毎年2月から始まる「春の奨学金登録(学部)」。早稲田大学が独自に設置している約150種類の学内奨学金は、全て返済の必要がない給付型で、入学後に申請できるものも多数あります。また、民間奨学金にも給付型のものがあり、その多くが学内奨学金との併用も可能です。一方で、必要に応じて日本学生支援機構などの貸与型奨学金の活用を検討することも重要です。そこで今回は、家計への負担を減らすために申請を決めた商学部3年の学生と、大学院への進学と経済的自立を目指している創造理工学部2年の二人に話を聞きました。
充実したキャンパスライフの実現と自己の成長につながっています
商学部 3年 新田 美優(にった・みゆ)

早稲田キャンパス 11号館にて
受給中の奨学金
学内奨学金 | 大隈記念奨学金 | 学業成績を重視して選考する給付型の奨学金。奨学金額・選考方法は各学部により異なる。(原則)年額40万円。 |
民間団体奨学金 | 公益財団法人 フジシール財団 | 対象は2・3年生。商品パッケージの研究開発に興味・関心のある者。日本学生支援機構・学内奨学金以外の他の奨学金との併給不可。卒業まで継続的に支給。月額50,000円。 |
日本学生支援機構奨学金 | 第二種奨金 | 卒業後に返済の必要がある貸与型の奨学金。第一種は無利子で、第二種は有利子。 |
――奨学金を申請したきっかけや理由を教えてください。
私はもともと地元の国公立大学に進学するつもりでしたが、志望校を検討する中で、早稲田大学への憧れと魅力を感じていき、進学を決めました。ただ現実的には、学費や下宿の家賃など多額の出費があることが分かり、両親も心配していたので、入学前から調べていた日本学生支援機構の奨学金を借りながら大学に通うつもりでした。また、大学独自の奨学金や民間の奨学金については、入学直前に『奨学金情報Challenge』を見て知りました。
――申請手続きは大変でしたか?
申請登録については、『奨学金情報Challenge』に詳しく掲載されていて、必要書類のチェック表もついているので、分かりやすいと思います。疑問点は奨学課にメールを送ったり、窓口を訪ねたりして伺うと、丁寧に対応してくれました。所得証明書などの公的書類は両親に頼むしかなかったのですが、地元の自治体ではマイナンバーカードを活用するとコンビニでも取得でき、役所へ行かずに済むので手間が少し省けて良かったと聞いています。
――申請後、どんなプロセスを経て採用が決定したのでしょうか。
「大隈記念奨学金」と「フジシール財団」の奨学金については、どちらも大学から推薦いただき、メールで連絡が来ました。大隈記念奨学金は、学習や研究・課外活動の現在の状況と今後の計画、希望する進路や将来について記入する選考シートがありましたが、何度か手直ししつつ良い結果が得られるようブラッシュアップして提出しました。入学当初からこの奨学金について知っていたので、受給できることになり、経済面ではもちろん、自分にとっての大きな励みになっています。
「フジシール財団」の奨学金は、まず、選考のために教授との面談を行い、推薦書を作成していただきます。次に、商品パッケージに関するレポート作成という重要な課題があったのですが、「現代マーケティング研究」というゼミでの学びを生かし、レポートをまとめることができました。採用決定後も、レポートや自己PR動画の提出、認定式や研修会への参加がありました。そこでの財団の方との関わりや、他大学で同じ奨学金を受給している高い志を持つ学生との交流の中で、多様な考え方に触れることができ、ビジネスにおける物の見方や求められるスキルなどが学べました。今後のモチベーション向上や、就職活動につながるような良い経験になっていると思います。
――受給してみての感想や、他の学生へ向けてメッセージをお願いします。
奨学金は主に、学費や教材費、家賃に使用していて、仕送りはもらっていません。奨学金のおかげで、無理なスケジュールのアルバイトを入れずに、多くの素晴らしい授業を受講でき、学業にもサークルにも力を入れられています。奨学金をいただいたことによって、自分が思い描いていた、大学に入ってからやりたかったことを全て実現できています。日々努力を積み重ねた成果が形になるのが励みになり、いろいろなことに挑戦でき、自分の成長にもつながると感じました。採用の過程には複雑なこともありますが、家族や奨学課の方などの「人」を頼って、面倒がらずに登録してほしいと思います。ぜひ、悔いのない大学生活を送ってほしいです。
奨学金は全額、大学院へ進学するために使います
創造理工学部 2年 小林 来生(こばやし・らいき)

西早稲田キャンパス 63号館にて
受給中の奨学金
学内奨学金 | 横山宏・敏子奨学金 | 募集年度により、対象学部が変更。年額500,000円。 |
民間団体奨学金 | 公益財団法人 三菱UFJ信託奨学財団 | 対象は2年生以上(23歳以下)。将来、民間企業・官公庁・学校等に勤務して、産業・文化面で活動し社会に貢献しようと志す者、またはこれらの活動に関連する学術の研究を志す者。他の奨学金との併給可だが届出必要。財団主催の行事には必ず出席すること。卒業まで継続的に支給。月額35,000円。 |
――奨学金を申請したきっかけや理由を教えてください。
私は3兄弟の次男なのですが、唯一私だけ、私立高校を経て私立大学理系学部に進学しているため、兄弟の中でも特に家庭に経済的な負担をかけてしまっているという自覚がありました。また、大学院への進学を目指していますが、大学院以降の学費は自身で負担するという家庭内での決まりがありましたので、「なんとかして経済的に自立しなくては」という焦りは大きかったです。そんな中、大学1年の春学期に、大学のWebサイトにて、返済不要の奨学金の存在を知りました。想像していたよりも奨学金が充実していたこともあり、「これしかない」という思いで申請の意向を固めました。さらに、現在目標としている研究室があるのですが、そこに配属されるためにはある程度の成績を取る必要があります。同様に、奨学金も成績を考慮して選考される部分がありましたので、両者において目標として取るべき手段が一致していたという点も大きな後押しとなりました。
――申請手続きは大変でしたか?
『奨学金情報Challenge』に記載された手順が明快で分かりやすかったため、特に困ることはありませんでした。また、早稲田大学には学内外問わず多くの奨学金がありますが、自分が申請したい希望奨学金欄に数カ所チェックするだけで、該当する個々の奨学金全てに申請したことになる点は、非常に魅力的だと思いました。この事実を知っているだけでも、奨学金登録に対する抵抗はかなり減ると思います。注意する点を挙げるとすれば、登録期間が1カ月半ほどあるからといって、提出書類の準備を先延ばしにしてはいけないということです。親の所得証明書や源泉徴収票などの書類は取得準備が必要ですし、自分の都合だけで用意できるものではありませんので、余裕を持って準備しておくことは大切だと思います。
――申請後、どんなプロセスを経て採用が決定したのでしょうか。
採用までのプロセスは、学内奨学金と民間奨学金とで異なりました。学内奨学金は奨学金登録後、第1次選考通過の連絡を受けた者のみ、新たに「学内奨学金申請シート」というものを提出します。そのシートと奨学金登録時に提出した書類で総合的に判断されて、あらかじめ決められた発表期間に採用結果が通知されました。
一方、民間奨学金については、奨学金登録後に財団や企業が提示する条件を満たした学生に対して、大学から特定の奨学金に申請をするか否かを尋ねるメールが来ます。私はこの過程で「三菱UFJ信託奨学財団」への申請を決めました。その後は、財団が提示する必要書類などを大学経由で提出し、一定の審査期間を経て、最終的な採用結果も大学から連絡が来ました。学外の奨学金であるにもかかわらず、常に大学を通して財団の方々とやり取りできる点は非常に心強かったです(※)。
※民間奨学金は、大学推薦型と直接財団へ申し込む公募型があり、奨学金により選考のプロセスが異なります。
――受給してみての感想や、他の学生へ向けてメッセージをお願いします。
奨学金給付を受けて、精神的負担の軽減をかなり感じています。貴重な大学生活を最小限のストレスで過ごせるというのは、金銭面以上に価値のあることだと思います。同時に、奨学生として軽率な行動をとってはいけないという責任感も感じています。しかし、現在ではその責任感が適度なモチベーションとなり、日々の学業に納得いく形で取り組むことができています。そして、奨学金を受給するまでの流れを経験してみて断言できるのは、受給までの間で自分が何をするべきなのか分からずに孤立してしまうことはない、ということです。常に奨学課の方々が手厚くサポートしてくれますので、現在奨学金登録に抵抗を持っている人でも躊躇(ちゅうちょ)することなく、ぜひこれを機に登録に前向きになってほしいと思います。
奨学金登録について
早稲田大学では、奨学金希望者は全員、定められた期日までに「奨学金登録」(必要書類の提出)をする必要があります。奨学金登録学生の中から、各団体の奨学金の趣旨・出願資格に最も適した学生が選考・推薦されます。ただし、家計支持者の死亡・失職・災害による被害などといった家計急変の事由が発生した場合は、その都度登録が認められることがありますので、奨学課に相談してください。

2022年度版『奨学金情報 Challenge』は各所属学術院事務所で配布中の他、奨学課Webサイトからダウンロード可能
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