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独・コンスタンツ大学高等研究所 研究者相互派遣プログラムレポート 2026年度 第2弾(パフチャレク パヴェウ 講師)

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早稲田大学高等研究所は、2023年度より当研究所の協定機関であるZukunftskolleg(ドイツ・コンスタンツ大学高等研究所。略称:ZUKO)と、研究交流を目的とした所属研究者の相互派遣を実施しています。当記事では本プログラムの4人目の利用者であるパフチャレク パヴェウ 講師が、3か月にわたる滞在期間中の研究活動成果を振り返ります。

独・コンスタンツ大学高等研究所 研究者相互派遣プログラムレポート2026年度 第2弾(パフチャレク パヴェウ 講師)

コンスタンツ大学Zukunftskollegでの3か月間の研究滞在を通じて、草間彌生の文学作品を、パフォーマンス、プロテスト、社会的関与のある芸術との関係から考察する現在の研究について、理論的な枠組みと論文全体の構成を整理することができました。研究テーマそのものを変更したわけではありませんが、中心となる問いをより明確にし、今後の研究を進めるための方向性を具体化することができました。

今回の滞在における最も大きな成果は、草間の文学作品を、パフォーマンスを説明または記録するための二次的な資料としてではなく、パフォーマティヴな戦略が言語を通じて展開される「もう一つの実践の場」として捉える議論を、より明確な形で構築できたことです。草間の小説や詩は、視覚芸術に対する単なる補足ではありません。身体的行為、公共空間への介入、反復、自己消去といった問題を、文学固有の形式のなかで再構成しています。この視点は現在準備中の論文の中心的な枠組みとなっており、文学、パフォーマンス、政治的美学をめぐる今後の研究にもつながっています。

アート・バーゼルにて、草間彌生の作品と。/ With a work by Yayoi Kusama at Art Basel.

Zukunftskollegの大きな特徴は、国際的な研究交流が日常的な活動のなかに組み込まれている点です。コンスタンツは比較的小規模な大学都市ですが、Zukunftskollegには多様な分野と研究機関から研究者が集まり、継続的な交流が行われています。滞在中は、定期的に開催されるJour Fixeをはじめ、ワークショップ、セミナー、講演会に参加し、自身の研究について意見を交わしました。国際交流が一時的な学会やイベントに限られず、日々の研究活動の一部として機能していることは、Zukunftskollegの重要な強みだと感じました。

異なる専門分野の研究者に研究内容を説明する過程では、議論の前提や用語をその都度見直す必要がありました。文学研究、美術史、哲学、社会学など、異なる方法論を持つ研究者との対話を通じて、草間の実践に固有の問題と、文学、パフォーマンス、政治的形式、社会的関与のある芸術をめぐるより広い議論との接点を整理することができました。また、一次資料の具体性を失うことなく、研究の理論的な射程をどこまで広げることができるのかを考えるうえでも、これらの議論は重要でした。滞在中には、ドイツ、スイス、フランス、フィンランド、ポーランドをはじめとするヨーロッパ各地の研究機関に所属する研究者と交流する機会がありました。

コンスタンツを拠点としたことで、Zukunftskollegでの日々の研究を続けながら、ヨーロッパ各地の学術的・芸術的な動向にも接することができました。滞在中は、ドイツ、スイス、イタリア、ポーランドで開催された研究会、ワークショップ、関連行事に参加したほか、ヴェネツィア・ビエンナーレのプレオープニングやアート・バーゼルも訪れました。

これらの訪問は、現在の美術制度において、芸術実践と政治的介入がどのように関係し、国際展や美術機関のなかでプロテストや社会的関与のある芸術がどのように提示され、交渉され、時に無力化されるのかを考えるための具体的な参照点となりました。同時代の議論に直接触れることによって、草間のパフォーマンスや文学実践を歴史的に検討する現在の研究を、芸術制度と政治的表象をめぐる今日的な問題と接続して考えることができました。

今回の滞在は、今後の共同研究にもつながっています。具体的には、Zukunftskollegの研究者とともに、DAAD–Waseda Partnership Programmeへの共同申請に向けた準備を進める予定です。これは、WIASとZukunftskollegの既存の交流を、より継続的な学術協力へと発展させるための試みです。また、滞在中に築いた研究者との関係を、今後のワークショップ、研究交流、共同研究、出版へとつなげていきたいと考えています。

今回の研究滞在によって、研究対象そのものが変わったわけではありません。一方で、現在執筆中の論文は、構成と理論的な射程の両面でより明確になりました。コンスタンツでの議論と研究交流は、今後の研究を進めるための具体的な基盤となるとともに、WIASとZukunftskollegのさらなる連携に向けた出発点にもなっています。

Zukunftskollegの研究者およびスタッフと。/ With researchers and staff from the Zukunftskolleg.

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