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カレーで人と人とをつなぎたい 間借りカレー屋の店主は早大生

「カレーの自由さ、楽しさを多くの人に伝えていきたい」

文化構想学部 3年 伊豫隅 春乃(いよずみ・はるの)


インド発祥ながら、今では日本人の国民食となっているカレー。文化構想学部3年の伊豫隅春乃さんは、大学生にして、間借りカレー屋(※1)「いよちゃんカレー はるノよ」の店主として活躍してきました。一方で、自分はどのようにカレーと向き合うべきなのか、思い悩むこともあったそう。外出自粛期間で考え抜いて導き出した、伊豫隅さんにとってのカレーの魅力とは何か。カレー屋の店主を務めた経緯や、早稲田での学生生活などと併せて話を聞きました(※2)。

(※1)既存のお店の空き時間などを利用して、営業するカレー屋
(※2)インタビューはオンラインで行いました。

――間借りカレー屋を始めたきっかけを教えてください。

高校生の頃からカレーが好きだったのですが、大学に入ってから、高円寺にあるカレー屋さんでアルバイトを始めたことが大きなきっかけです。初めはホールのスタッフとして働いていました。賄いや交通費、お土産をもらえる点が魅力で…(笑)。バイトを始めて少し経(た)ったころに、自宅でもカレーを作るようになったのですが、それをバイト先のオーナーに伝えたところ、お店でも作ってみない? と誘われたんです。そこで、材料費をオーナーに出してもらいながら、自分のカレーをお店で作るようになりました。

お客さんにおいしいと言ってもらったり、どういう材料でカレーを作るかを考えたり、効率の良さを追求したりと、お店でのカレー作りがどんどん楽しくなっていきました。その後、カレー作りに関しては、オーナーから完全に任せてもらうようになり、その高円寺のお店で2018年9月から2019年3月まで間借りカレー屋の店主として、お客さまにカレーを提供していました。現在は、飲食イベントをセッティングしたり、仲の良い飲食店にカレーを作りに行ったりと、さまざまな場所でカレーに関わる活動をしています。

(左)自宅で作った、イカを丸ごと使ったカレー。コクをつけるために肝を、食感のアクセントのために刻んだ「げそ」を入れたという
(右)山形県の民宿でカレー作りの手伝いも

――伊豫隅さんは個人での活動と同時に、サークルでも活躍されていますね。

早稲田インドカレーサークルchaiでは現在、幹事長を務めています。普段の活動では、カレーオタク同士で熱く語り合うこともあれば、カレーがなんとなく好きな人が集まって気軽に会話することもあるので、自由度も高く、どんなタイプの人でも楽しめます。ただ活動内容上、飲食は避けられないので、コロナ禍においてどういった基準で活動していくか模索中ですね。自粛期間中は、オンラインでカレーを同時に作って見せ合うこともありました。

また、カレーに限らず、食に関するさまざまなことに興味を持っていることもあり、農業系学生団体こだまと、学生NPO農楽塾(公認サークル)にも所属しています。活動では地方に行くこともあります。訪れる場所により、食文化も人の雰囲気も異なるため、毎回新しい発見があってとても楽しいので、また自由に活動できるようになればいいなと思っています。

(左)早稲田インドカレーサークルchaiのメンバーでカレーランチ(右奥が伊豫隅さん、2月撮影)
(右)農業系学生団体こだまの活動で、直営所を訪問

――外出自粛期間中はどのように過ごしていましたか。

自粛期間は、自分自身を見つめ直す良い機会になりました。実はそのころ、自分は今後どうするべきか迷っていたんです。同じ学生でも間借りカレー屋を営んでいる人が増えてきていて、周りからも「カレーが好きならシェフになった方がいい」と言われて、どうして私はカレーが好きなんだろうと、自分を見つめ直しました。その結果、私は単にカレーを作るだけではなく、カレーを作るのも食べるのも、そしてカレーに携わる人も好きだと気が付いたんです。そこからは、明るい性格やフットワークの軽さを生かして、どうすればカレーの楽しさを人々に伝えられるかをより考えるようになりました。

自粛期間後のイベントにて(右が伊豫隅さん)

――ところで、早稲田大学に進学した理由を教えてください。

きっかけは、高校生の時に友人に誘われて行った「早稲田祭」でした。実は大学生になる前は人間関係が狭く、勉強することにしか意味を感じていなかったんです。ただ同時に、自分は何をしているんだろうと心がすさんでいました。そんな中「早稲田祭」に行って、「すごくいろいろな人がいる!」と感動しました。だから早稲田に入れば、何か違う世界が見えるかもしれないと期待するようになったんです。実際入学したら自分にぴったりでしたね。

授業は面白いものばかりで、現在は文化人類学を専攻しています。文化人類学では、文化や社会を区切らずに、全体的なイメージとして物事を捉えます。この考え方って、実はある意味カレーと同じなんです。これだけが正しいと決めつけずに、幅広く受け止めるところが共通している。そのため、勉強しているという感覚がなく、楽しんで学べています。他にも、宗教とカレーが密接に関係していることから、宗教学にも興味があります。

「カレー遠征」と称して仙台に出向き、カレー好き仲間と共同で作ったカレー。今ではすっかり人間関係も広がった

――現在、早稲田に出店を考えているそうですね。

パキスタン人の知人に作ってもらったタンドリー

実は今春、戸山キャンパス前の飲食店に交渉して、曜日限定で間借りカレーを出店する予定でした。ただ、コロナの影響で早稲田にいる人が少なくなっていることもあり、現在は出店を見合わせているところです。また、出店予定だった場所が手狭だったので、コロナ後を見据えてより広い店舗を借りられないか、いくつかの店舗と交渉中です。ただ場所的には早稲田にこだわりたいですね。やっぱり早大生に来てもらいたいです。

私は3年間カレーを食べ続けていて、カレーは多くの人との架け橋になることを感じました。カレーが好きというだけで話がはずみ、直接会おうとなったり、外国人の方とも仲良くなり、カレーのレシピを教えてもらうこともあります。その楽しみを、大学生を含め多くの人に知ってもらいたいし、知るきっかけを与えたいんです。さらに、カレー自体の意味の深さも伝えていきたいです。タイカレーもインドカレーも日本のカレーもそれぞれ異なるものですが、全て“カレー”なんです。早稲田店をオープンしたら、「こういうものもカレーでいいんだ」と感じてもらえるような、カレーの自由さを伝えていきたいですね。

――それでは、今後の目標を教えてください。

やはり、やりたいことはカレーを使って人をつなげること。直近だと、各大学のカレーサークルと協力して、カレー学生団体を創設する予定です。各大学にカレーサークルはありますが、全国でつながれていないことがこれまでの課題だと思っていました。学生網を作ることで、カレーがあるから人がつながれるということを発信していきたいですね。また自分のYouTubeチャンネルをうまく運営することで、自らカレーの楽しさを伝える活動も続けたいです。そして将来の夢は、“カレーの里”を地方に作ること。野菜の栽培からカレー作り、そして食べるところまで、さまざまな形でカレーを楽しめる体験型コテージを作ってみたいですね。

第767回

 


【プロフィール】埼玉県出身。県立浦和第一女子高等学校卒業。自粛期間中は1日12時間寝たり、筋トレを始めたり、リラックスできたと語る。得意料理は素朴なカレー。「その場にあるもので自由に作ることが多いですね。自分のフィーリングで、素材に合わせてスパイスを決めながら、絵を描いているような雰囲気でカレーを作ります」。
Twitter:@iyo877curry

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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