源氏物語の源流/源氏物語絵巻の源流(源氏絵データベース研究会シンポジウム)
『源氏物語』を絵画化した源氏絵は、平安時代から現代に至るまで数多く制作された。この研究会では、源氏絵の全体像を明らかにし、源氏絵を深く理解するために、『源氏物語』を享受し再生した作品群や、『源氏物語』を享受し再生する営為、すなわち源氏文化に関する検討を継続的に行っている。今回は源氏物語及びその絵画化の源流を探るとシンポジウムとして、日中の文学史研究、絵画史(中央アジア、中国、日本)を専門とする研究者が広く参集して発表と討議を行った。
第1部を「源氏物語の源流」と位置づけ、笹生美貴子「源氏物語における長恨歌享受」、倪錦丹「源氏物語における竹取物語享受」、近藤さやか「源氏物語における伊勢物語享受」の報告を通じて源氏物語におけるプレテクスト利用の実態が明らかにされた。
続く第2部では「源氏物語絵巻の源流」に目を向け、桝屋友子「西アジアの物語絵」、山本聡美「東アジアの物語絵と源氏物語絵巻」、増記隆介「東アジアの山水画と源氏物語絵巻の山水表現」を通じて、平安時代以来の源氏絵の伝統を広く東アジア美術史から俯瞰すること、また異文化比較の観点から相対的に捉えることを試みた。

フリーセッションでの会場風景
司会は稲本万里子と青木慎一、コメンテーターは勝亦志織と髙岸輝、参加者として会場に33名、オンラインで44名が参集した。最後のフリートークのセッションでは、第1部のテクスト分析、第2部のイメージ分析をクロスオーバーさせながら議論を展開することができ、源氏物語文化の重層的で豊かな世界の魅力を再確認する時間となった。
開催概要
- 日時:2025年7月13日(土曜日) 14時00分~17時00分
- 場所 :早稲田大学戸山キャンパス38号館AV教室、オンライン(Webinar)併用
- 主催:科研費基盤A(代表・稲本万里子)「源氏文化ポータルを共有・活用した源氏絵の俯瞰的・創発的研究」
- 共催:総合人文科学研究センター角田柳作記念国際日本学研究所(SGU国際日本学拠点)、早稲田大学美術史学会