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18歳成人で“無敵の権利”を失う大学生 怪しい儲け話から身を守るには?

【夏季号外】
キャンパス生活において消費者被害等を避けるための法的知識

早稲田大学「マルチ商法関連特別講義」(創造理工学部設置科目「創造理工リテラシー」)

早稲田大学の学生間でマルチ商法(※)による被害が拡大していることから、インターネットによる通信販売、SNS上での著作権侵害や名誉毀損(きそん) など、大学生が直面しやすい身近な問題への注意を喚起する「マルチ商法関連特別講義」が6月17日、西早稲田キャンパス63号館で行われ、早稲田・戸山・所沢の各キャンパスの教室にも同時中継されました。2017年に始まった特別講義は今年で3回目、板倉陽一郎弁護士を講師に招いて行われました。

大勢の学生が聴講した西早稲田キャンパス63号館01・02教室

民法改正により2022年4月1日から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることが決まっています。10代の大学生は「未成年者が法定代理人の同意を得ないでした法律行為は、取り消すことができる」という、これまで持っていた“無敵”と言われる「未成年者契約の取り消し」権利を失います。トラブルに巻き込まれて多大な損害を被るリスクが高まることが予想され、板倉弁護士からは「自分だけ突如良いことが起きることはない」という基礎的な注意事項が、繰り返し呼び掛けられました。

学生の皆さんは、こうしたトラブルに巻き込まれることがないように気を付けてキャンパス生活を送ってください。

※)商品を販売しながら会員を勧誘するとリベートが得られるとして、消費者を販売員にして、会員を増やしながら商品を販売していく商法(警視庁Webサイトより)

「マルチ商法関連特別講義」の要点

鉄則「自分だけ突如良いことが起きることはない」

・競馬の予想屋が予想をするのは、自分で競馬をするよりももうかるため。
・数字選択式宝くじ「ナンバーズ」の的中法に関する雑誌が販売されているのは、自分で購入するよりも雑誌を売ったほうがもうかるため。

困ったときは?

・消費生活センターや国民生活センター、消費者団体に相談する。
・自治体や法テラス、弁護士会が行う無料法律相談を活用する。
・弁護士へ相談し、対応を検討する。早ければ早いほどよい。

全国の消費生活センターなどの連絡先

やってはいけないこと

・「Yahoo!知恵袋」に書いてあることを無条件で信じる。
・『弁護士ドットコム』をそのまま信用する。弁護士の回答も間違っていることがある。
・インターネット検索の一番上にある情報を安易に信じる。
・インターネット検索結果の広告欄を信じる。

民法による救済措置は?

・民法第5条で規定された「未成年者取り消し」はさまざまな法律行為を取り消すことができる“無敵”の権利だが、成人年齢が2022年4月1日から18歳に引き下げられるため、以降、大学生にとってほぼ無意味になる。
・詐欺や錯誤、公序良俗違反による取り消しのハードルは非常に高く、普通は認められない。

消費者契約法による救済

・消費者契約法は、情報の質量や交渉力の格差を解消する消費者を守る法律。
・誤認・困惑・過量販売による取消権の行使期間は1年。
・消費者とは「個人」のこと。「サークル」は通常、消費者として認められない。

特定商取引法による救済

・大学生が被害に遭いやすい特定商取引は「通信販売」、「連鎖取引販売(マルチ商法)」、「特定継続的役務提供」(エステ、語学、家庭教師、学習塾、パソコン教室など)。
・「通信販売」を除いてクーリングオフによって一定期間、無条件で契約を解除できる。マルチ商法は20日間、特定継続的役務提供は8日間。
・スマートフォンの契約は「特定商取引」ではないためクーリングオフは適用されないが、電気通信事業法により「初期契約解除」(8日間)が適用され、利用者の都合で契約解除ができる。

「カモリスト」にならないために

早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ)
法学部 2年 植田 将暉(うえた・まさき)

皆さんにだけ突如「良いこと」は起こらない――講義の冒頭で板倉弁護士の強調されていた一言が強く記憶に残っています。「稼げる話を教えてあげるよ」という人が近寄ってきても信じてはいけない。なぜなら、お金もうけの方法があるとすれば、それを人に教えることなく、自分で実践してお金を稼ぐというのが「普通」だからです。「親や兄弟でもないのに、いきなり自分に良い話を持ってくる人はうそつきだ」という心構えを持つことが大切です。

また、私たちをだまそうとたくらむ人たちの間では「カモリスト」が共有されていて、一度引っ掛かったら永遠に狙われ続ける、という話も印象的でした。例えば迷惑メールのような形で、危険は一見するとたわいのない形で身の回りに存在しています。けれども何かの拍子にそれに引っ掛かってしまうと、「この人はだましやすそうだ」とマークされて、より大きな危険が次々と近寄ってくるのです。

だから重要なのは、危険を感知して避けられるようにすること。そして、万一自分が巻き込まれてしまったときにどうすればよいのかを知っておくことです。今回の講義では、大学生として知っておくべき法的な知識について、講師の板倉弁護士より要点をずばっと突いた解説がなされました。何よりも大事なのは、自分が詐欺やトラブルに巻き込まれたときは、できるだけ早く弁護士に相談することです。弁護士への相談は早ければ早いほど良い、と板倉弁護士はおっしゃっていました。

「マルチ商法」というと、名前はよく知っているし気を付けなさいと言われることも多いものの、どうしても自分とは関係ない問題だと思ってしまうところがありました。けれども実際には、キャンパスの中でもたびたび大きな問題になっており、大学生にとって決して無関係ではないことだと認識を新たにしました。特に2022年4月の民法改正で成人年齢が18歳に引き下げられることもあり、まさに今、大学生にとって見過ごせない問題だと思います。

【マルチ商法特別講義概要】
講演テーマ:キャンパス生活において消費者被害等を避けるための法的知識
講義科目名:創造理工学部 社会文化領域・C群共通科目「創造理工リテラシー」

※第10回講義として創造理工学部1年生に提供し、他学部・大学院の学生も特別に受講できるようにしました。

日時:6月19日(月)1時限目および5時限目(録画上映)
講義会場:西早稲田キャンパス63号館(1時限目のみ)
中継および録画上映会場:早稲田キャンパス8号館、西早稲田キャンパス57号館(5限目のみ)、戸山キャンパス36号館、所沢キャンパス100号館

板倉 陽一郎(いたくら・よういちろう)弁護士

2002年慶應義塾大学総合政策学部卒業、2004年京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻修士課程修了、2007年慶應義塾大学法務研究科修了。2008年弁護士(ひかり総合法律事務所)、2016年4月よりパートナー弁護士。2010年4月より2012年12月まで消費者庁に出向(消費者制度課個人情報保護推進室=現・個人情報保護委員会事務局=政策企画専門官)。

学生部からの注意喚起
「ネットワークビジネス」などと称して「友人を誘うだけで金もうけができる」などと勧誘され、高額商品を買わされるケースがあります。学生部には実際に相談・報告が寄せられており、友人を通じて言葉巧みに会員制セミナーの「もうけ話」に誘い込まれ、学生ローンなどで数十万円を借りて入会金を支払わされた事例もあります。マニュアル化されているかのような巧妙な手口で行われており、被害金を取り戻すのは容易なことではありません。一人で解決しようとせずに、金銭を支払う前に学生生活110番や消費者ホットライン(電話番号:188)に相談してください。
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