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世界大会個人入賞! 大学入学後、初心者から始めた津軽三味線

「津軽三味線の迫力ある生の音を聞いてほしい」

公認サークル「津軽三味線愛好会三津巴(みつどもえ)」
文学部 2年 遠藤 隼人(えんどう・はやと)

大隈庭園にて

津軽三味線愛好会三津巴(以下、三津巴)は2000年に発足し、「津軽三味線の楽しさを伝える」ことをモットーに日々活動しています。楽器初心者として三津巴の門をたたいた遠藤隼人さんは、今年5月に青森県弘前市で開催された「第40回 津軽三味線世界大会」に個人ユースC級で出場し、8位入賞の結果を残しました。また、三津巴は団体の部で優勝し、世界大会5度目の制覇を果たしています。今回は、遠藤さんに三味線の魅力や、世界大会入賞に至る経緯、そして今後の目標について聞きました。

――津軽三味線を始めたきっかけを教えてください。

三味線を始めたのは大学に入学してからです。中学・高校と陸上競技一筋で活動してきたのですが、体を動かす活動は自分の中ではやり切ったという思いがあり、大学に入ったら何か新しいことをしようと決めていました。何となく音楽をやりたいというイメージは持っていたのですが、バンドの一員としてギターを弾くなどのメジャーなものよりも、せっかくなら珍しいことに挑戦したい! と思っていたんです。それで、サークルなどを紹介している情報誌『マイルストーン』に掲載されている音楽系サークルの情報を見ていたら、「ロック」や「ジャズ」などとジャンル分けされている最後にあった「その他」の最後のページに「津軽三味線愛好会三津巴 早稲田で一番ロックな邦楽サークル」という表記を発見。これだ! と直感しました。

早速、演奏動画を見て、かっこいいな! と思いました。その後体験会で実際に音を聞くと、その力強い音に圧倒されました。他のサークルと迷うことなく三津巴に決めましたね。

写真左:高校時代は陸上競技一筋だった
写真右:取材当日。愛用の津軽三味線を見つめながら思いを語る

――三味線の魅力はどんなところにあると思いますか。

やはり音ですね。皆さんにも生の音の迫力を感じてほしいです。三味線の中でも特に津軽三味線は、棹(さお)が太くて、3本あるうちの一番太い糸を撥(ばち)でたたきつけるように弾くと非常に力強い音が出ます。僕は最初この音に引かれたわけですが、自分で演奏するようになってからは、一番細い糸を弾くと出せる、滑らかで繊細な音の存在にも気付きました。この全く異なる音色が掛け合わさり、一つの曲の中でさまざまな表情を出せるのが津軽三味線の魅力だと思います。あとは、渋さですね。言葉で表現するのが難しいのですが、和装で三味線を弾く姿が音と相まって、何ともいえない「渋かっこよさ」が生み出されます。

2022年7月に大隈記念講堂で開催された三津巴の「第九回定期演奏会」の様子。写真右の前列一番右が遠藤さん

「第九回定期演奏会」の演奏はYouTubeで視聴することができる

――今年5月に開催された「第40回津軽三味線世界大会」では個人の部で見事8位に入賞しました。三津巴としても団体の部で5度目の優勝という見事な結果を残しましたね。

大会は2日間にわたって開催され、まず初日に団体戦がありました。実は、団体戦では、三津巴が初めて出場した2016年から2019年まで4連覇していました。新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年は中止、2021年は出場を控えたので、私自身も、そしてサークル全体としても今年こそはと、5回目の優勝を狙う雰囲気に満ちていました。見事優勝することができて本当にうれしかったです。

2日目の個人戦の演奏前は、とても緊張していました。でも、いざ弾き始めると、すごく心地よくて。目の前にあったマイクを通じて、自分の奏でる音が会場全体に響き渡り、それがまた自分に返ってくるのを感じることができたんです。少しミスはしたものの、楽しく演奏できました。当初、自分の中で目標としてた「弾き切る」ことを達成できて満足でしたね。だから、賞を取ることは全く意識しておらず、結果発表の時はのんきにお昼ごはんを食べていました(笑)。先輩から、入賞してるぞ! と電話があって、とても驚いたのを覚えています。

写真左:2022年5月「第40回津軽三味線世界大会」初日、団体の部で5度目の優勝を飾った
写真右:大会2日目、個人ユースC級で8位入賞。帰路の青森駅近く、青森ベイブリッジにて

――初心者として始めてから、この大会を目指し結果を残すまで、どのような思いで駆け抜けてきたのでしょうか。

三味線を始めて間もない頃に行われた1年生演奏会での様子。このときは「緊張で指が上手く動かせなかった」そう

初心者にもかかわらず個人戦に出場しようと思ったのは、昨年の11月、全国大会での個人の演奏を聞いて圧倒されたのがきっかけです。そこで感銘を受け、自分もああいう演奏をしてみたい! と強く思いました。5月の大会に向け、今年の2月から課題曲『津軽じょんがら節』の基礎的な練習を始めました。

大会では、同じ課題曲の中でいかに構成をアレンジするか、その独自性や独創性も評価の対象になります。基礎的な部分は練習を繰り返すことでミスをしないように精度を上げていけばいいのですが、この構成のアレンジの部分が一番大変でしたね。ああでもない、こうでもない、と昔の三味線奏者の音源をCDやYouTubeで聞き漁り、その中でインスピレーションを受けたものをさらに自分なりに表現して…という作業の繰り返しでした。今大会でエントリーしたのはユースC級という初心者部門ではあるのですが、多くの参加者がいた中での入賞は自信になりました。

――今後の目標について教えてください。

津軽三味線を始めてまだ2年ということもあり、具体的にイメージできていない部分もあるのですが、僕が魅了された津軽三味線の音や「渋かっこよさ」を僕なりに伝えていきたいと思っています。自分としても、もっとたくさんの曲を覚えて弾いていきたいですし、それを通じて、たくさんの人に津軽三味線の生の音を聞いてもらいたいです。一度、僕の活動のことを知った方が地域のお祭りに呼んでくださり演奏したことがあったのですが、そうした機会がとてもうれしかったです。

そもそも、津軽三味線を生で聞いたことが無い人が多いと思うんですよ。三津巴は津軽民謡だけではなくJ‐POPも弾きますし、他の音楽サークルとのコラボもします。そうして、三津巴の一員としても、これまで三味線と接点のなかった人たちに生の音をどんどん届けていきたいです。伝統的な形であれ新しい形であれ、まず知ってもらうことが大事で、そこからほんの少しでも「かっこいいな!」「楽しいな!」と思っていただけたら本望ですね。

第828回

【早稲田祭2022出演情報】

◆『三津巴グッドモーニングステージ in front of 3号館』(早稲田キャンパス 3号館前ステージ)
11月5日(土)10:00~10:25
◆『WASEDA PARADE 2022』
11月5日(土)17:15~17:40
◆『あつまれ! みつどもえの丘 in 戸山』(戸山カフェテリアステージ)
11月6日(日)10:00~10:30
◆『Ending Festival』
11月6日(日)17:15~17:55
◆ストリート短時間企画
11月5日(土)13:00~13:30(早稲田キャンパス 11号館ピロティ)
11月6日(日)15:00~15:30(戸山の丘)

【プロフィール】
神奈川県横浜市出身。市立東高等学校卒業。中学・高校時代は陸上競技(100m、200m)に没頭。大学入学後、三味線以外にもう一つのめり込んでいるものは、小学生の頃から大好きだったという日本史。在籍する文学部の日本史コースでは、学びを日々深めることができて楽しいと語る。最近は、早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)で「企業連携ボランティアプロジェクト」の一員としても活動を始めたそう。

公認サークル 津軽三味線愛好会三津巴
Webサイト:https://mitsudomoe.wixsite.com/mitsudome
Twitter:@mitudomoetugaru
Instagram:@wasedamitsudomoe
YouTube:https://www.youtube.com/user/mitsudomoe33

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