Waseda Weekly早稲田ウィークリー

特集

人事は学生の何を見る? 湖池屋編 「自分が企業を選ぶという意識持って」

「周りに流されず、意見をきちんと持つ」

就職活動において、企業は学生のどこに注目しているのか? 多くの学生が気になるところでしょう。そこで、今回のフォーカス(特集)では、早稲田大学キャリアセンターの学生キャリアスタッフ(SCS)(※)が、総合スナックメーカー「株式会社湖池屋」と「株式会社電通」の人事担当者を訪問。就職活動における素朴な疑問を聞いてきました。

SCSの中村成さん(創造理工学部4年)が訪れたのは株式会社湖池屋。ポテトチップスをはじめとする個性的なスナック菓子を提供しています。インタビューを通して、中村さんは「最初から可能性を否定しない」ことの大切さを学んだようです。

※)早稲田大学キャリアセンターでイベント・企画の立案・運営・情報発信を担う学生スタッフ

株式会社 湖池屋

管理本部 人事部 人材マネジメント課 齋木 亮輔(さいき・りょうすけ)さん・嬉野 萌子(うれしの・もえこ)さん

左から嬉野さん、中村さん、齋木 さん(湖池屋本社、東京都板橋区)

インタビュアー:SCS 中村 成(なかむら・たいら、創造理工学部4年)

どのような人材を求めているのですか。

嬉野さん 湖池屋は総合スナックメーカーとして、ポテトチップスなどのスナック菓子を作っています。新卒採用の会社説明会では、業界2番手だからできることとして、「挑戦」というメッセージをお伝えしています。近年は海外事業もどんどん広げていますので、挑戦し続ける環境にいたいという学生の方にぜひ来ていただきたいです。

齋木さん 私たちは嗜好(しこう)品を作る会社として、心の満足をお客さまに届けることが使命です。しかし、より多くの方にご満足いただける商品を作るのはとても大変です。社員には、自分の考えや仕事に自信や責任を持つことが求められるので、周りに流されず、自分の意見をきちんと持てる人が向いていると思います。

面接で学生が注意するべきことは何でしょうか。

嬉野さん 就活のマニュアルそのままの振る舞いや借り物の言葉で話すいわゆる”就活モード”ではなく、ご自身の素の姿で、自分の言葉で思いを伝えてほしいですね。また、学生さんは会社に「選ばれる」だけではなく、自分も「選ぶ」という意識を持っていただきたいです。そのためには、面接を受ける企業のことをしっかり調べることが必要です。その上で、面接を「楽しむ」くらいの気持ちで来ていただけたらと思います。

仕事の特徴や企業風土について教えてください。

嬉野さん 話すことが大好きな人が多く、社内はワイワイ明るい雰囲気です。また商品の知名度や売り上げなど、企業規模に対して国内の社員数は意外と多くなく、少数精鋭ということもあり、若いうちからさまざまな業務に関わることができるのが弊社の強みです。

齋木さん 2016年にコーポレートブランドの統合を実施し、ブランドイメージを一新しました。それに伴い、若手人材の登用を推進しており、どの部署でも20代社員が活躍しています。年次や経験にこだわらず、若手のフレッシュな発想や柔軟な考えを評価してくれる社風があります。

ご自身の就職活動のときに、もっとこうしておけば良かったと思うことはありますか。

2017年2月、創業時代の情熱を胸に素材も製法も一切の妥協なく、老舗・湖池屋のプライドをかけて理想のおいしさを追及して発売された「KOIKEYA PRIDE POTATO」。発売2年目の2018年には、定番の3品をうま味調味料・香料無添加としてリニューアル。3年目の2019年は、素材のおいしさと心地良い食感の両方を特殊製法により実現。進化を続ける湖池屋の主力商品となっている

齋木さん 私が就職活動をしていたときは、自分が最も興味がない業界から調べていきましたが、今振り返ると、自分の興味の有無にとらわれず、もっと多くの企業を見ておけばより知見が広がったなと思います。あれだけさまざまな会社と関われるのは、人生において就活の時期だけなので、とても貴重な経験になるはずです。また、営業職だけ、製造職だけなどと、職種についても自分の可能性を狭めずに、幅広い視野を持って会社を探すといいですね。

嬉野さん 説明会に参加して自分に合わない企業と感じても、面接まで行ってみることをお勧めします。説明会と面接では雰囲気が全く違うこともあるので、第一印象だけで決めてしまうのはもったいないです。

やりたいことがない、分からない学生はどのように就職活動すればいいでしょうか。

嬉野さん 日常生活で興味があるものから探してみてもいいと思います。私は食べることが好きで、特にお菓子が好きだったことから製菓会社を志望しました。湖池屋は商品だけでなく、説明会などを通して働いている人たちに好感を持ちました。先輩社員の表情がみんな生き生きとしていて、「この人たちと一緒に働きたい」と思ったことが決め手となりました。難しく考える必要はなく、シンプルな動機でいいと思います。

齋木さん やりたいことが実際に、明確にある人は実は少ないと思っていて、やりたいことなんて特になくてもいいと感じています。私は好きなもの以外仕事にしたくないと当時思っていたのですが、自分は何が好きだろうと考えたとき、それは約20年ずっと飽きなかったポテトチップスだったので、湖池屋に入社しました(笑)。就職活動では何か自分の中で一つ軸を決めてやりきることも大切だと思いますね。

最後に、学生に伝えたいメッセージをお願いします。

嬉野さん やらない後悔より、やった後悔の方がいいと思います。どんどんチャレンジしてください。今はインターネットに何でも情報があり、「こうあるべき」ということに従順な学生の方が多いように思いますが、そうした「べき論」にとらわれず、すぐに行動してみた方が得るものが多いと思います。

齋木さん 「べき論」には逆らった方が面白いかもしれないですね。他人の意見に従った時点でその人の人生ではなくなります。自分の素直な気持ちを大切にしてください。

 

文=小堀 芙由子(2009年、政治経済学部卒)
写真撮影=石垣 星児

何事も最初から可能性を否定しない

一番印象に残ったことは、社員の方が常に素敵な笑顔でいたことです。和気あいあいとした雰囲気を作ってくださり、緊張しつつも楽しく取材することができました。気付きの多い体験をさせていただき、特に、やりたいことを見つけることにとらわれるのではなく、自分が好きなものや事柄に関わって働くことも幸せだということがとても新鮮でした。そして、それを見つけるためにも、自分が今まで好きだったことを探ってみたり、学生のうちに新しいことに挑戦することが大切だと気付きました。

企業選びに関しては、最初から「自分には合わない」という固定観念にとらわれず、「一度説明会に参加して、面接を受けてから判断することが大事」という言葉も印象的でした。面接や説明会は企業だけでなく、自分自身を知ることにもつながるのだと分かりました。

今後は、何事も最初から可能性を否定せず、まだ知らないたくさんのことに挑戦して、好きなことを増やしていきたいと思いました。就職活動の成功は、将来振り返ったときに成功だったと思えることなのでしょう。このことを踏まえて就職活動だけでなく、企業に入ってからも努力して、いつか成功だったと言えるようにしたいです。

【次回特集予告】6月3日(月)公開「学生文化・芸術祭特集」

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