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特集

早大生、海外留学の懐事情 予約型奨学金により低コストで名門大学へ

グローバル人材の育成を進める早稲田大学では、2023年には全学生の海外留学派遣を目指しています。とはいえ、海外で学び生活するために一番必要な「お金」はどこからか湧き出てくるわけではなく、泣く泣く留学を断念した早大生もいることでしょう。経済的理由で留学を諦めてほしくない。そんな願いで、早稲田大学では留学のための給付型奨学金(返還の必要がないもの)を多数用意しています。今回は、気になる「お金」事情について、給付型奨学金を取得して念願の留学をかなえた早大生に聞きました。

WSCメンバーズ基金グローバル人材育成奨学金(100万円)でシンガポール国立大学へ

出願などの留学準備について
政治経済学部 4年 河野 稜(こうの・りょう)

政治経済学部 4年 河野 稜(こうの・りょう)

大学2年次から留学に行けるよう、入学してすぐに準備を始めました。学内選考には1年次春学期の成績が重視されるとのことだったので、成績はほとんど「A+」を取れるよう頑張りました。

1年次秋学期に学内選考に出願して合格し、留学先から入学許可が届いたのは1年次の終わりごろ。そこでサークルを辞め、アルバイトを掛け持ちして留学資金を貯め始めました。それと同時に、英語の勉強に本腰を入れました。海外経験がなく、英語はあいさつしかできないレベルでしたが、ネーティブスピーカーの学生が8割を占める全英語の授業「Business English」(政治経済学部設置科目)を履修し、留学を疑似体験。あれは、きつかったですね(笑)。

奨学金は、学内選考で留学候補者として選ばれた後、対象となる奨学金があれば留学センターから連絡が来るという形でした。1年次全体の成績が見られるということだったので、引き続き勉強は頑張りましたね。無事に奨学金をいただけることが決まり、「奨学生証授与式」に出席した際、校友の方に「早稲田の代表だから頑張ってきてね」と言われて気が引き締まりました。

留学先で他大学から来た日本人学生と話すと、早稲田大学には留学できる協定校も留学奨学金もたくさんあって、日本でも留学制度がこんなに充実している大学はなかなかないんじゃないかと感じました。

留学先を選んだ理由
アジア屈指の名門校として知られるシンガポール国立大学

アジア屈指の名門校として知られるシンガポール国立大学

日本企業は中国や東南アジアに進出していることが多いので、そういう国で「グローバル」を体験してみたかったんです。その中でも、シンガポール国立大学はアジアで一番といわれている大学。世界中から学生が集まっているだろうと思って選びました。実際に行ってみると、ハーバード大学などの超有名大学から留学生が来ていました。グローバル社会では、いくら早稲田大学といえど「井の中のかわず」だと感じましたね。また、シンガポールはアクセスが良く、周辺の国に旅行に行けるというのも理由の一つでした。

留学先での経済事情
カフェテリア

シンガポール国立大学内食堂にて。左は食堂で働くシンガポール人スタッフ

シンガポールの物価は日本よりも高いのですが、大学寮の敷地内に薬局や食堂など生活に必要な場所がそろっていて、その中は学生価格で日本よりも安いくらいでした。ただ、寮の敷地外で外食をしようとすると、高級店ではなくても一食2,000円以上するので、外食はほとんどしませんでした。どんなライフスタイルで生活するかによって、生活費は大きく抑えられると思います。

留学の費用対効果

費用以上の効果が得られたと思いましたね。語学も十分コミュニケーションできるようになりましたし、それ以上に世界各国の友達ができたのが良かったです。準備などは思った以上に大変でしたが、頑張れば何とかなるなという感覚が身に付きました。

留学費用の総額

交換留学(EX)だと、支払う学費は早稲田大学に納入する分のみなので、奨学金でいただいた100万円は現地の滞在費として使用しました。10カ月間の寮費・生活費とシンガポールまでの往復の飛行機代を合わせてちょうどそのくらいに収まったので、奨学金のおかげで本当に助かりました。今は就職活動中ですが、この留学経験を生かして国際的な舞台で活躍できる仕事に就きたいと考えています。

奨学金:WSCメンバーズ基金グローバル人材育成奨学金(給付金額:100万円)
留学先:シンガポール・シンガポール国立大学(EX)
留学期間:2年次8月~3年次5月までの10カ月
留学費用:約100万円(往復飛行機代を含む)

髙城幹記念海外留学奨学金(100万円)でアイオワ州立大学へ

出願などの留学準備について
基幹理工学部 4年 田島 有紗(たじま・ありさ) 留学期間:2年次8月~3年次5月までの10カ月

基幹理工学部 4年 田島 有紗(たじま・ありさ)

中学のころから大学に入ったら英語圏に留学したいと思っていたので、大学受験の段階から留学を視野に入れて志望校を探しました。国内大学の中では、早稲田大学は協定校が多く、奨学金などの制度も充実しているので入学を決めたんです。

英語圏への留学にはTOEFLのスコアシートの提出が必要なので、入学してすぐに、留学センター設置の留学準備講座「TOEFL iBT講座」を受講しました。最初は良くなかったスコアも3回目には高得点が取れ、学内選考の際にはそれを提出しました。

理工系の授業は内容が難しく課題も多いので、留学のための勉強と両立させるのが大変でした。また、私は4年間で卒業したかったのですが、所属する情報理工学科では授業との兼ね合いが難しかったんです。担当の先生と相談して、2年次春学期にできるだけ多くの単位を取ることで、それを実現しました。成績は、A以上を心掛けていましたね。1年次10月ごろに学内選考に出願し、留学先がアイオワ州立大学に決定したのが12月ごろ。学生の兄弟がいるので、親にあまり経済的な負担を掛けたくないと思い留学奨学金を申し込みましたが、いただけて良かったです。

留学先を選んだ理由
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1858年に創立された歴史あるアイオワ州立大学

英語を学びたいという目的があったので、まず英語圏。その中でアメリカは最も協定校が多く、生活費が比較的安い地域ということで選びました。さらに、アジア人が多い所や治安の悪い街などを避け、理系科目も充実していて、単位交換を希望しているコンピューターサイエンスの必修専門科目が履修できる所…と絞っていくと、アイオワ州立大学になりました。事前に調べたらものすごい田舎の町だということでしたが、私はそれは気にならなかったですね(笑)。

留学先での経済事情

現地では、大学から割り当てられたアパートに、アメリカ人ルームメート3人と暮らしていました。キャンパスまでは無料のバスで20分ぐらいの所にあり、食事などは全てキャンパス内のカフェテリアや売店で済ませていました。キャンパス内のカフェテリアでも、物価は日本より高いと感じましたね。あらためて、早稲田大学の学食は安いなぁと(笑)。でもとにかく田舎なので、車がない学生は遊びに行く場所もなく、また勉強で忙しくて時間もなかったので、食費以外にお金を使う場面はあまりありませんでした。

留学の費用対効果
留学写真_tajima

留学先の国際交流イベントにて(筆者は右から2番目)

留学先では、留学生に対するサポートや、授業の学習支援がとても充実していました。TA(ティーチング・アシスタント)に困ったことを聞ける時間帯があったり、教授に授業について気軽に質問できるオフィスアワーが設けられていて、積極的に活用しました。そのような整った環境で勉強できたこと、そして何より、現地の学生と肩を並べてやっていける自信がつき、世界各国からの留学生との交流を通して視野が大きく広がったことを考えると、十分に費用以上のものが得られたように思います。

留学費用の総額

現地での食費とアパート滞在費など、10カ月間の生活費はおよそ100万円くらいだったので、奨学金を当てました。その他、現地の旅行費などは主に貯金で賄いました。今後はさらに大学院留学を目指し、将来的には海外で活躍したいと思っています。そのきっかけをくれた交換留学は奨学金があったからこそ実現したものなので、本当にありがたく思っています。

奨学金:髙城幹記念海外留学奨学金(給付金額:100万円)
留学先:アメリカ・アイオワ州立大学(EX)
留学期間:2年次8月~3年次5月までの10カ月
留学費用:約150万円(往復飛行機代を含む)

予約採用型「早稲田の栄光奨学金」新設

留学を希望する早大生は、学内選考で留学候補者として選ばれた後に留学奨学金の選考が行われています。つまり、留学が決定しても奨学金を受給できない可能性があるため、経済的な不安がある学生は留学に出願しにくいという課題がありました。それを解消するために、2017年度から「予約採用型 早稲田の栄光奨学金」が新設されました。

この奨学金は、経済的な理由で留学への参加が困難である学生を対象に、学内での留学出願前に奨学金の選考から結果発表まで行う返済不要の学内奨学金です。奨学金を見込んだ留学費用の資金計画を可能にすることによって、より多くの学生に留学を実現してもらうことを目的としています。

2017年度秋募集対象「予約採用型 早稲田の栄光奨学金」の募集は、8月~9月ごろに開始です。詳細は、留学センターWebサイトを確認してください。

対象 ①日本国籍を有する者または永住権(特別永住含む)を有する者

②留学センターが募集する、大学間協定によるDD、 EX、 CS(※)で半期以上留学する者

③父母のうち家計支持者(もっとも収入が多い者)の平成28年度の所得証明書記載の収入・所得金額が以下の者

給与・年金収入金額(課税前):800万円未満(年金、不動産収入など含む)

④学業成績が優秀な者

奨学金 半期留学:50万円(予定) 1年以上の留学(DD含む): 110万円(予定)
採用者数 春募集・秋募集合わせて最大22名(予定)

※DD:Double Degree Programs、EX:Exchange Programs、CS:Customized Study Programs。各プログラムの詳細は、留学センターで配布している『留学の手引き』を参照してください。

【次回特集予告】6月12日(月)公開「著作権特集」

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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