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【開催報告】「COVID-19を経験した社会の人文学」2024年度第3回研究会

「COVID-19」研究会 2024年度第3回研究会

今回の研究会では、軽部紀子先生(招聘研究員)が「エスニック・マイノリティのコミュニティが直面した問題、適応の過程の報告-北カリフォルニアのNPO法人の例-」と題して、話題提供を行った。参加者は8名。以下、軽部先生ご執筆による当日のまとめである。

COVID-19パンデミックは、米国カリフォルニア州北部に40年以上前に設立された、ハワイ先住民によるエスニック・マイノリティのための非営利団体の活動のあり方を大きく変えた。エスニック・マイノリティにとって、ルーツの文化に触れること、同志と集まり経験や記憶を育んでいくことは、文化の維持・発展だけではなく、自らのアイデンティティを豊かにすることにつながる。この理念のもと、団体は40年にわたってハワイ先住民の伝統的民族舞踊であるフラを中心としたエスニック・イベントを年2回開催してきた。しかし「人との接触」「密」をタブー視する社会的風潮の中で、経済的損失も加わり、イベントの開催を再開するには様々な懸念事項が浮き彫りになった。団体設立当初の理念や、対象とする「コミュニティ」や関係者の範囲の再考を経て、活動のあり方を変わりゆく社会に適応させた。その過程で浮かび上がった葛藤が明らかにしたことは、オンライン化が加速したパンデミックを経てもなお、エスニック・マイノリティにとって、物理的に人が集まり文化的要素を共有する「場」の存在には、代替し難い意義があるということであった。

意見交換では、対象団体が感染症拡大防止対策に配慮しつつも、最終的に動画配信などのオンライン化を採用しなかった背景、代わりにHoni(ホニ)やAloha(アロハ)といった、人との密な接触がある伝統的儀礼や象徴的な挨拶を禁止にした背景などについて質問があがり、学問分野を超えた議論がなされた。(軽部紀子記)

 

開催詳細

  • 主催:早稲田大学総合人文科学研究センター 「COVID-19を経験した社会の人文学」部門
  • 日時:2024年12月13日(金曜日)18時00分~19時35分
  • 開催方法:オンライン(Zoom Meeting)
  • 報告者:軽部紀子(招聘研究員)
  • 題目:「エスニック・マイノリティのコミュニティが直面した問題、適応の過程の報告-北カリフォルニアのNPO法人の例-」
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