Waseda Weekly早稲田ウィークリー

キャリアコンパス

シルク・ドゥ・ソレイユ ダンサー池田一葉 苦節10年で『ダイハツ キュリオス』出演

「強い精神力」と「挫折を成長に変える柔軟性」でつかんだ夢の舞台

シルク・ドゥ・ソレイユ『ダイハツ キュリオス』クララ役ダンサー 池田 一葉(いけだ・かずは)

『ダイハツ キュリオス』より

カナダの独創的かつ世界最高峰のサーカス団、シルク・ドゥ・ソレイユ(以下、シルク)。現在日本で公演中のシルク創設30周年記念作品『キュリオス』では、元オリンピック選手なども出演する中、早稲田大学人間科学部出身のダンサー、池田一葉さんがメインキャラクターの1人「クララ」を演じている。入団オーディションに合格しても、実際のショーに出演できるのは全体の5%とも言われるほどの狭き門を突破して大役を射止めた池田さん。どのようにして夢の舞台に立つことになったのだろうか。

大学進学後も消えない、海外への憧れ

ロサンゼルスにて『Lucent Dossier Experience』というショーに出演(一番左が池田さん)

16歳でヒップホップダンスを始めた池田さん。高校時代から海外への憧れが強く、日本の大学に進学するより留学した方がいいのでは、という考えもあったと言う。しかしとりあえず受験をしてみようと、スポーツが好きだった池田さんが選んだのが、早稲田大学人間科学部。所沢キャンパスでスポーツ倫理を学ぶこととなる。

「とはいえ、学生時代はあまり真面目に勉強していたとは言えませんね。自分のやりたいこと、どう生きるのかを必死に模索していました」と語るとおり、進学後も海外への憧れは消えず、むしろ強くなっていくばかり。周囲が就職活動に取り組み始める大学3年次、「私はこのまま就職したいわけではない」と一大決心。休学して米国ロサンゼルスへダンス留学したことが、池田さんの進路を決定付けた。

「一度世界に出てみると、見るだけでは飽き足らず、そこで挑戦したくて仕方なくなったんです」。卒業後は、仕事のあてはないものの再びロサンゼルスへ。住み慣れた日本を離れ、大好きなダンスに没頭する日々を送ることとなる。

36歳でかなえた夢の舞台

『ダイハツ キュリオス』より

エンターテインメントの本場でコツコツと努力を重ね、プロダンサーとしての道を切り開いていった池田さん。米国内で数々のショーやテレビ番組、コマーシャルなどに出演するほか、大物ラッパー、ニッキー・ミナージュのバックダンサーを務め、日本においても宮本亜門氏演出のミュージカル『ウィズ』『Tee! Tee! Tee!』にも選出されるなど、順調にキャリアを築いていった。だが、何度挑戦してもまだ果たされていない夢があった。それが世界的なエンターテインメント集団、シルクの舞台だった。

「24歳のとき、旅行先のラスベガスで『O(オー)』を見て、その妥協のないステージにとても感激したんです。アクロバットだけではなくダンサーも募集していると知り、いつかあの場所に立ちたいと強く思うようになりました」

31歳のときに初めてシルクのジェネラル・オーディション(※)に合格。しかし、その段階では世界に数万人いると言われる「ポテンシャル・アーティスト」として登録されたにすぎない。実際にショーに出演するには、自分に合うポジションが出た際に、再度厳しい選考を勝ち抜く必要があり、高いハードルが設けられているのだ。

※シルク本部のデータベースに登録されるために行われる、各部門の書類・実技のオーディション

池田さんは計8回ものオーディションを経て、2017年、ついに悲願を達成する。『キュリオス』日本公演のクララ役を手にしたのだ。シルクに入りたいと思い始めてから、すでに10年以上が経過していた。

「オーディションに落ち続けていたとき、モチベーションを保ち続けることが一番大変でした。それでも諦められず、常にスキルを磨き、トライし続けました。パフォーマンスが好きという気持ちと、何より人として成長できたと思えたとき、この役を得ることができたんです」

『ダイハツ キュリオス』より

池田さんが演じるクララはメインキャストの1人で、人間と機械の中間のような不思議なキャラクター。機械のぎこちなさを緻密な動きで表現し、ショーが進むにつれてクララが経験する喜びや主人公シーカーへのほのかな恋心など、さまざまな感情を織り交ぜてストーリーを紡いでいく重要かつ難しい役所だ。今年2月7日にスタートした日本公演で、そのクララを見事に演じている池田さん。巧みな動きと繊細な表現力を称賛されている。

一流サーカス団の一員として振り返る早大時代

厳しい局面にあってもモチベーションを保つことができたのは、早稲田大学在学時に身に付けた「強い精神力」と「挫折を成長に変える柔軟性」が大いに役立ったと言う池田さん。

「何をするにも大切なのは『人間力』です。私はそれを習得するまでに、とても長い時間を要しました。でも、学生時代に学んだ観点や人生観が、現在の私を形成してくれています。所沢キャンパスにはトップアスリートがたくさんいて、嘔吐(おうと)するほど自分を追い込んだトレーニングをした後に授業に参加する。そんな同期にはいつも驚かされていました。また、アメリカ留学後に復学したとき、大学中退を考えていた私を説得し、卒業までサポートしてくださった、所属ゼミの友添秀則先生(スポーツ科学学術院教授)には感謝の言葉もありません。私の中の『やり切る信念』は、そこで身に付いたのかもしれませんね」

自分を信じて努力を続けていけば、夢はかなう。自らの経験からそう語る池田さん。世界的なシルクとの出合いは、「パフォーマーとしてのチャリティー活動」という次なる夢に気付かせてくれたと言う。そんな池田さんから後輩たちに向けて、今ある環境を最大限に生かして自分の道を見つけてほしいというメッセージをもらった。

「シルクには世界中から一流のパフォーマーが集まりますが、早稲田大学にも日本はもちろん世界中から優秀で面白い人たちが集まっています。だからこそ、大学で出会う人を大切にしてください。そのつながりはいずれ、人生の大きなアドバンテージになるはずです。また、私は学生時代に授業をおろそかにしてしまったことを、今とても後悔しているんです。ぜひ自分の興味のある授業を一つでも、単位のためではなく、自分自身のために真剣に取り組んでみてください。自分の道を見つけるために、必ず役立つ日が来ると思います」

 

 

Photos: Martin Girard / shootstudio.ca © 2014 Cirque du Soleil

取材・文=小堀芙由子

【プロフィール】
池田 一葉(いけだ・かずは)
東京都出身。1981年生まれ。16歳でダンスを始め、早稲田大学人間科学部在学中の2003年に米国のロサンゼルスに渡る。その後プロダンサーとして活動し、「Billboard Music Awards」「T-Mobile commercial」「Nickelodeon」などに出演。日本では、宮本亜門氏演出のミュージカル『ウィズ』『Tee! Tee! Tee!』などに出演した。2014年に長い間の目標だったシルク・ドュ・ソレイユへの入団を果たし、2018年2月より日本公演中の『ダイハツ キュリオス』においてメインキャラクターの1人、クララ役を務める。

【『ダイハツ キュリオス』東京公演】
公演期間:2018年7月8日(日)まで 会場:お台場ビッグトップ 問い合わせ:インフォメーションデスク 0570-020-520(オペレーター対応:10:00~18:00) http://www.kurios.jp ※東京公演終了後、大阪・名古屋・福岡・仙台でも開催! 詳しくは公式HPをご確認ください。

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