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コロナ禍で真価を発揮する早大広研 サークルを一丸とした新歓活動

「平時では社会にインパクトを、現在のような状況では社会貢献を」

公認サークル「広告研究会」
幹事長 政治経済学部 3年 山本 秀章(やまもと・ひであき)
文化構想学部 4年 清水 うた(きよみず・うた)
商学部 2年 濵崎 佳菜子(はまざき・かなこ)
社会科学部 2年 高橋 由花(たかはし・ゆか)

「重信、佐賀帰るってよ」。こんなコピーで早稲田大学公認サークル「広告研究会」が制作した、大隈重信銅像が出身地・佐賀県の名所を巡る動画。佐賀県から依頼を受けて、佐賀を「早稲田の聖地」としてアピールし、多くの早大生や校友に訪れてもらうために作ったプロモーション動画でした。「大隈重信の帰省」というコンセプトは紙媒体に引き継がれ、2019年12月26日付けの日本経済新聞に広告として掲載されました。ところが2020年に入って間もなく、世界はコロナ禍で一変。人々の行動は制限され、佐賀県を気軽に訪問できるような状況ではなくなり、広告研究会も活動の幅を大きく制約されることとなりました。代替わりした「広研」メンバーは今、何を思って活動しているのか。サークルを引退した先輩会員と、これからの活動を盛り上げようと立ち向かっている後輩会員に、それぞれの思いを聞きました。

※インタビューはオンラインで行いました。

――清水さんが昨年度、プロジェクトリーダーとして関わった新聞広告の狙いは何だったのでしょうか。

清水

佐賀県庁企画課から「大隈重信という共通点を生かして、早稲田の学生や卒業生の方に佐賀県をより身近に感じてもらえるようなプロモーションができないか」という依頼があって、始まりました。東京にいる早稲田の学生や卒業生に佐賀県を訪れてもらうための広告でした。

佐賀県に提案し、採用された広告案

清水

お話をいただくまでは、大隈重信が佐賀出身であることを知らなかったのですが、いただいた資料を読んで、その一生などもWebサイトなどで調べました。学生へのアンケートでも、佐賀県に早稲田大学の系列校があるということは多くの学生が知っていたのですが、大隈重信が佐賀出身だということは意外と知られていなかったんです。そこで大隈重信に関する知識を共有するというよりも、学生にとって最も身近な大隈重信が早稲田キャンパスの大隈銅像なので、銅像を生かしたプロモーションが適しているのではないかと思いました。

撮影取材も兼ねて佐賀市を訪問した清水さん(右から3人目)ら広告研究会のメンバー

――そして銅像が突然消えて佐賀県に帰る、というアイデアが生まれたんですね。

清水

「帰省」というキーワードであれば、遠方の佐賀でも身近に感じられると考えました。東京出身の学生は「自分にはふるさとがない」という思いが結構強いというデータがあります。そういう学生にとってのふるさとを、佐賀県に感じてもらえるようになるのではと考え、大隈銅像を介してつなげていこうというコンセプトになりました。

佐賀県太良町にある大魚神社海中鳥居(左)や、大隈重信の墓がある龍泰寺を訪れた

清水

約2カ月という制作スケジュールの中で、県庁の方が東京に来た時などに打ち合わせを重ねました。昨年5月、佐賀県に1泊2日で招待され、撮影取材も兼ねて大隈重信の生家やお墓のある龍泰寺など、県内ゆかりの地や名所を巡りました。当初は動画コンテンツとして制作したのですが、県庁の方と協議して、卒業生などより幅広い層に届けるために日本経済新聞本紙への広告掲載(2019年12月26日付け)という結果になりました。

日経新聞に掲載された広告を掲げる清水さん

清水

広告は「佐賀は『志』を高める場所 政治家・教育者 大隈重信が帰省で得たもの」というタイトルで、内容は佐賀県の山口祥義知事と大隈重信についての著書がある歴史学者・伊藤之雄さん(京都大学名誉教授)の対談がメインとなっているのですが、企画コンセプトを考案したということで「@早大広研」のクレジットと私たちの写真が掲載されました。

――せっかく、日本経済新聞という大きなメディアによるPRにつながったのに、新型コロナウイルスの影響により、旅行も困難な状況となってしまいました。

清水

悲しくて、残念だと思いますが、佐賀県の楽しみ方は実際に行くだけではないと思うので、今プロモーションするのであれば、実際に行ける日を楽しみに待てるようなことを考えると思います。さまざま活動が制限されていますが、このような状況を自分たちで変えることはできません。今しかできないこと、新しいアプローチができると思うので、ポジティブに捉えることも必要であり、新幹事長の山本を中心に後輩たちが何かを成し遂げてくれると思います。

広告研究会は佐賀訪問中、NHK佐賀放送局の取材も受けた

――山本さんは活動が困難な状況で、第108代目の幹事長となりました。広告研究会は佐賀のプロジェクトだけでなく警視庁の交通安全ポスター制作など、社会に貢献する活動も多数行っています。先輩たちの活動を見てきて、何を感じましたか。

山本

広告研究会が掲げているミッションに「広告で社会に『驚き』を」があります。ここに込めているのは、一学生サークルであったとしても、社会に対する目線が欠けてはいけないということです。広告研究会に代々受け継がれているDNAで、自己満足の楽しさを求めるよりも、平時では社会にインパクトを与えること、コロナ禍のような状況ではインパクトよりも社会に貢献していくことなど、状況によって柔軟に社会に合わせた目線で活動していくことが、先輩たちから伝えられたことだと思っています。

「あなたの『つぶやき』から生まれたアイデアを企画書、グラフィック、映像などの媒体でカタチにします」として、SNS上で始めた「つぶやきをカタチに」プロジェクト

――これまでどのような新歓活動を行いましたか

山本

僕たちは300人程度の学生を抱える大きなサークルです。活動が困難だからといって、諦めるようなことをしたら、早稲田大学全体のサークルの士気を下げるのではないかという責任を感じています。有事だからこそ、単なる人集めの新歓活動をするのではなく、大学に行けなくて、サークルのこともよく分からないという新入生の不安を和らげることができないか、と考えて活動をしました。SNSや動画で早稲田のサークル活動も紹介し、広告研究会だけでなく、他のサークルも新入生も、みんなが得をする活動に取り組むという観点を常に持つようにしました。

山本

すると、広告研究会の取り組みを他のサークルが応援してくれたり、応援してくれたサークルと一緒に動画を作って発信したり。例年は個別のサークルによる人集めがメインだった新歓活動から、今年はサークル同士のつながりが生まれ、そのつながりがきっかけとなって、人が入ってくるようになりました。早稲田のサークルが一丸となったことを強く感じた2カ月間の新歓活動でした。広告研究会には今年、168名の1年生が既に入会し、合計287名となりました。

早稲田19サークル、集結せず。 ダンス動画公開!~どんな時でも心はひとつ~

――Web上で早稲田キャンパスを巡る「キャンパスWebツアー」も広告研究会が制作したものですね。

濱崎

頑張って受験勉強をしてやっと合格できたのに、大学に行けないなんて悲しい。こんな思いをSNS上で散見しました。私は愛知県出身で、入試のときにしか早稲田に行ったことがなかったので、入学をわくわくして待っていた気持ちは分かります。そんな新入生に実際に早稲田大学に行ったような気分になれる企画をしたかったんです。高橋と一緒に、企画を詰めていきました。

キャンパスWebツアー(スマートフォン専用)

高橋

広告研究会にはWebコンテンツを制作するセクションがあります。濱崎も私もそのセクションのメンバーです。サークル内でデザイン担当に協力を求め、実際に私たちが制作し、広報担当者が発信しました。写真はまだキャンパスに入れた時期に、広告研究会のメンバーが撮影していた写真を何とか、かき集めました。

濱崎

早稲田をよく知らない新入生向けなので、サイトではマップの建物などもかわいくデフォルメせず、写真の通り忠実にリアルな感じがでるように工夫しました。

山本

このキャンパスWebツアーを見て、広告研究会に入ってきたという新入生も一定数いました。

――広告研究会はこれからどのような活動をしていく予定ですか。

山本

企業から依頼を受けて広告を制作する活動は、Zoomなどのオンラインツールを使うことでこれまでと大きく変わらず活動ができています。現在も複数社から依頼をいただいています。

山本

しかし、実際に対面のコミュニケーションがとれない状況で、仕事のようなことばかりしているのでは、サークルとしての面白みに欠けてしまいます。オンラインですが、広告代理店勤務の卒業生を呼んで講義をしてもらったり、サークル内でコンペを実施してアイデア力を高めたり、家にあるものを写真に撮って構図を学ぶ講座を開いたりもしています。全体として社会に対して課題解決するという方向性はあるのですが、それに加えて個々のメンバーが、新入生を楽しませる方法、サークル活動を盛り上げる方法、早稲田の飲食店を助ける方法などを考え、サークル内の声やアイデアをどれだけ拾い上げて、形にしていけるかが重要だと思っています。

広告研究会が共同主催している「SHARP♯ 紺碧のうたプロジェクト」。「〜あなたの想いを早稲田全体にいつまでも歌い継がれる応援ソングに〜」をテーマに活動している

清水

広告というのは、人と人をつなげるものだと私は考えています。今、物理的に人と会うのが難しかったり、隔離されているような状況では、人とのつながりが強く求められていると感じています。何らかの媒体を通じて、人と人をつなげられる広告が、より必要とされているのではないでしょうか。広告研究会ができることは、むしろ今の状況の方があるのではないかと思っています。私はサークルを引退した身ですが、後輩たちの活動で驚かされるようなことを、これから目の当たりにできたらいいなと思っています。

第759回

サークル活動でビジョンを語る山本さん

【プロフィール】
山本 秀章:東京都出身。早稲田大学高等学院卒業。高校生のときから広告研究会に入りたいと思っていた。グラフィックデザインなど制作することが好きで、口癖は「ビジョン」「ミッション」「バリュー」。「社会的な意義とサークルとしての充実度の両方を追求します」。

清水 うた:愛知県出身。神奈川県立多摩高等学校卒業。趣味はギターの弾き語り。「将来の夢は『書道居酒屋』を開くこと」。

濵崎 佳菜子:北海道出身。名古屋市立向陽高等学校卒業。趣味は散歩。「失敗を恐れず、いろんなことに挑戦したいです」。

高橋 由花:神奈川県出身。横浜市立金沢高等学校卒業。趣味はライブに行くこと。「いろんな人の意見やアイデアを吸収して成長していきたいです」。

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