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【開催報告】「COVID-19を経験した社会の人文学」2023年度第4回研究会

【開催報告】「COVID-19を経験した社会の人文学」2023年度第4回研究会
Posted
Tue, 12 Dec 2023

◇ 発表者:清水由紀(本学教授、部門構成委員)
◇ 発表題目:COVID-19パンデミック中における子どものマスク顔認知とその影響
◇ 参加者数:22名

当日の内容:
他者と相互作用をするときに、私たちは相手の顔アイデンティティの特定(「この人は誰か?」)、表情からの感情の推測(「この人は今どのような気持ちか?」)を行っている。これまでの研究から、これらは顔の全体的処理を必要とすること、そして子どもは発達初期から全体的処理が可能であり、高い顔認識能力を示すが、その発達には他者の顔を見る経験が重要であることが示されてきた。このことから、コロナ禍においてマスクで顔の下半分を覆われた顔に接した子ども達が、顔認識の能力を失っていくのではないかという危惧が、メディアなどで提示された。これは実際に見られた現象だったのだろうか?
本発表では,この点に関して、ここ1~2年間で国際誌に発表された実証研究をレビューし、子どもの顔認識におけるマスクの影響がどのようなものかについて検討した。その結果、現時点での結論として、マスクの影響は大人よりも子どもの方が大きいが、子どもの顔認識能力が完全に阻害されるわけではないことが示された。このことは、子どもがパンデミック中でもマスクをしていない顔を見る機会はあり、それが顔認識の発達にとって十分なインプットであった可能性を示唆している。
今後の研究課題としては、マスクの長期的な影響はどのようなものか、また非言語的情報、例えばジェスチャー、アイコンタクト、音声などの社会的手がかりによってどの程度補われるのかについて検討することが挙げられた。(清水記)

今回の発表は、COVID-19パンデミック開始当初からマスメディアによって流布させられた、人々のマスク着用が子どもの心理的発達になんらかのネガティヴな影響をもたらすのではないかという懸念について、現状では、それが杞憂であったと言える、という重要な知見を披露してくださるものだった。今回の研究会は、たいへん多くの参加者を得て、充実した時間となった。(御子柴記)

開催詳細

  • 日時:2023年11月18日(土)13:00-14:45
  • 開催方式:オンライン(Zoom Meeting)、公開(参加者22名)
  • 発表者:清水由紀(本学教授、部門構成委員)
  • 発表題目:COVID-19パンデミック中における子どものマスク顔認知とその影響