日程:2022年1月29日(土)14:00〜17:30
開催方式:オンライン開催(ZOOM)
早稲田大学総合人文科学研究センター「イメージ文化史」主催ワークショップ
タイトル:「私たちは立ち上がる――『燃ゆる女の肖像』における生の取り戻し」
プログラム
第一部 関係を振り返る
原田麻衣(京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程/日本学術振興会特別研究員)
「平等の眼差しがもたらす回想」
横田祐美子(立命館大学衣笠総合研究機構助教/早稲田大学総合人文科学研究センター「イメージ文化史」招聘研究員)
「生き生きとした想起──視覚と聴覚をめぐって」
辻佐保子(早稲田大学文学学術院文化構想学部講師(任期付))
「私を振り返って──『燃ゆる女の肖像』における想起と音楽」
第二部 関係を取り込む
久保豊(金沢大学人間社会学域准教授)
「彼女の唇をもう一度味わうために──『燃ゆる女の肖像』にみる孤食と共食の表象」
関根麻里恵(学習院大学大学院人文科学研究科身体表象文化学専攻助教)
「「なかったことにしない」ための協同作業──『燃ゆる女の肖像』における中絶表象」
全体討議
開催趣旨
本ワークショップの目的は、セリーヌ・シアマ監督作品『燃ゆる女の肖像』を多角的な視点から論じることで、本作品の学術的価値やこれまでにない解釈可能性を掬い上げることである。
『燃ゆる女の肖像』は2019年のフランス映画であり、日本では翌2020年に公開された。本作品は18世紀後半のフランス・ブルターニュを舞台に、女性画家が伯爵令嬢の肖像画の制作を依頼されたことから物語が開始する。結婚を望まず、結婚相手に贈るための肖像画に対しても頑なな態度を見せるエロイーズと、父の名義で作品を発表することを余儀なくされている画家マリアンヌの恋愛、そして望まない妊娠をした屋敷の女中ソフィを含む女性三人の連帯などが描かれているため、本作品は当然ながらフェミニズムやクィア映画史の文脈で論じられることが多い。
ただし、本作品は登場人物の視線の動きと関連づけられた撮影技法、視覚と聴覚をはじめとした感覚器官の重要性、作中で言及されるオルフェウスの神話、食事や中絶のシーンに見られる身体への取り込みとそこからの取り出しなど、表象文化論・哲学・美学・文学といった学術的要素を多分に含んでいる。そのため、こうした点に着目し、あらためてフェミニズムやクィア映画史の文脈に本作品を置き直すことが解釈上必要な手続きではないかと考えられる。
以上の方針のもと、本ワークショップではいわゆる「レズビアン映画」や「愛の物語」といった評価に汲み尽くされることのない本作品のポテンシャルを明示することを目指したい。
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