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独・コンスタンツ大学高等研究所 研究者相互派遣プログラムレポート 2025年度 第2弾(李 家隆 講師)

早稲田大学高等研究所は2023年度より、当研究所の協定機関であるZukunftskolleg(ドイツ・コンスタンツ大学高等研究所。略称:ZUKO)と、研究交流を目的とした所属研究者の相互派遣を実施しています。当記事では、本プログラムの3人目の利用者である李 家隆 講師が、約2か月にわたる滞在期間中の研究活動成果や日常生活を振り返ります。

独・コンスタンツ大学高等研究所 研究者相互派遣プログラムレポート 2025年度:第2弾(李 家隆 講師)

李 家隆

本滞在での研究成果

今回のコンスタンツ大学滞在における研究活動を通じ、「数理論理学により定義された制約を大規模言語モデル(LLM)の生成過程に組み込み、LLMによるロボット制御の安全性と倫理性を高める」という構想について、基礎手法の実装と初期実験を実施することができました。また、実験を通じて得られた知見を整理したことで、本研究の今後の発展に向けた方向性がより明確になりました。

特に印象深かったのは、「法規範や法的条文は単独で存在するのではなく、外部システムや社会的文脈との相互作用の中で理解・運用されている」という議論です。例えば、個別の法律は他の規制のみならず、社会的慣習や倫理的判断と密接に関連しており、その真の意味や適用範囲は、こうした複合的な文脈において初めて規定されます。中でも、「どの法律が数理的なモデリングに適しているか」「どの法律が社会的文脈への依存度が高く、数学的記述が困難か」といった問いについて、数理論理学、法学、インタラクションの研究者と学際的に議論できたことは一番印象的でした。これは、コンスタンツ大学およびZukunftskollegという独特な学際的環境ならではできる研究経験であったと確信しています。

日常生活

コンスタンツでの生活は、落ち着いていて規則正しく、研究に集中しやすいものでした。毎日ほぼ決まったリズムで大学に通い、朝7時から夕方7時頃まで、じっくりと研究に向き合うことができました。特に印象に残っているのは、コンスタンツ大学の学生達の真面目さです。朝は、多くの人が私と同じバスを降り、濃い霧の中で丘の上にある大学へ向かって歩いていました。また、私のオフィスは図書館に面していたため、夜になってもなお多くの学生が図書館に残って勉強している様子が自然と目に入り、その姿に励まされることがよくありました。

また、日常の中で気分転換しやすい環境も、大きな魅力の一つでした。昼には時々バスで街に出て昼食をとり、その後、湖の近くで少し本を読んだり、風に当たりながら過ごしたりすることがありました。ボーデン湖の水は非常に澄んでおり、白鳥や鳩などの鳥たちを見かけることも多く、自然の近さを日常の中で感じられる点も印象的でした。夜の帰り道には、広く開けた空に星がよく見え、研究を終えた一日の締めくくりとして、とても静かで心に残る時間でした。

さらに、滞在中には世界三大映画祭の一つに数えられるベルリン国際映画祭の時期とも重なり、普段は一般の商業映画館ではなかなか触れることのできない、政治性・社会性の高い作品や、新人監督による実験的な作品を数多く鑑賞する機会にも恵まれました。上映後に監督自身の創作に対する考えを直接聞くことができたのも、非常に刺激的な経験でした。このように、今回の滞在は研究面だけでなく、生活面においても非常に充実したものだったと感じています。

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