Waseda Weekly早稲田ウィークリー

News

ニュース

富士市観光PR大使「かぐや姫」 人との出会いの中で感じた成長

「好きな自分でいることの大切さを学んだ1年間」

商学部 4年 佐藤 夏音(さとう・なつね)

静岡県富士市では、『竹取物語』の発祥の地であることにちなみ、「かぐや姫」と名付けられた観光PR大使が活躍しています。同市出身の佐藤夏音さんは、2021年7月、かぐや姫コンテストにて第36代かぐや姫に選出され、2022年7月まで1年間の任期を務めました。就任当初は自分の力に不安を感じていたものの、人の温かさに触れるうちに、自分に自信を持てるようになったといいます。人との出会いの大切さを実感した佐藤さんに、コンテストに応募したきっかけやかぐや姫の活動について、そして早大生へのメッセージなどを聞きました。

――かぐや姫コンテストに応募したきっかけを教えてください。

2021年7月、かぐや姫に就任した際の写真。左が佐藤さん。コンテストでは、大学で学んだ中国語で自己紹介をした

きっかけは3つあります。1つ目は、コロナ禍で長い間、地元の富士市で過ごしていたことです。大学入学までは上京に憧れていましたが、オンライン授業となったことに伴い地元に戻ってみると、地域の人々の温かさや、間近に見える富士山が当たり前ではなかったことに気付かされ、地元が大好きだとあらためて認識。延期されていた東京2020大会の開催を控え、世界中から日本への注目が集まる中で、地元の魅力を国内外へ発信できたらと考えました。

2つ目は、放送研究会(公認サークル)での経験です。舞台照明を担当し、裏側から舞台を見ているうちに、自分も表舞台に立ち、そこからの景色を見てみたいと思ったんです。そして3つ目は、志望していた広告系のゼミに落ちてしまったこと。モチベーションが低い状態で別のゼミに入るよりも、その分の時間を生かし、自分自身が広告塔となって活動してみようと決心しました。

――1年間の活動を振り返ってみていかがでしたか?

富士市のイベントに登壇した、東京2020大会柔道男子100㎏級金メダリストのウルフ・アロン選手との一枚

Jリーグチームのキックインセレモニーへの参加、一日消防長、テレビ出演、富士市オンラインツアーの司会進行、海外の方に向けたオンラインセミナーへの参加など、数々の貴重な経験ができ、楽しかったというのが素直な感想です。どの活動も鮮明に覚えています。さまざまな世界で活躍されている多くの方とお会いすることを通じて、誰もが自分にしかできないことを探し、一生懸命頑張っているのだと気付きました。

活動する上で大事にしていたのは、進んで人とお話しすることです。イベントに来てくださった方に自ら話し掛けに行き、活動の終わりには呼んでくださった方にあいさつをしに行く。これを心掛けていました。こうして人との出会いを大切にしたかいあってか、別のイベントと重なり、残念ながら参加できない仕事があったときでも、次の仕事のお誘いを私に直接いただけたこともあり、うれしかったです。また、表情や振る舞いには人柄がそのまま表れ、人柄が縁を引き寄せるのだとも強く感じました。これからも人柄を磨くことは欠かさないようにしたいです。

写真左:2021年9月、Jリーグ・アスルクラロ沼津の試合のキックインセレモニーにて。かぐや姫として初めて参加したイベントで、活気あふれる観客席をピッチから見た景色は忘れられないという
写真右:2022年2月には富士市中央消防署で一日消防長を務め、火災予防運動の啓発に携わった

――かぐや姫の活動を通じて、どんな成長がありましたか?

2021年10月、岳南電車のイベント列車「夜景電車」で車内アナウンスを担当した。岳南電車では、全ての駅から富士山を見ることができるのだそう

就任当初は、これで良いのだろうかと何をするにも不安でした。また、かぐや姫と同時に選出された、もう一人の観光PR大使の方と自分を比較して、劣等感を抱いてしまうこともありました。

そんな中、市内を走るローカル線の岳南電車で車内アナウンスをさせていただいたとき、偶然乗り合わせた観光客の方が、「あなたのアナウンスが聞けてすごくうれしかった」と声を掛けてくれたことや、岳南電車のイベントで実施されたビンゴ大会でプレゼンターを担当したとき、お子さんが「お姉さんみたいになりたい!」と言ってくれたことがありました。このように人の温かさに触れるうちに、私にしかできないこともある、今の私ができることをすればいいのだと、自信を持てるようになり、人と比較したり悩んだりすることがなくなりました。

そして、自分を認めることで視野が広がり、周りの人の支えにも気付くことができました。自分が好きな自分でいることの大切さを学んだ1年間だったと思います。この先も、人の真似をすることなく自分の価値観を大事にしながら成長したいです。

――早稲田での学生生活はいかがですか?

早稲田に入学したきっかけは、以前早稲田祭を訪れた際に、自由な雰囲気や学生の活発さに引かれ、この大学なら本当にいろんな人に出会うことができ、多くのチャンスがあるだろうと思ったことでした。実際に早稲田ではさまざまな人と出会い、「自分がやりたいことを取りあえずやってみる。やってみないと失敗もないし、学ぶ事もない」ということを学びましたね。

放送研究会では舞台照明を担当。活動には熱心に取り組み、2年時には幹部を務めた

学業面では、いつも生の声を聞くことを大切にしていました。「イスラーム社会の歴史と文化」(商学部設置科目)のビジネスを立案する課題では、ハラールフードの宅配サービスがあったらと考え、食材宅配サービスを提供する企業に電話で取材をしたり、「保険論」(商学部設置科目)のレポートでは、直接生命保険の説明を受けるために相談窓口に足を運んだりと、積極的に話を聞くようにしました。

――今後の展望を教えてください。

具体的な進路は未定ですが、かぐや姫を務めたことでさまざまなことに興味を持ちました。その一つが地域活性です。富士市に限らず、全国の地方自治体のために行動できたらと考えています。その中でかぐや姫の経験を生かしたり、活動を通じて出会った人と再び一緒にお仕事ができたらうれしいですね。自分の強みである好奇心旺盛さは捨てずに視野を広げ、他の誰でもない私がやらなければと思えることを見つけたいです。

――最後に、早稲田の学生へのメッセージをお願いします。

こんなにも可能性を秘めた時間は、一生のうちで今だけだと思います。大学生活は、数々の出会いやチャンスにあふれています。過去の自分にとらわれずいろいろな世界を見て、とにかくまずはやってみることを大切にしてほしいです。また、人との関わりは、時折悩みの種になることもありますが、自身を支え、人生に彩りを与えてくれる素晴らしいものです。ぜひ大切にしてください。そんな人との巡り合いの中で、たくさんのことに挑戦してほしいと願っています。

写真左:市内のイベントで取材に応じている様子
写真右:2022年7月に、かぐや姫としての任期を終えた

第824回

取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
政治経済学部 4年 山本 皓大

【プロフィール】
静岡県富士市出身。静岡雙葉高等学校卒業。かぐや姫に就任するにあたって富士市内のお店や博物館を巡り、それまで知らなかった富士市の良さにたくさん気付くことができたという。富士市の好きなところは、写真に撮りたい景色があふれているところ。市内のいたるところから富士山を目にすることができ、新幹線やひまわり、工場夜景と一緒に富士山を写真に収めることができるのだそう。イチオシの富士市のグルメは田子ノ浦のしらす。漁港の食堂で、朝にとれたての生しらすをいただくのがおすすめ。
Instagram: @natsunetti_

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/weekly/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる