私が早稲田大学に勤め始めたのは1年半前で、それまでは民間企業の子育て中キャリアウーマンであった。今では大の子供好きだが、実は小さい頃から子供が苦手だった。さらにマスコミでは、子供を育てる事がいかに大変でキャリアを阻害するかの話ばかり。産む事に至っては、鼻からスイカを出すほど痛いとか(!?)、怖い話ばかり。これでは積極的に子供を産み育てたいという気持ちにはならないだろう。
だが、実際に子供を産み育ててみると、マスコミの話とは随分違う事が多い。個人的経験で一般化できないとはいえ、ぜひ若い方々にお伝えしたい。
まず妊娠中。つわりは辛いが、それよりも24時間子供が一緒にいる事が、どれ程幸せな事か。どんなに職場で嫌な事があっても、心の中では「よきにはからえ」気分だ。次に出産。痛いのは事実だが、自然の事なので耐えられるように身体は出来ている。昔は陣痛促進剤の使い方が未熟なケースもあり、人工的な痛みで耐えられない経験をした妊婦も多かっただろう。今どきは自然分娩(ぶんべん)を目指して体力をつけ予防(毎日1万歩は歩こう)重視が時流だ。
子育てしながら働く環境はまだまだだが、子育ての楽しさや喜びが仕事の大変さを軽減してくれることを、ぜひ女子学生に知ってほしい。自分の子でも他人の子でも、子育ては人生を豊かにする。これはお金では買えない豊かさだ。最後に、母にとり子育てが楽しく喜びになるには、周囲の直接、間接的なサポートが必要であることを、将来父となる男子学生には心に留めてほしい。男性にとっても育児は最高に楽しいものなのだから。
(Y.M.)
第1007回