「COVID-19を経験した社会の人文学」部門
第3回研究会
概要
- 発表者:御子柴善之教授、 参加者:16名
- 発表タイトル:COVID-19を経験した社会の倫理学
今回の話題提供は、「COVID-19を経験した社会の倫理学」という題目の下、COVID-19パンデミック最中に語られた道徳を倫理学的見地から見直した。そこでは、死者数を最小限にとどめるべきだという道徳が語られたが、そこで行われた「生命」を基軸とした語りとその内面化が、各人の「自由」を議論の俎上に載せる機会を失わせたことを確認した。その具体例として、COVID-19に感染して死亡した患者に関する葬送のガイドラインを確認し、加えて、倫理学で語られ始めた「有事」の倫理という論点を批判的に論じた。質疑では、COVID-19の最中に倫理学から社会に対してどのような発信があったか、また倫理学の見地に基づくなら、次のパンデミックに向けて各人がどのように道徳的主体として振舞うべきかが問われた。そこで発表者は、「有事」の思考に専心する前に、まずは「平時」の社会にも存在するさまざまな不平等や不透明さに対して倫理学的に問題提起することが必要だと主張した。
- 主催:総合人文科学研究センター「COVID-19を経験した社会の人文学」部門
- 日時:2025年10月24日(金曜日)18時00分~19時40分
- オンライン開催


