Waseda Weekly早稲田ウィークリー

早稲田大学国際文学館オープン記念 ( 村上春樹ライブラリー ) みんなで投稿&レビュー 海外文学 初めての一冊

2021年10月1日、村上春樹氏の貴重な寄託・寄贈資料を収蔵した画期的な施設、早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)がオープンします。これを記念して早稲田ウィークリーでは、早大生の皆さんから「海外文学 初めての一冊」としておすすめの作品を大募集。その投稿で構成した特集記事をオープンに合わせて公開する予定です。 「人生観が変わった!」「知らない国を旅する気分!」「この感覚は日本にない!」などなど、あなたがこれまで出合った珠玉の海外文学の魅力を、ぜひ投稿してください。掲載者には館内カフェで使える無料珈琲券のプレゼントも予定しています!
※投稿募集は終了しました。たくさんのご応募、ありがとうございました。採用されたレビューは10月4日公開予定のSpecial Issueで発表します。採用者へは個別にご連絡します。

大募集! みんなで投稿&レビュー
海外文学 初めての一冊

募集終了

あなたがこれまで出合った珠玉の海外文学の魅力を、ぜひ投稿してください。優秀な投稿レビューは、著名な卒業生のレビューとともに、10月上旬公開予定のWeb マガジン『早稲田ウィークリー』のコーナーSpecial Issueで掲載する予定です。さらに採用された方には館内にオープンするカフェ「橙子猫 - Orange Cat -」の無料珈琲券(5杯分)を20名にプレゼント! みんなで素晴らしい海外文学作品をシェアして、国際文学館(村上春樹ライブラリー)の開館を盛り上げましょう! ※投稿は早稲田大学の学生に限ります。
※投稿募集は終了しました。たくさんのご応募、ありがとうございました。採用されたレビューは10月4日公開予定のSpecial Issueで発表します。採用者へは個別にご連絡します。

カフェ「橙子猫 - Orange Cat -」とは?

国際文学館の開館に合わせてオープンするオシャレなカフェ。村上春樹作品と海外文学を愛する人たちの憩いの場を目指して、早大生の運営スタッフが自ら開店準備を進めてきました。村上春樹作品にインスパイアされたメニューも企画中。

優秀な投稿には無料珈琲券(5枚)を20名にプレゼント!​

明るく開放的なカフェ「橙子猫 - Orange Cat -」の完成イメージ
(提供:隈研吾建築都市設計事務所)

エントリー方法

※投稿は早稲田大学の学生に限ります。

募集終了

MyWasedaにアクセスして必要項目を記入

おすすめの海外文学の「タイトル」「著者名」、翻訳本の場合は「出版社または翻訳者名」と「100〜200文字のレビュー」を記入して投稿

海外文学は、未知の世界の冒険

今回の特集企画のスタートにあたって、早稲田大学の文学研究科長であり、自ら多くの海外文学の翻訳も手掛け、人気の書評家としても活躍される松永美穂教授(文学学術院)の研究室を訪問。おすすめの海外文学を紹介していただくと同時に、海外文学の楽しみ方、国際文学館への期待、さらにレビューの書き方アドバイスまで、話を伺いました。

文学研究科長/文学学術院教授

松永 美穂(まつなが・みほ)

専門はドイツ文学。翻訳家としても著名で、ベルハルト・シュリンク著『朗読者』(新潮社)の翻訳で第54回毎日出版文化賞特別賞を受賞。著書に『誤解でございます』(清流出版)など。

海外文学の魅力とは何でしょう?

『シャーロック・ホームズ』や『シートン動物記』、『赤毛のアン』、『小公子/小公女』など、子どものころから海外文学を好んで読んで、「自分だったらどうする?」と想像しながら楽しんでいました。海外文学は外国に住む人々や文化など、未知の世界が描かれているため、日本の文学以上に想像力がかき立てられますし、時空を超えた旅を体感できることも魅力だと思います。全く知らない国の人たちの作品にも、心に届くことばがたくさんあります。生きる世界は違っても、同じ人間なんだと感じられるとうれしくなりますね。

松永先生の研究室には数多くの海外文学作品が並ぶ。中には村上春樹作品も

海外文学というと敷居が高い印象があるのですが。

古典は複数の翻訳家によって訳されていることも多いので、ぜひ翻訳の読み比べをおすすめしたいですね。例えば主人公の一人称「僕」と「私」の違いだけでも、物語の雰囲気は変わるんです。ぜひ翻訳家ごとの違いを探してみてください。原文で読みたい場合は絵本から挑戦するのもいいと思います。語句が少ないため小説よりも読みやすい一方で、表現の幅が広くさまざまな解釈ができて楽しいですよ。

レビューには、どんなことを書けば良いですか?

レビューを書く際はあらすじをまとめるのではなく、「本を読んで自分がどう感じたのか」「その本と一緒にどんな時間を過ごしたのか」を心掛けて書くといいですよ。本を友人にすすめる場面を想像し、読書を通じて発見したこと、驚いた箇所などを考えると書きやすくなると思います。私の場合は、まず読書を通じて感じたことを好きなように書いています。そこから「自分にとって本当に印象的だった部分はどこだろう?」と考えながら、不要な部分を削っていく作業を繰り返し、3〜4回は書き直しています。最初から完璧に書こうとすると手が止まってしまうので、まずは文字数を気にせずに思ったことを書いてみるといいと思います。

国際文学館の開館にあたり、松永先生はどんなことを期待しますか?

村上春樹氏の貴重な蔵書や国際文学の研究資料に触れることができる画期的な施設。それが身近にできるなんて、わくわくしますね。国際文学館には壁一面の本棚ができますが、その本棚を眺めるだけでも楽しめると思います。私も学生時代の空き時間には、図書館内のドイツ文学の棚をよく見ていました。すぐに本を読めなくても、どんな本があるか知るだけでもいい刺激になります。国際文学館にはカフェも併設されるので、お茶をしながらじっくり本を読むといった過ごし方もいいですね。

国際文学館の完成イメージ。村上春樹作品を起点として、そこから広がる多様な本や、世界文学が並ぶ本棚は、眺めるだけでも楽しそう

最後に早大生に向けてメッセージをお願いします。

まとまった時間をつくりやすい学生時代は、本をたくさん読むにはぴったりです。早稲田大学内には国際文学館をはじめ、各キャンパスにいい図書館があるので、気になる作品は今のうちに読んでみてください。特にコロナ禍の影響で海外へ行きづらい今こそ、海外文学を通じてバーチャルの旅を楽しんでほしいと思います。

松永先生が選ぶ、「初めての海外文学」おすすめ3冊

カフカ:著 池内紀:訳
『変身』/白水Uブックス

おすすめ①

『変身』
(著)カフカ (訳)池内紀

目覚めると、自分が虫になっていた――衝撃的な冒頭で始まり、たった一言で不条理な場面が描かれる展開に、言葉の力が感じられます。多くの翻訳者が訳しており、翻訳の読み比べにも最適です。カフカの研究や翻訳の第一人者である池内紀さんの翻訳は分かりやすい表現が特徴。芥川賞作家の多和田葉子さんの翻訳は、多くの訳者が「虫」と訳す箇所をあえてドイツ語の「ウンゲツィーファー」と表記し、得体の知れない生き物として描いています。訳者による表現の違いも、海外文学の楽しみの一つです。

リルケ:著 松永美穂:訳
『マルテの手記』/光文社古典新訳文庫

おすすめ②

『マルテの手記』
(著)リルケ (訳)松永美穂

ドイツ語圏の著名な詩人による作品。大都会パリをさまよう貧しい外国人マルテの視点で書かれた、断片的で詩的なテキストが71篇収録されています。日記のような形式で連続性はなく、どのページから読み始めても楽しめる作品です。物語では、主人公が知り合いのいない都会で過ごすうちに、徐々に不安定になる様子が描かれています。100年以上前の作品ですが、孤独や不安を抱える現代人の心にも響くはずです。

多和田葉子:著
『犬婿入り』/講談社文庫

おすすめ③

『犬婿入り』
(著)多和田葉子

著者は早稲田大学出身で、長年ドイツに在住する作家の多和田葉子さん。2018年にはアメリカで最も権威のある文学賞の一つである「全米図書賞」を受賞し、ノーベル文学賞の候補としても注目されています。本作は、アジアの民話をベースにした芥川賞受賞作品で、多言語を使いこなす彼女ならではの独特な日本語が魅力。数カ国語に翻訳出版もされています。この小説ではなかなか句点が打たれず、異様にテンションの高い長い文章が特徴的で、「こんな日本語、見たことない!」という気持ちになります。他の著作でも、おもしろいオノマトペが創作されているなど、実験的な言語表現が多く用いられており、新鮮な表現が楽しめます。

多彩な海外文学を冒険できる新施設

早稲田大学国際文学館

(村上春樹ライブラリー)

早稲田大学の卒業生で世界的な作家である村上春樹氏の貴重な寄託・寄贈資料を起点とし、世界中の村上文学の愛好者ならびに国際文学の研究者たちが、新たに「村上春樹文学」「国際文学」「翻訳文学」の研究に取り組み、交流を図るための画期的な施設。場所は村上氏と縁の深い坪内博士記念演劇博物館に隣接する4号館。建築家・隈研吾氏(早稲田大学特命教授)によって斬新なリノベーションを施し、2021年10月1日に開館する。館内には、研究者のための資料室の他、学生や一般の方が利用できる閲覧コーナー、ラウンジ、オーディオスペースなどが設置されます。学生が運営するカフェもあり、誰もが集う「文学の家」となることが期待されています。

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