早稲田大学の創設者、大隈重信。早大生にとって最も身近な歴史上の人物ですが、その素性や功績を詳しく知らない学生も多いのでは? 今回、大隈重信没後100年を記念し、“大隈重信の人物像”を7つのポイントからご紹介。大隈が主人公の小説『威風堂々』(2022年/中央公論新社)を執筆した、歴史小説家・伊東潤さん(1983年社会科学部卒)を監修に迎え、モリナガ・ヨウさん(1992年教育学部卒)の描き下ろしイラストと共に分かりやすく解説していきます。
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佐賀と早稲田-創立記念コラム(2018年10月16日公開)
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学の独立と進取の精神-創立記念コラム(2019年10月21日公開)
歴史,ニュース,えび茶ゾーン「新しい時代こそ、大隈重信に学ぶべき」
(歴史小説家 伊東 潤)
大隈重信について、私も早稲田出身なので親しみはありました。しかし、学生時代から関心があったかというとそうでもなく、「キャンパスに銅像があるな」「創設者なんだ」というイメージしか持っていなかったのも事実です(笑)。
大隈は、主人公としてドラマや歴史小説で取り上げられたことが少ない人物でした。派手な戦闘シーンや恋愛要素が乏しいために、極めて主人公にしにくいからでしょうね。また、手腕を発揮したのが外交や財政といった難解な領域なので、説明が多くなり、物語にしづらいこともあります。ただ、大隈の実像を知ってもらうためには、この辺りの功績をしっかりと描く必要があります。『威風堂々』では、大隈の事績を忠実になぞりながらも、力強い人間ドラマとしていきました。
将来を担う皆さんにとって、大隈の生き方から学ぶことは多いと思います。私が育った昭和の時代は、“寡黙な男”が評価される時代でした。西郷隆盛が今でも英雄視されるのは、そうした時代背景もあったからでしょう。しかし、現代はグローバリズムの時代です。誰もが、自分の意見や考えを気後れすることなく世界に発信していくことが求められています。だからこそ、かつては「口舌の徒」などと揶揄(やゆ)された大隈を、見直すべき時期になっていると思いますし、その生きざまに学ぶことが多くあると思います。社会に飛び立つ前に、大隈の考えや生涯について学んでみてはいかがでしょう。
小説『威風堂々』(上・下)
名君と謳(うた)われた佐賀藩主・鍋島直正(閑叟)に、その才能を見いだされ、激動の幕末へ乗り出した大隈重信。明治維新後の国会開設、政党政治移行、内閣総理大臣就任、早稲田大学創立など、後の日本の礎を築いた偉人の生涯を描く歴史巨篇(へん)。
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伊東 潤(いとう・じゅん)
1960年神奈川県生まれ。1983年社会科学部卒業。外資系企業に勤務後、経営コンサルタントを経て、2007年『武田家滅亡』(角川書店)で作家デビュー。2013年、『国を蹴った男』(講談社)で第34回吉川英治文学新人賞、『巨鯨の海』(光文社)で第4回山田風太郎賞受賞。主な著書に『黒南風の海――加藤清正「文禄・慶長の役」異聞』(PHP研究所/第1回本屋が選ぶ時代小説大賞)、『峠越え』(講談社/第20回中山義秀文学賞)、『義烈千秋 天狗党西へ』(新潮社/第2回歴史時代作家クラブ賞[作品賞])」など。2022年『威風堂々』(中央公論新社)を上梓。
イラストレーター・絵本作家
モリナガ・ヨウ
1966年東京都生まれ。1992年教育学部卒業。在学中は早稲田大学漫画研究会に所属。細密で親しみやすいイラストルポや図解で幅広い読者の支持を受けている。主な著書に『築地市場 絵でみる魚市場の一日』(小峰書店/第63回産経児童出版文化賞・大賞)、『図解絵本スカイツリー』(ポプラ社)、『モリナガ・ヨウのプラモ迷宮日記』(大日本絵画)など多数。近刊は『らんらん ランドセル』(めくるむ)。
監修
伊東潤
イラスト
モリナガ・ヨウ
取材・文
相澤優太(2010年第一文学部卒)
編集
株式会社KWC
デザイン・コーディング
株式会社shiftkey