
平凡社 (2025/3/18) 新書 : 304ページ ISBN-13 : 978-4582860788
約束事を重んじ、身命を賭して他人の窮状を救う一方で、殺人や強盗のほか、ニセガネ作りなどの犯罪行為にも手を染める任俠。『史記』游俠列伝で数多くの人物が取り上げられるなかで、その筆頭に挙げられるなど、司馬遷の評価が最も高い、前漢時代を生きた大任俠・郭解に焦点を当てて、古代中国社会の裏側を切り開く。

平凡社より提供

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〈研究内容紹介〉
中国古代の歴史、とくに貨幣経済をめぐる日常風景の復元に取り組んでいます。中国古代といえば、漫画『キングダム』『項羽と劉邦』『三国志』の英雄を思い浮かべる方も多いと思いますが、では彼らの月収はいくらで、毎日どのような生活を送っていたのでしょうか。私はそうした卑俗な世界の実態を明らかにしたいと考えています。その一貫として、2021年には『古代中国の24時間―秦漢時代の衣食住から性愛まで―』(中央公論新社)を出版しました。今回ご紹介する『古代中国の裏社会』はその続編的な位置づけの作品であり、ほとんど小説のような書き方を取り入れながら、裏社会の実態解明に取り組んだものです。今後はさらに多面的でリアルな中国古代社会の実態解明に取り組んでいきたいと思っています。
早稲田大学文学学術院教授
柿沼 陽平(かきぬま ようへい)
1980年、東京都生まれ。 早稲田大学卒業。 University of Birminghamに留学。早稲田大学大学院文学研究科に進学し、2009年に博士(文学)学位取得。中国古代史・経済史・貨幣史に関する論文を多数発表。2006年3月に小野梓記念学術賞、2016年3月に櫻井徳太郎賞大賞、2017年3月に冲永荘一学術文化奨励賞を受賞。著書に『古代中国の24時間』『中国古代の貨幣 お金をめぐる人びとと暮らし』等。日本学術振興会特別研究員DC1、PD、中国社会科学院歴史研究所訪問学者、早稲田大学文学学術院助教、日本秦漢史学会理事、帝京大学文学部専任講師、同准教授等を経て、2021年より現職。
長江流域文化研究所所長、中国出土資料学会理事、中国中古史青年学者聯誼会理事、日本秦漢史学会監事、三国志学会評議員、日本ASEAN産業経済交流協会理事、東方学会学術委員等も務める。
(2025年8月作成)