析とは何かを考えていくことを目的としています。なおブックレットという本書の性格上,専門的な話にはできるだけ踏み込まず,中学生や高校生にも理解できる内容となるような記述を心がけました。手に取っていただければ幸いです。

なお本書を執筆する際には,日本MBTI協会から協力を得ました。心より感謝いたします。

〈研究内容紹介〉

人間(だけではないのですが)の心理学的な個人差に関連して,どのような法則が存在しているのかを広く研究しています。平たく言うと「性格」のようなものを研究しているのですが,多くの研究は調査を基礎としており,統計的な法則を見出そうとすることが中心となっています。

早稲田大学文学学術院教授
小塩 真司(おしお あつし)

名古屋大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育心理学)。中部大学人文学部を経て,2012年より早稲田大学文学学術院准教授,2014年より現職。専門はパーソナリティ心理学,発達心理学。書籍は『性格とは何か』(中央公論新社,2020年)など多数。

(2025年8月作成)

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