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【著作紹介】『慣れろ、おちょくれ、踏み外せ──性と身体をめぐるクィアな対話』(文学学術院教授 森山至貴)

朝日出版社 初版刊行日 2023/07/01 判型 四六判 ページ数 320ページ ISBN: 9784255013480

「クィア」という言葉は、セクシュアルマイノリティの社会運動や、そこから生まれたクィア・スタディーズという学問の中で、さまざまな含意をもって使われる言葉です。この言葉に込められた複雑で力強いスピリットを対談形式でわかりやすく伝えたい、という狙いでこの本は作られました。能町みね子さんという最高のお相手に導かれるままに、あれやこれやのトピックについて、クィアに語り倒す、ということをこの本では行なっています。

本書の特徴の一つとして、能町さんも私も、自身の個人的なエピソードを積極的に語っている点が挙げられます。クィアは先人の血の滲むような生の戦いに多くを負った言葉ですので、私たちも、本書が空々しい「用語解説」にならないよう、個人的な経験をクィアの発想と真剣に突き合わせることに力を尽くしました。簡単に言葉にしてしまえばそれぞれが「セクシュアルマイノリティの一人」ということになってしまう能町さんと私の、そんなまとめ方では回収しきれない生の輪郭が、本書の中にはしっかりと刻印されているはずです。

「クィア」という語の持つ挑発的な態度は、本書のタイトルにも表れています。能町さんがつけてくださったこのタイトルからもわかるように、本書は読者を優しく慰めたり、穏やかに説得したりする本ではありません。どうぞ、心置きなく私たちから挑発されてください。願わくば、焼け付くようなこのクィアのスピリットに、あなたも存分に感化されますように。

〈研究内容紹介〉

私自身はふだん、クィア・スタディーズの分野で研究と教育を行っています。クィア・スタディーズは1990年代生まれの性の多様性に関する領域横断的な学問分野で、演劇や文学、哲学などの人文学領域の知見に多くを負っているという特徴があります。私自身は社会科学(とくに社会学)領域のトレーニングを受けた研究者で、性の多様性について研究したい、という思いが高じて、「お隣さん」である人文学領域の概念や発想にも手を伸ばしながらクィア・スタディーズの分野で研究をするようになりました。

現在では、人文学領域の概念や発想を性の多様性の社会科学的な研究にどのように取り入れることができるのか、というクィア・スタディーズの「基礎研究」にあたる部分を、「ホモソーシャリティ(異性愛男性同士の、ときに他者排除的になる社会的紐帯)」や「ヘテロセクシズム(異性愛中心主義)」といった概念の理論的検討を中心におこなっています。

早稲田大学文学学術院教授
森山 至貴(もりやま のりたか)

1982年神奈川県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程満期退学。同大学院総合文化研究科国際社会科学専攻助教、早稲田大学文学学術院専任講師、准教授を経て、2024年4月より現職。専門は、社会学、クィア・スタディーズ。

著書に『LGBTを読みとく──クィア・スタディーズ入門』(ちくま新書)、『10 代から知っておきたい あなたを閉じこめる「ずるい言葉」』『10 代から知っておきたい 女性を閉じこめる「ずるい言葉」』(いずれもWAVE出版)などがある。

(2024年8月作成)

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