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コロナを逆手に高みを目指す 早稲田を誇りに箱根に挑む競走部

2021年1月2日・3日に開催が迫る第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(以下、箱根駅伝2021)。総合3位以内を目指す早稲田大学競走部ですが、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、寮の一時閉鎖、合宿の禁止、各種大会の中止など、異例づくしの1年を過ごしています。その一方で、部の全体練習再開後に自己ベストを更新する選手が続出。コロナ禍で選手たちはどのように成長したのか? 相楽豊監督と吉田匠主将(スポーツ科学部4年)を中心に、レースへの意気込みなどを聞きました。

※インタビューは11月13日に行いました。

「早稲田らしいたくましさを備えて、箱根を迎えられる」

駅伝監督 相楽 豊(さがら・ゆたか)

――コロナ禍にあって前代未聞のシーズン。指導者として特に大変だった点は何でしょうか。

11月21日に開催された第9回早大競技会で競る井川龍人選手(スポーツ科学部2年、右)と宍倉健浩選手(同4年、中央)。2人はこのレースで自己記録を更新し、1万メートルのタイムが部内1、2位となった(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

思い通りに物事が進まないことに対してストレスを感じてしまう時期も正直ありました。学生たちも同様で、目標としていた大会がなくなった、いつ部内での練習が再開されるか分からない…というのが春の状況で、モチベーションの上げ方・維持の仕方が特に大変でした。

ただ、もともと私たちのチームは「自主性を大事にする」というテーマを掲げています。今年、みんなでまとまって練習ができない環境で過ごしたことで、これまで以上に学生一人一人が自分の特徴・特性を深掘りし、適切な練習方法を自ら選択して、日々を過ごしてきました。その結果、夏から秋にかけて自己ベストが続々と出る、今の成果にもつながってきています。

――11月の全日本大学駅伝対校選手権大会(以下、全日本駅伝)は5位。結果やレース内容をどう評価しますか。

全日本駅伝で4区を走る太田直希選手(スポーツ科学部3年)。区間新記録を更新した(写真提供:共同通信)

主力の1人である千明龍之佑(スポーツ科学部3年)を欠いた状態でしたが、中盤まで主導権を握り終盤に持ち込むという、狙っていたレース展開はできました。学生たちの頑張りには非常に満足しています。ただ、年度当初に立てた「3大駅伝3位以内」という目標には届いていません。出雲駅伝が中止となって迎えた初戦。5区まで先頭で走り、当然3位以内も見えていた中での5位と考えると、やはりチームとして悔しい内容でした。

箱根に向けては、そもそも他校と比べて人数が少なく、選手層も薄いチームなので、故障者・体調不良者を出さないのが大前提。その上で、千明や中谷雄飛(スポーツ科学部3年)といった特定の主力に頼るのではなく、一人一人の力を少しでも高める意識を全員が持って準備することが大事だと思っています。

――その意味でも、相楽監督が以前から言及している「一般入試組の頑張り」も期待したいです。

今年でいえば、全日本駅伝で6区を走った諸冨湧(文学部1年)、最終8区を走った山口賢助(文学部3年)たちが一般入試組です。特に山口は3年間コツコツと力を積み上げ、全日本のアンカーという大役をこなしてくれました。

そういった学生が出てくるのが早稲田の特長であり、山口をモデルケースにして下級生も頑張ってくれるはず。コツコツ伸ばしてきた学生の力は崩れにくいので、箱根のように距離が長くなったときにも安心して起用できる選手です。早稲田らしいたくましさを備えて、箱根を迎えられるんじゃないかと期待しています。

全日本駅伝でゴールテープを切る山口選手(写真提供:共同通信)

――具体的なレース展開のイメージを教えてください。

昨年度からレースの高速化が始まり、今年の全日本でもその傾向がさらに進んでいる印象がありました。当然、次の箱根もそうなるはずで、高速レースでは後半での巻き返しが難しくなります。となると、先手必勝。全日本の再現ではないですが、序盤から出遅れずに先頭付近で走る競走部の姿を見せられるように戦いたいと思っています。

箱根駅伝2021は無観客での開催要請もあり、箱根ファンの方たちにとっても例年とは違う大会になると思います。ただ、全日本のときに感じたのは、SNSでの応援メッセージも学生たちにしっかり届いていたということ。現地に来たい思いをグッとこらえて、今の時代に合わせた応援スタイルで、ぜひ私たちの後押しをお願いいたします。

全日本駅伝の際には、競走部公式Twitterアカウントに多くの応援が寄せられた

「箱根が競技人生最後のレース。結果でチームに恩返ししたい」

◆駅伝主将 スポーツ科学部 4年 吉田 匠(よしだ・たくみ) 洛南高等学校出身

――今年度はどのようなチームカラーでしょうか。

箱根駅伝2020で5区を走る吉田選手(写真提供:早稲田大学競走部)

結果を見ても練習を見ていても、若い力を感じています。新入生を含め、勢いと力のある世代が大会でも頑張ってくれていますし、逆に言うと、僕たち4年生がもっともっと元気を出していくことで、まだまだ強くなれると思っています。

僕たち4年生は、これまで「谷間の世代」と呼ばれてしまうなど、なかなか結果で周囲の期待に応えられずにいました。だからこそ、4年生同士で「今年こそは頑張ろう」と声を掛け合っています。その気持ちを最後の箱根でぶつけたい。個人としても、箱根が競技人生最後のレースになる予定です。最後の舞台、結果でチームに恩返ししたいです。

――今年度のチームスローガン「臙脂(えんじ)を誇れ」に込めた意味を教えてください。

自分たちの臙脂のユニホーム、早稲田であることを誇れる集団にしよう。そのためにも、自分たちが誇れるような結果を残そうという意味があります。また、大会や練習中だけでなく、普段の生活の中でも臙脂に触れる機会は多々あります。そんな日々のちょっとしたことからも早稲田であることを思い出し、誇れる集団でありたいと考えています。

――前回大会は5区の山登りを経験。箱根駅伝2021で走りたい区間はどこでしょうか。

やっぱり5区ですね。前回の走りに満足していない部分もあり、リベンジという意味もあって5区に挑戦したいです。そして、山は特殊区間。単純な走力だけじゃなくて精神力も重要です。他と比べても差は開きやすく、また縮まりやすい勝負の区間です。つまり、5区6区次第で結果が変わるし、優勝争いできるかどうかも変わってきます。そんな重要な役割をしっかり果たせる選手になりたいと思います。

今年はコロナ禍にあって、一時期は箱根も開催できるかどうか分からない状況にありました。正直、モチベーションが下がった時期もありましたが、今は目標が見えている。こうして大会ができることは本当にありがたいことなんだと実感しています。だからこそ、結果を出すことで、これまで支えてくれた人たちに元気を届けられたらと考えています。

箱根駅伝2020では5区を走り、区間15位に終わった。「2021年は雪辱を果たしたい」と語る(写真提供:早稲田大学競走部)

「強みは『粘りの走り』。きつくなったときこそ、いかに粘れるか」

◆スポーツ科学部 3年 太田 直希(おおた・なおき) 浜松日体高等学校出身

――以前から「自分たちの代が中心にならなければ」と発言しています。その言葉の狙いは何でしょうか。

2月に開催された唐津10マイルロードレースでは、学生トップとなる2位でゴールした(右から2人目が太田選手、写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

僕たちの代も3年になり、記録会や大会でも結果を出せるようになってきました。そういった核となる学年が引っ張ることで、チーム全体の競技力向上につながると考えています。

1、2年生は勢いでつなぐ場面も多々ありますが、僕らの代は主力として、ゲームチェンジャー的な役割、あるいは勢いをさらに加速する走りが求められています。そういった自覚をこれまで以上に持って、日々の練習に取り組んでいきたいです。

――箱根までの残り期間、個人として、また、チーム全体として伸ばしていきたいのはどんな部分でしょうか。

箱根駅伝2020で鈴木選手(スポーツ科学部2年、左)からタスキを受ける太田選手(右)。8区を力走した(写真提供:早稲田大学競走部)

個人として、今年はスピードを強化してきました。ただ、箱根は20キロの長丁場。もっとスタミナの部分も強化できたらと考えています。そして、自分の本来の強みは「粘りの走り」。きつくなったときこそ、いかに粘れるかが勝負。そういう泥くさい走りをもっと磨いていきたいと思います。

また、箱根は10区間あるので、選手の層の厚さが試される大会です。自分たちもチームを引っ張っていかないとダメですし、下からの底上げも必要です。そういったチーム全体の力の向上なくして、目標の「3位以内」は狙えません。そして、走るからには当然、優勝を狙います。ぜひ、全力で走る姿を応援してください。

総合3位以内に向け、チーム一丸となって箱根に臨む

◆スポーツ科学部 4年 宍倉 健浩(ししくら・たけひろ)
早稲田実業学校高等部出身

前回の箱根駅伝でアンカーを走らせてもらい、シード権を獲得したものの、目標順位には届きませんでした。今回は4年生として、チームを目標達成に導く走りをしたいと思います。

政治経済学部 4年 住吉 宙樹(すみよし・ひろき)
早稲田大学高等学院出身

小学生のときから早稲田の一員として箱根を走ることが夢だったので、それをかなえたいです。自分が走って強い早稲田の復活に貢献します。

◆スポーツ科学部 3年 半澤 黎斗(はんざわ・れいと)
学校法人石川高等学校出身

前回は6区に出場しましたが、区間19位と悔しい結果に終わってしまいました。今回はしっかりリベンジできるようにしていきたいです。

◆スポーツ科学部 3年 向井 悠介(むかい・ゆうすけ)
県立小豆島中央高等学校出身

区間5位以内を目標に頑張っていきたいと思います。

◆商学部 3年 室伏 祐吾(むろふし・ゆうご)
早稲田実業学校高等部出身

目標の3位以内に向けてしっかり自分の走りをして、チームに貢献できるように頑張ります。

◆スポーツ科学部 1年 北村 光(きたむら・ひかる)
樹徳高等学校出身

3位以内という目標に少しでも貢献できる走りがしたいです。

 

 

 

◆は箱根駅伝の出場選手として登録されたメンバー(12月10日発表)。各大学は合計16名まで登録でき、この中から10区間を走る選手が選ばれる。

その他の登録メンバー

千明 龍之佑(ちぎら・りゅうのすけ)スポーツ科学部 3年 東京農業大学第二高等学校出身
中谷 雄飛(なかや・ゆうひ)スポーツ科学部 3年 佐久長聖高等学校出身
山口 賢助(やまぐち・けんすけ)文学部 3年 県立鶴丸高等学校出身
井川 龍人(いがわ・りゅうと)スポーツ科学部 2年 九州学院高等学校出身
小指 卓也(こざす・たくや)スポーツ科学部 2年 学校法人石川高等学校出身
鈴木 創士(すずき・そうし)スポーツ科学部 2年 浜松日体高等学校出身
菖蒲 敦司(しょうぶ・あつし)スポーツ科学部 1年 県立西京高等学校出身
辻 文哉(つじ・ふみや)政治経済学部 1年 早稲田実業学校高等部出身
諸冨 湧(もろとみ・わく)文学部 1年 洛南高等学校出身

千明選手と中谷選手のロングインタビューも公開中!

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第97回東京箱根間往復大学駅伝競走

【往路】2021年1月2日(土)午前8時スタート
【復路】2021年1月3日(日)午前8時スタート
※本大会は、新型コロナウイルス感染症の影響により、無観客で開催されます
箱根駅伝公式Webサイト

取材・文:オグマナオト(2002年、第二文学部卒業)
Twitter:@oguman1977
撮影:髙橋榮

【次回フォーカス予告】2021年1月6日(水)公開「奨学金特集」

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