クローゼットにいるって、冷たい海に潜っているみたいだ。本当の自分を知られないように水中に潜っているのだけど、息が出来なくて苦しい。もがくけれど海は深くてどこにも行き場が無い。「もっと女の子っぽい格好しなよ、もったいないよ。」「好きな人いないの?」「なんで彼氏いないの?」そして繰り返される”ホモネタ”。皆と私は一緒に笑った。みんなともっと仲良くなりたい、私のこと、私が大切にしている人のことをもっと知ってもらいたい。でも恐い。こんな偽物の日々をあとどれくらい過ごせば大人になれるのだろうと思った。
友人にカミングアウトしたのはそんな時、大学二年生だった。長い長い21年間はなんだったのだろう、と思うくらい、あっけないくらいの受容。そうしたら、世界が一気に鮮やかになった。もう水中に潜っていなくてもよくなって、息をするのが楽になって、恐怖の気持ちも薄れた。状況は何も変わっていないのに、人との繋がりの、暖かい感覚を知った。
レズビアンの私にとってのアライのパワーは、こういうかんじ。
結構いいものでしょ?
卒業生
ロッコ