Waseda Weekly早稲田ウィークリー

特集

20歳を迎えたワセダベア 生みの親・弘兼憲史さんに聞く誕生秘話

【2020年度創立記念特集】

早稲田大学創立125周年記念キャラクターとして2000年に誕生した「WASEDA BEAR(以下、ワセダベア)」。2007年の125周年以降もさまざまな場面で活躍し、今年10月に晴れて20歳を迎えました。早大生の皆さんも、ワセダベアが自分たちと同世代だと思うと、より親近感が湧いてきませんか!? 2020年度の創立記念号では、ワセダベア作者の漫画家・弘兼憲史さん(法学部卒)、当時新キャラクターの選考委員を務めていた嶋村和恵教授(商学学術院)にお話を伺いながら、誕生の歴史を振り返ります。

「20年間も使っていただいているのは、非常に名誉なこと」

漫画家 弘兼 憲史(ひろかね・けんし)


――ワセダベアを描いた2000年当時のエピソードを教えてください。

応募作品(原画コピー)

創立125周年記念に向けたキャラクターを募集するということで、学生時代に所属していた漫画研究会(公認サークル)の先輩から突然、「おまえ、漫研の代表で一つ出せ」と言われたんです。当時53歳でしたかね。その頃はいろいろな原稿の締め切りに追われていて、カット(イラスト)一つ入れる時間も取れないほどの忙しさでした。

そんな状況だったので、申し訳ないんだけど、これ(ワセダベア)は30分から1時間くらいかな、片手間にビュビュビュッと描いて出したんですよ。でも実はこの他に、漫画調と劇画調のキャラクターも描いていました。採用になったのはベアの方でしたが。

弘兼さんが描いた別案(原画)

――キャラクターを考案した際のポイントはどんなところでしょうか?

新キャラクター決定から数年後に描いた別表情(原画コピー)

子ども受けする可愛いキャラクターというのは描きたくなかったので、どちらかと言うと「小憎らしい」みたいな顔の形のマスコットにしようと考えました。ロス五輪(1984年開催、ロサンゼルスオリンピック)の「イーグルサム」みたいなもんですよね。

大隈重信像をモチーフにしてクマを描いたのですが、杖(つえ)を持たせるのは少し難しかったですね。手や足は人間っぽくなりました。どうせボツになるだろうなと思っていた反面、僕は結構売れっ子のプロ漫画家なんでね(笑)、落ちたらちょっと恥ずかしいなと思っていたんです。だから、採用されたと聞いてほっとしたのを覚えています。

応募したときには横顔などは考えていなかったので、数年後にバリエーションを考えてほしいと依頼されてから、いろいろなポーズや表情のベアを追加で描きました。

依頼を受けてから考えたという別パターン(原画コピー)

――「20周年」に対する感想を聞かせてください。

ワセダベア20周年の「20」や誕生年の「2000」が入った限定デザインのTシャツなどを販売しているアシックスキャンパスストア早稲田

20年間もこのキャラクターを使っていただいているのは、非常に名誉なことです。自分が早稲田大学を卒業したという爪痕(つめあと)を完全に残せた感じがして、本当にうれしく思います。最近では、野球の早慶戦などでワセダベアの着ぐるみが使われたり、受験のときにグッズを買って帰ってくれていたりするようで、結構大学に寄与できてるかなと思うと光栄ですね。

――最後に、早稲田大学の卒業生として、学生へメッセージをお願いします。

卒業後は社会に出ることになりますが、収入の多い少ないではなく、自分のやりたい仕事をやるのが人生一番楽しくなると思うので、自分の好きな道を歩んでください。絵を描くことが好きだった僕の場合、サラリーマンから漫画家に転向して、たまたまお金になりましたが、もしかしたら紙芝居の絵師になって細々と暮らしていたかもしれない。でも、それでも絵を描くことが楽しいから、そちら(絵師)の道を選んでいたと思います。自分の好きなことを仕事にできれば、一番幸せですよということを伝えたいですね。

急な依頼にもかかわらず、10分ほどで仕上げてくださった色紙。「ちょっとこれでは寂しいな」と、普段から持ち歩いている自前の色鉛筆でベアに色付けも

撮影:石垣星児

【プロフィール】
漫画家。1947年、山口県生まれ。1970年、法学部卒業。松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)勤務を経て、1974年に漫画家デビュー。『人間交差点』で小学館漫画賞、『課長 島耕作』で講談社漫画賞、『黄昏流星群』で文化庁メディア芸術祭優秀賞および日本漫画家協会賞大賞、「島耕作シリーズ」で講談社漫画賞特別賞を受賞。2007年、紫綬褒章受章、2017年、中国文化賞受賞。

「フクちゃん」に代わる新キャラクター募集で
約60作品の中から選ばれた「WASEDA BEAR(ワセダベア)」

横山隆一氏の作品「フクちゃん」 Ⓒ横山隆一

早稲田大学の新しいマスコットキャラクターを募集したのは2000年のこと。それまでは、漫画家・横山隆一氏(1909年-2001年)のキャラクター「フクちゃん」が、早慶戦などで使われていました。2007年の創立125周年(※1)に向けて、学内外を問わず広く「新生ワセダ」をアピールするとともに、あらゆる世代に親しみと愛着を持たれるようなマスコットキャラクターの作成を、校友(卒業生)を中心としたデザイナーや漫画家などに依頼。合計約60点もの作品が集まりました。

(※1)大隈重信が常々「人生125歳説」を持説として語っていたことから、早稲田大学および大隈重信に関連する記念行事では、125という数字が、かねてから重要なエポックとして特別視されている。

これらの作品は、奥島孝康総長(2000年当時)をはじめ、14名で構成された学内外の選考委員により、3作品に絞られました。選考委員を務めた嶋村和恵教授(商学学術院)は、選考時の様子をこう振り返ります。

嶋村和恵(しまむら・かずえ)商学学術院教授。専門は広告論

「キャラクターの選考委員に、という話は急に来ました。当時、私は委員では若い方だったと思います。選考委員会は奥島先生を中心に和やかに進みました。応募作を広げて見ているときに、どなたかが『選ぶのはシンボルマークなのか、キャラクターなのか』と発言されました。確かにユニークなマークもありましたが、選ぶのはキャラクターである、と再確認することに。海外の大学でも動物をキャラクターに使っているところが多いという話が出て、その視点で見てみると、いくつか動物のキャラクターが目に留まりました。創立者の大隈重信のお名前により、昔から大きなクマのキャラクターが使われていたというような話も出てきて、なんとなくクマのキャラクターに注目が集まり、弘兼さんデザインのクマさんに票が集まったと記憶しています。」

2000年11月2日発行の『早稲田ウィークリー』でも誌面トップに掲載(クリックして拡大)

選考委員会によって、ワセダベアを含めた3点に絞り込まれた後、学生や校友、教職員を中心に、はがき・E-mailによるアンケートを実施しました。この結果を参考に、最終的に2000年10月20日に開催された理事会で、最優秀作品を決定。そして、同年10月22日のホームカミングデー式典において披露および表彰が行われ、創立125周年記念マスコットキャラクター「WASEDA BEAR(ワセダベア)」が誕生しました。なお、弘兼さんのご好意により、最優秀賞受賞の賞金は全額寄付いただいたほか、ワセダベアに関する一切の権利を早稲田大学に譲渡いただいています。

ワセダベアにはどこで会える? 記念撮影できる場所は?

どんなところでワセダベアに会える?

着ぐるみのワセダベアには、例年であればサークルの新歓活動や野球・早慶戦など、さまざまな学内公式イベントで会うことができます。現在は対面イベントが限られているため、なかなか会える機会がありませんが、大きなワセダベアは早稲田キャンパス内の以下2カ所に設置されていますので、キャンパスへ来た際にはぜひ一緒に写真を撮ってみては? なお、着ぐるみは公認サークルや体育各部、また大学が適当と認めた団体には貸し出しが可能です。詳細は学生生活課、競技スポーツセンターにお問い合わせください。

◆早稲田大学歴史館(1号館)入口
◆大隈会館(20号館)1階

(左)ソチ冬季五輪で金メダルを獲得した羽生結弦選手(人科通信)の報告会(2014年)など、学内の公式行事でも活躍
(右)大隈会館1階のワセダベアは、正確な縮尺で作られた大型のぬいぐるみ。20歳を祝うボードも設置している(2020年度中)

※近年、11月頃から南門通り商店会の企画による「光るワセダベア」を早稲田キャンパス27号館周辺に設置していますが、2020年は残念ながら中止が決定されています。

ワセダベアのグッズはどこで手に入る?

WASEDA BEAR×鉄腕アトム ⒸTezuka Productions/WASEDA University

ワセダベアグッズは、大隈記念講堂脇に位置する23-5号館のUni.Shop&Café125や早稲田キャンパス27号館1階のアシックスキャンパスストア早稲田、各キャンパスにある大学生協で販売しています。一部はオンラインでも購入可能です(各サイト参照)。20周年を記念した限定商品の他、高田馬場生まれとされる鉄腕アトムとワセダベアとのコラボ商品など、さまざまなグッズがあります。また、Uni.Shop&Café125では、ワセダベアの焼き印が入ったスフレパンケーキやスイートポテト(期間限定)を食べることもできます。

ワセダベア誕生当初からオフィシャルグッズを手掛けてきたUni.Shop&Cafe125。同店のTwitterでは#ワセダベア物語を連載中(左:店内、右:スフレパンケーキ 税込み880円)

【次回フォーカス予告】10月26日(月)公開「読書特集」

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/weekly/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる